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ノルウェー総選挙、安全確保のために開票集計を手作業に 首都では80年代から電子集計機を導入

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
各党の投票用紙、投票会場の市庁舎前で党員が配布中 Photo:A Abumi

ノルウェー国政選挙の最終投票日を迎える11日。政府は1週間ほど前に、開票集計を手作業で行うことを発表した。

首都オスロでは1980年代から電子集計機を導入していた。

政府の突然の指示に各自治体は人員補充などの対応に追われた。手作業集計により、開票結果の発表が遅れる可能性が指摘されている。

ノルウェー国家公安警察と国家安全保障局との対話の結果、これまで集計に使用していたEVAシステムに脆弱(ぜいじゃく)性と不安点が残るためだと、全国の自治体制度を指揮するヤン・トーレ・サンネル地方自治大臣は発表。

米大統領選をはじめ、西洋の選挙に他国の介入の可能性が心配される中、リスクを減らし、国民が信頼できる選挙結果を届けるためとする。

電子機器の使用におけるリスクは、これまでも多方面から指摘されていた。今年、ノルウェーでは、生年月日・銀行の口座番号など、開示されていないはずの国民の個人情報がネットで検索可能だったケースが複数報道されている。

国営放送局NRKは、電子集計機からの結果をネット上で送信するための3か所の自治体のデータファイル情報が、ネットで検索可能となっていたことを8月31日に報道していた。

大臣が機械に頼らない方法での集計を急遽発表したのはこの報道直後。

9月10日にオスロ市庁舎で投票する人々 Photo:Asaki Abumi
9月10日にオスロ市庁舎で投票する人々 Photo:Asaki Abumi

国内のIT関係者は、電子機器に頼った場合、他国や他者による介入があったとしても、ノルウェー側はそのことにさえ気づくことができない可能性があるとも指摘していた。

「選挙が不安感に左右されることなく、開票結果は正しいと国民が安心できるために、安全面を高める」と地方自治大臣はプレスリリースで発表した。

Photo&Text: Asaki Abumi

※市庁舎より許可を得て撮影

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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