函館本線(山線)日中の列車も3両編成のキハ201で運行へ オーバーツーリズムで乗客積み残しの懸念から
2024年2月3日より、日中の函館本線(山線)の小樽―倶知安間に3両編成のキハ201系気動車が投入され話題を呼んでいる。この区間は、朝と夕夜のみ3両編成のキハ201系気動車が運行されているが、日中はH100形気動車による1~2両編成のワンマン列車による運行が行われている。しかし、ここ数年、インバウンド観光客が押し寄せる冬季間になるとH100形気動車では乗り切れないほどの混雑が常態化しており、時には乗客の積み残しが発生することもあった。
日中のキハ201系気動車の運用初日となった2月3日は、札幌駅を6時9分に発車する山線直通の然別行から運行を開始。その後、然別駅から小樽駅へと折り返し、主に小樽―倶知安間で折り返し運転を実施していたようだ。
X(旧ツイッター)上では、ホテルのチェックアウト客が集中する倶知安駅を11時46分に発車する小樽行普通列車の乗客などからの投稿が相次いだ。この日は、倶知安駅から170名余りが乗車。投稿によると乗客より荷物の圧迫感のほうが大きかったそうだが、これまでのH100形2両編成よりは余裕のある車内で移動ができた様子であった。翌日の2月4日も、この列車には倶知安駅から180名余りが乗車。さらに余市駅からも70名余りが乗車したそうで、列車の3両編成化によりこれで積み残しの心配はなくなりそうだ。
一方で、当路線は、北海道新幹線の並行在来線として2023年度に開業が予定されている北海道新幹線の札幌延伸開業までに廃止の方針が決定している路線である。しかし、昨今のバスドライバー不足などからバス転換の目途が立たす、協議が中断している状況だ。こうしたことから、X上では「2両編成から3両編成への増強をせざるを得ない状況にある中での路線廃止は本当に大丈夫か」といった意見も目に付いた。
「新幹線が開業し倶知安に駅が出来ればインバウンド客は新幹線に流れる」という楽観的な意見もあるが、新幹線では余市町をスルーし、新小樽駅は小樽市のはずれにできることなどから、観光客の回遊性を考えると地域の観光活性化にとっては良い影響はないだろう。また、ただでさえ不足しているバスドライバーを在来線の鉄道廃止代替バスに割いてしまえば、新幹線倶知安駅からスキーリゾート地に向かう観光客の足となるバスの便数を確保することも難しくなるだろう。
(了)