ダウンタウン松本人志さん似で話題の中島イシレリ、大会中も記者団笑わす。【ラグビー旬な一問一答】
ワールドカップ日本大会で8強入りした日本代表にあって、一躍有名になった1人が中島イシレリ。筋骨隆々の身体と金髪とぎょろりとした目つきが、ダウンタウンの松本人志さんにそっくりと話題を集めた。
「松ちゃん、好きでした。おもろいから」
大会中の記者会見では読売テレビ系列の『ダウンタウンDX』から出演オファーが来ていると発言。大会後、その発言が正式に依頼を受けるための嘘だったとした。現在はバラエティ番組で引っ張りだこだ。
報道陣を前にした際の中島は、来日後に覚えた日本語を独特の間合いで操り、笑いを誘う。チーム内でもムードメーカーとのこと。本稿では、やり取りの一部を紹介する。
以下、10月1日の共同取材時の一問一答の一部。
――アイルランド代表戦。7点リードで迎えた試合終盤、ノックオン(落球)をしてしまった。その時の心境は。
「あ、ノックオンした! しまった! …でも、ノックオンしてしまったけど、戻りながら、しょうがない、ディフェンスするしかないと。そこでアイルランドが蹴って、『あぁ、よかったな』って」
――プロップから転向して間もないなか、強力なスクラムを組むアイルランド代表と互角に組み合った。
「慎さん(長谷川慎スクラムコーチ)のおかげ」
――次の相手はサモア代表。同じ環太平洋諸国のトンガ出身の選手にとって、対抗心を燃やす相手では。
「それは昔の人だけ。最近、そこまでは…。友達になってる」
――赤いマウスピースを着用しています。
「俺のチーム、赤だから。神戸も、日本も、トンガも赤。俺も、赤、好き」
別な場所では、金髪の理由を「リュウケイ(母校の流通経済大学)の色だから」と説明している。
――中島選手ら途中出場選手が心掛けていることは。
「最初のメンバーが仕事をしてくれるから、俺らが最後に(試合を)終わらせる仕事をする。リザーブじゃなくて、インパクトとして」
――食事について。
「しっかり朝、昼、夜、食べる。たまに俺、朝、昼を食べない(こともあった)けど、ちゃんと朝、昼、夜、食べてリカバリー」''''''
以下、10月18日の共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。当時は南アフリカ代表との決勝トーナメント1回戦を2日後に控えていた。
――海外メディアで予選プールのベストフィフティーンに選ばれましたが。
「…そうなんすか? 嬉しいっすね。嬉しいです。多分、見たけど、読めなかったです。日本語だと、なかなか読めないです」
――スコットランド代表戦で稲垣啓太選手がトライした瞬間、大きく飛び上がって喜んでいました。
「なかなかプロップのトライがなかったから。稲垣選手、そこまで頑張ってくれてたから、それで、めっちゃ喜んでた」
――スタンドから「中島!」と日本語で応援されていることをどう感じるか。
「中島って、皆が覚えてくれているのは、日本人としてめちゃめちゃ嬉しいです。逆に僕が恥ずかしくて。皆に『親、日本人ですか』って聞かれて、『いいえ、違います。奥さんの名前です』って言うと、『…あぁ』ってなる」
――フィジカルの強い南アフリカ代表との対戦へ。
「もともとフォワードで来ると思っている。モールとスクラムを止めると決めました。そこを止めたら、相手のオプションはない。止めます」
――スクラムについて。
「スクラムは1人じゃ組めない。8人で組む。それをめちゃ練習しています。1人でも抜いたら弱くなる。8人が自分の役割とディテールを持って、8人で組む。それを練習しています」
――ロシア代表との開幕戦時、交通渋滞に巻き込まれた。今度もその時と同じ試合会場だが、何か対策はあるのか。
「ないです。いつも、予定通りで。遅れても、早くても、相手は待ってくれるから」
トンガ出身の30歳。2008年に流通経済大学へ入学した際はイシレリ・ヴァカウタが本名で、日本人選手をなぎ倒す驚異の留学生として知られていた。長らく体重過多や規律の乱れが指摘されてもいたが、神戸製鋼へ移った2015年以降に進化を遂げる。
日本人女性との結婚により日本国籍と中島姓を得ると、フライドチキンを好きなだけ食べていた栄養摂取を見直し。公式記録の「身長186センチ、体重120キロ」を大きく逸脱しないまま、パワフルなプレーを繰り出せるようになった。
そしてワールドカップイヤー。本稿でのやり取り通り、スクラム最前列の左プロップに転向する。経験値がものをいう難しい働き場にあって、長谷川コーチの指導に沿ってテクニックを吸収。ロシア代表戦、アイルランド代表戦では安定感あるパックを保った。
1月中旬からは国内トップリーグでプレー。活躍が期待される。