Yahoo!ニュース

藤井聡太棋王への挑戦権争い佳境! 増田康宏八段、近藤誠也七段が勝者組決勝に進出

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 藤井聡太棋王(22歳)への挑戦権を争う第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメント。準決勝の2局は、東京・将棋会館でおこなわれました。結果は以下の通りです。

11月14日

増田康宏八段(27歳)○-●澤田真吾七段(32歳)

11月15日

近藤誠也七段(28歳)○-●斎藤明日斗五段(26歳)

 増田八段、近藤七段は勝者組決勝に進みました。また澤田七段と斎藤五段は敗者復活戦に回っています。

増田八段、矢倉で勝利

 ▲増田八段-△澤田七段戦は序盤の駆け引きのあと、増田八段が矢倉、澤田七段が新型雁木という布陣になりました。

 戦いが始まると、盤上の中段全域で押し引きが見られる、力のこもった進行に。その過程で増田八段が少しずつリードを積み重ね、優位に立ちました。

 澤田七段は飛車を取らせる代償に、増田玉が収まる矢倉の堅陣を崩していきます。しかし最後は増田八段が一手の余裕をいかして澤田玉を寄せ切り、129手で終局となりました。

近藤七段、横歩取りで勝利

 ▲近藤七段-△斎藤五段戦は、近藤七段先手で横歩取りになりました。互いに中段に飛車を構えたあと、近藤七段が仕掛けて激しい戦いが始まりました。

 中盤でリードを奪ったのは近藤七段。相手玉に一早く迫る形を迫り、自然に攻めをつなげていきます。

 最終盤、斎藤五段は龍の王手に対し、桂を打って中合をするなど、手段を尽くします。しかし近藤七段は誤ることなく押し切り、91手で快勝となりました。

藤井棋王に挑戦するのは誰か?

 棋王戦では、ベスト4以上は2敗失格のシステムとなります。増田八段と近藤七段が挑戦権に近づく一方、澤田七段と斎藤五段にもまだチャンスは残されています。

 増田八段と近藤七段は、勝者組決勝で勝ち、挑戦者決定二番勝負で1勝すれば、最短2勝で挑戦権を獲得できます。

 両者は公式戦では過去に6回対戦し、増田4勝、近藤2勝という成績が残されています。直近では昨年2023年10月、B級1組で対戦し、増田八段が勝っています。

 澤田七段と斎藤五段は敗者復活戦で2勝、挑戦者決定二番勝負で2勝と、合計4連勝すれば挑戦権を獲得できます。

 両者は過去に公式戦で当たったことはなく、次戦が初手合となります。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事