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藤井聡太棋聖(七段、18歳)は加藤一二三九段の史上最年少八段昇段記録(18歳3か月)を更新できるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 将棋界の数々の最年少記録を更新しつつある藤井聡太棋聖。先日は史上最年少(17歳11か月)でのタイトル獲得を達成しました。

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 藤井新棋聖は2002年7月19日生まれ。本日、18回目の誕生日を迎えました。

 次に注目される記録の一つは、八段昇段の最年少記録でしょう。タイトル獲得を機に肩書は「棋聖」となりましたが、段位は七段で変わりません。

 筆者は昨年、藤井七段の17歳の誕生日時点でも本稿と同様の記事を書きました。当時の状況を確認されたいという方は、そちらもご参照ください。

 これまでの八段昇段最年少記録は18歳3か月。その途方もない記録の持ち主は、神武以来の天才、加藤一二三現九段です。

 加藤九段は14歳で四段昇段。以来順位戦は4期連続昇級。18歳でA級八段となっています。

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「空前絶後」という言葉は安易に使うべきではありません。しかし加藤九段の18歳A級は空前なのはもちろん、絶後の可能性が非常に高い。藤井現棋聖もこの記録を更新できる可能性は、すでにデビュー時点でありませんでした。また同時に、加藤九段の20歳3か月での名人挑戦も、空前絶後かもしれません。

 ただし加藤新八段の時代から比べると、昇段の条件はだんだんと増えてきました。現在の規約では、七段から八段への昇段条件は以下の通りです。

(1)竜王位1期獲得

(2)タイトル2期獲得

(3)順位戦A級昇級

(4)七段昇段後公式戦190勝

 藤井棋聖が最速で八段に昇段できる条件は「タイトル2期獲得」です。

 藤井棋聖は現在、王位戦七番勝負で木村一基王位に挑戦中です。

 藤井棋聖は王位獲得まであと2勝と迫っています。もちろん今後どうなるのかは、まったくわかりません。木村王位は昨年の王位戦七番勝負では、出だし2連敗のビハインドを背負ってから、最終的に4勝3敗でシリーズを制しています。

 それでももし藤井棋聖が第7局(9月28日・29日)で王位を獲得すれば18歳2か月10日。棋聖1期、王位1期で合わせてタイトル獲得通算2期となり、史上最年少での八段昇段となります。(また同時に、羽生善治現九段の二冠同時保持史上最年少記録[21歳11か月]も抜くことになります)

 ただし王位戦でもし敗退すると、もう八段昇段の史上最年少記録更新はできません。

 藤井棋聖は現在、竜王戦でも挑戦、獲得の可能性は残しています。昨年の竜王戦の日程を見ると、第4局は11月21日・22日。仮に今年も同じ日程として、この日に藤井棋聖が竜王奪取となれば18歳4か月3日。加藤新八段(当時)の18歳3か月0日を抜くことはできません。

 藤井棋聖がなんらかの最年少記録を更新しそうになるたびに、偉大な先人の記録がクローズアップされるのは素晴らしいことです。連日ワイドショーでは藤井棋聖のことが多く取り上げられています。同時に加藤一二三九段の大記録に言及されることも、今後さらに増えてくるでしょう。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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