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職場の人間関係はいいのに親子関係がうまくいかない人

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

例えばわが子が皿を割ってしまったとき、親は「何してるの!気をつけなきゃダメでしょ」などと言ってしまいがちです。言うほうは何気なく言っているのですが、このように否定的に責める言い方だと言われたほうはとても不快でイヤな気持ちになります。

もしこれが職場の大人同士だったら、こんなひどい言い方をする人はいません。「大丈夫?けがはない?」などと言いながら、片づけを手伝ったりするはずです。

また、例えばわが子が「ああ疲れた。宿題が多すぎてイヤになる」と言ったらどうでしょう?「何言ってるの!ちゃんとやらなきゃダメでしょ」などと言ってしまう親が多いと思います。

ところが、もし職場の同僚が「ああ疲れた。仕事が多すぎてイヤになる」と言ったら、「そうだよね。本当にイヤになるよね」などと共感的に応じるはずです。「何言ってるの!ちゃんとやらなきゃダメでしょ」などと否定的に責める人はいないでしょう。

なぜ親は子どもに無遠慮なのか?

でも、わが子には平気で言ってしまいます。なぜこのような違いが生じるのでしょうか?それは、親のほうに「親だから許される。自分の子どもに何の遠慮がいるのか?親子なんだから気を遣わなくても大丈夫」という思い込みがあるからです。

もちろん、親子ならではの親密さがあるのは当然ですし、お互いに甘えがあるのも自然のことですから、他人行儀になる必要はありません。

それでも、子どもの側から言えばやはり否定的に責められるのは非常に不快なものなのです。人間関係の全てに言えることですが、言うほうは平気でも言われたほうは本当にイヤなのです。

こちらは「これくらい大丈夫」と思っても、相手は「ああイヤだなあ」と思っているのです。そして、「塵も積もれば山となる」のことわざどおり、そういう不快感が積もり積もってネガティブな感情になっていきます。

だんだん子どもの心の中に親に対する不信感が出てきて、「自分はあまり大切にされてない」「自分の気持ちはわかってもらえてない」「自分のことなんてどうでもいいんだ」と感じるようになってきます。

そうなると、親の言うことに耳を傾ける気になれなくなり、必要以上に反発したくなってきます。それでまた親が否定的に責める言葉が増えて…という悪循環におちいっていきます。いきつくところは親子関係の崩壊ということにもなりかねません。

最高の親子関係を築くには?

本当は親子だったら最高によい人間関係が築けるはずです。でも、親子なのに他人以上に冷え切った関係になってしまった例は世間にたくさんあります。

その原因は、やはり親にあることが多いのではないでしょうか?もともと無力な子どものほうから原因の第一歩を作るのは難しいと思います。

つまり、「親だから許される。自分の子どもに何の遠慮がいるのか?親子なんだから気を遣わなくても大丈夫」と思い込んで、ひどい言葉を浴びせ続けたことが原因なのです。

わが子といえども一人の人間です。親とは全く別の意識と人格を持った一人の人間として、リスペクトして接することが大切です。そうすれば、子どもも親をリスペクトするようになりますし、最高の人間関係を築くことができます。

本当は職場の他人よりわが子のほうがはるかに大切なはずです。一番大切な人を一番粗末に扱っている人が多いのではないでしょうか?一番大切な人は実際に一番大切にしましょう。「親しき仲にも礼儀あり」ということわざのとおりだと思います。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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