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「9割以上が女性専用車両で痴漢や盗撮などの性犯罪の抑止効果があると感じている」アンケート結果より

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
日本若者協議会 #NoMoreChikan 署名キャンペーンより

2023年12月に東京都として初めてとなる痴漢被害の大規模な実態調査が公表されるなど、社会の雰囲気も含め、着実に変化が生まれつつある痴漢問題。

関連記事:東京都初の痴漢被害実態調査の結果公表!目撃者が行動する場合、痴漢被害の9割超が止まる(室橋祐貴)

東京都では、令和3年度末に改定された「東京都男女平等参画推進総合計画」(計画期間:令和4年度から令和8年度まで)に、痴漢対策に取り組む旨が明記され、2023年1月には都営大江戸線に女性専用車両が導入された。

一方、大江戸線の女性専用車両の導入によってどれほど痴漢が抑止されるのか、利用者の感想についての調査は十分に行われていない。

そこで、日本若者協議会では、大江戸線沿いにある高校の生徒と一般の利用者を対象にアンケートを実施した。

結果的には、9割以上が女性専用車両で痴漢や盗撮などの性犯罪の抑止効果があると感じており、大江戸線の女性専用車両を使ったことがない人も74%が女性専用車両をもっと増やすべきとの回答であった。

都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果まとめ(日本若者協議会)

アンケートの概要
このアンケート調査は、日本若者協議会が大江戸線沿いにある高校の生徒と、HPやSNS上で一般利用者を対象に回答を募集したWebアンケートです。調査対象は、都営地下鉄大江戸線の女性専用車両を利用したことのある方で、実施期間は3月16日〜4月15日です。

・調査方法 Web調査(日本若者協議会のホームページやSNS上で回答を募集)
・調査対象 都営地下鉄大江戸線の女性専用車両を利用したことのある方
・調査期間 3月16日〜4月15日
・回収数 44回答(使用したことがない人も含めると106回答)

アンケート結果のサマリー
・大江戸線の女性専用車両を利用することで、痴漢や盗撮などの性犯罪の抑止効果があると感じているのは92%
・主な改善点としては、男性が乗車してくること、専用車両が少ないこと、時間帯が少ないことが挙げられた
・大江戸線の女性専用車両を使ったことがない人も74%が女性専用車両をもっと増やすべきと回答

女性専用車両を利用する理由は?

まずどのくらい都営大江戸線の女性専用車両を利用しているのか。

アンケートによると、「毎回使う」人が半数近くを占めた。

日本若者協議会・都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果より
日本若者協議会・都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果より

利用する理由としては、痴漢を避けるためという理由が多くを占めた。

・友人が大江戸線を使ってたら痴漢されたと前に言ってたから(高校2年生)
・痴漢を避けるため(高校2年生)
・空いていたり、女性が多いため(高校2年生)
・7号車にトナラーがいるため(高校2年生)
・過去に痴漢されたことがあるから(高校2年生)
・混雑した車両だと特にいわゆるぶつかりおじさんに遭遇したり、痴漢被害に遭うため(30歳代)
・電車内で不快な思いをするリスクを減らしたい。(40歳代)
・安心感がある(20歳代)
・過去に痴漢被害にあったことがあり、トラウマになっているため。(50歳代)
・痴漢などの被害に遭う可能性を減らすため。(10歳代)
・ラッシュ時にたくさん男性がいると怖いため。(30歳代)
・混雑する時間帯でも過去の経験から安心して乗車していたいため。(40歳代)
・通勤時間帯などの混雑時、男性と一定の距離を保てない状況が不安なため(20歳代)
・安心して乗車したい為。小学生の頃から電車通学で、中学の頃から痴漢(お尻を触る、スカートの中に手を入れられる)被害にあい、男の人が怖いので。(10歳代)
・1980年代前後に中高生だった私は、国鉄を使って約1時間半の通学時にほぼ毎日痴漢にあっていました。当時は満員電車で痴漢の被害を受けることは普通という認識で、親や学校に相談できる状況ではなかったので泣き寝入りしていました。当時から女性専用車両や防犯カメラの設置を夢のように思い浮かべていましたが、ようやく世の中が重い腰を上げて女性たちの悲しい現実に寄り添ってくれる時代が到来したことを大変うれしく思います。若いころのトラウマもあるので今後も女性専用車両を積極的に利用し、ますますの普及に少しでも役立ちたいと考えています。(50歳代)

92%が痴漢や盗撮などの性犯罪の抑止効果があると感じる

次に、「大江戸線の女性専用車両を使うことで痴漢や盗撮などの性犯罪の抑止効果があると感じますか」という質問に対しては、92%がそう思う(とてもそう思う+そう思う)と回答し、「そう思わない」は回答がゼロだった。

日本若者協議会・都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果より
日本若者協議会・都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果より

そう感じる理由としては、男性が基本的にいないから、被害を見ないからという理由が多く挙げられた。

・痴漢の主な原因の男性がいないから。(高校2年生)
・女性しか乗れない車両であるため。(高校2年生)
・密着し過ぎないため隠れて触ったりはされないと思うため。また、女性が多いため行う人がいないと思う。(高校2年生)
・被害に遭ったことがないから(高校2年生)
・女性専用車両は空いていて人との距離が保たれていて、痴漢が起こりにくいから(高校2年生)
・車内が女性だけだったので、男性がいたらみんな警戒する気がする(高校2年生)
・女性しかいないから車内での盗撮や痴漢は防げると思ったから(高校2年生)
・被害を見ないため(20歳代)
・痴漢の被害にあったことがあり、女性専用車両のほうが安心だと感じる(40歳代)
・男性がいないため性犯罪が起こりにくいため(50歳代)
・例えば、普通の車両に比べて女子学生のスカートに触ったりする男性は見かけないから。(30歳代)
・混雑時をのぞいては男性の乗車は見られないため、男性からの痴漢リスクは抑えられていると考えています。(10歳代)
・車両内にほぼ女性しかいないため、男性がいる場合は注目を集め痴漢・盗撮をしづらい(20歳代)

他方、「どちらとも言えない」と回答した人の多くは一部男性が乗車していることを指摘していた。

・盗撮は減るかもしれないけどまだ女性専用車に男性が入ってくることがちょくちょくあるから(高校2年生)
・痴漢や盗撮行為の加害者は、ほぼ男性なんでしょうから女性専用車両にその男性が乗車しなければ当然抑止効果になるはずです。ただ、法的根拠がないとか⁈の理由で女性専用車両にあえて乗る男性もいるらしいので、そういう人を見ると恐怖と怒りを感じます。(50歳代)
・女性車両で『ここは女性車両です』と言ってもわざと無視して居座る人がいて、怖かったがそれでも他の車両より男性が少なく恐怖が少ないから(40歳代)

同様に改善点として、一部男性が乗車していることがあること、利用できる車両・時間帯が少ないことが挙げられた。

・男性がたまに乗ってくること(高校2年生)
・間違えて入っちゃった男性とかは仕方ないと思うからいいんですけど、明らかに女性専用車って気づいてるのに頑なに降りない人がいる点(高校2年生)
・通勤ラッシュ時だけではなく帰宅ラッシュ時のときにも設置してほしい(高校2年生)
・ほとんどの人はたまたま乗車してしまったり、何かしらの理由があるとは思うが、たまに男の人が乗車している。(高校2年生)
・いつみても複数名の男性が乗っている。非常に恐怖心を感じているし、女性専用車両導入に至った経緯をもっと経営陣に理解させたい(30歳代)
・階段から近いためか、たいてい男性乗客がいる。「女性専用車両」のシール表示は、窓に貼られているだけなので、ドアの上部にも掲示すべきだと思う。(40歳代)
・時間帯の案内がわかりにくいせいか、男性が女性専用車両の時間帯に平気な顔をして乗ってくる。時間帯ではなく、4号車は終日女性専用車両にし、車内とホームの掲示およびアナウンスを徹底するべきだと思う。男性からは女性専用車両の必要性について賛否あるらしいが、女性の性被害について、もっと真剣に考えてくれたら理解してもらえるはずだと思う。(50歳代)
・専用車両が少ない(20歳代)
・同伴者や身体的な病気の都合で乗っている人以外で、たまに女性専用車に反感を持っている人が乗っているので怖い。4号車が便利だから乗りたくても女性専用車になってしまったことに腹を立てていると聞いた。なぜ女性専用車が誕生したか根本的な理解は得られていないと思う。理解してもらうには、その人が痴漢等脅威に晒された経験がないと進まない。(30歳代)
・女性専用車が混雑していること。混雑のピーク時などは2両に増設してほしい。(40歳代)
・アナウンスをする、終日女性車両にする、悪質な男性が居座る場合のボタンを車内に設置する(40歳代)
・明らかに身体が不自由ではない、健常者の男性の利用が通勤時間帯の混雑時にも頻繁に見られます。せっかくの女性専用車両の意味がないため、アナウンスを頻繁にする、女性専用車両内の液晶ディスプレイに痴漢盗撮被害防止の映像を流す等の対策を検討いただきたいです。(20歳代)

利用したことが「ない」人も女性専用車両をもっと増やすべき

女性専用車両を利用したことがない人は女性専用車両をどう思っているのか。

一部冤罪防止のため男性専用車両も作るべきという声もあったが、男性からも必要だという声が多く見られた。

・改札口に近い女性専用車両がない為、あまり乗ったことがない。最初と最後の車両が女性専用車両になったらもっと利用する機会が増えると思う。(女性・高校2年生)
・女性専用車両に反対という訳では無いけど、女性専用車両に乗ると月島駅に着いたとき階段から離れてしまう(乗り換えに不便な位置にある)ので普段乗らない(女性・高校2年生)
・あっても良いと考えます。犯罪抑止策は必要です。できることは何でもする。(男性・60歳代以上)
・近くの電車に女性車両がないが、あれば安心のため利用したい。ぜひ、全国に女性専用車両を作って欲しい(女性・40歳代)
・痴漢防止のためにも女性専用車両を導入した方がよい(男性・50歳代)
・痴漢抑止のために有効であり、女性が不安なく乗るためにこれ以上の方法はないと思う(男性・40歳代)
・良い取り組みだと思う。妹の友人が東京での修学旅行の際痴漢に遭ったという話を聞いたので、大江戸線に限らず混雑する各路線の各編成に1両あると望ましい(男性・20歳代)
・遅きに失する。増やすべき。(男性・60歳代以上)
・痴漢対策としては現状これが一番手っ取り早いのかなと思う。(女性・60歳代以上)
・導入は遅すぎたくらいですが、実現したからには職員も反対する声に負けず毅然としてほしい。これからも痴漢、性暴力の撲滅に努め、被害にあった女性に寄り添う対応や理解のための社員教育をお願いしたい。都をあげて民間の鉄道会社を先導するような立場になってほしい。(女性・50歳代)
・以前、沿線に住んで通勤に使っていたときに、女性専用車両の必要性を常々感じていました。そもそも車両が小さい(狭い)ので、混雑時の密着度の異常な高さ、乗降時の移動の難しさなど、女性には困難が多く、乗車や通勤拒否のような精神状態になったこともあります。結果、沿線からは離れましたが、ついに女性専用車両が導入されたと知って嬉しく思い、また沿線地区に住んでみようかとも思うようになりました。大江戸線の女性専用車両は、廃止されることなく続くことを切に願います。(女性・50歳代)
・女性専用車両を作らねばならないという現実。これを男性広く一般に問題提起としたい。男性というカテゴリの中に一定数痴漢が存在する。これを恥とする意識づけになってほしい。(女性・50歳代)
・痴漢撲滅対策の一つとしてとてもよいとおもう。根本的な日本の性教育も変えて行きたいですね。(女性・30歳代)
・導入に大賛成です。JRで女性専用車両を通勤で利用していますが、混雑して周りと体が密着しても、本当に安心して乗れます!マナーも良い方が多いです。(女性・50歳代)
・女性専用車両は、どの路線でも、どの時間帯でもあるべきだと思う。実際の被害を減らすためだけでなく、痴漢、DV、その他性被害にあったことのある人で男性と同じ車両に乗ることに恐怖を感じる人は絶対いて、そういう人のためにも、安全に乗車できるスペースは確保すべきだと思うから。(女性・50歳代)
・まだまだ女性に対する痴漢、盗撮加害が蔓延する状況では、女性が安心して乗車できるように女性専用車両を設置することは必要であると思う。(男性・20歳代)
・女性の14人に1人に強姦被害の経験があり、また加害者は99%男性だ。よって男性に対しトラウマを抱えている女性は一定数以上いると考えられる。女性が安心して生活できる社会のため、公共交通が彼女たちを包括することは必要不可欠である。
実際、痴漢は全国で1日に数千件以上発生しているという調査結果(痴漢防止アプリ会社より)もある。女性の4割以上が痴漢被害の経験がある。この現状が変わらない限り、男性のいる車両では安全が確保されていないと考える人は居るだろう。(女性・20歳代)

さらに、「大江戸線以外の路線にも女性専用車両をもっと増やすべきだと思いますか」という質問に対しては、利用したことのない人も74%が「増やすべき」という回答であった。

日本若者協議会・都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果より
日本若者協議会・都営大江戸線女性専用車両についてのアンケート結果より

一般的にネット上等では「反対」の方が声が大きくなりがちであるが、今回のアンケートでは女性専用車両の必要性を感じている人が多く、肯定的な意見が大多数を占める結果となった。

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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