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7月4日は静岡で39.3度と40度の大台に迫るなど今年一番の暑さ・7月5日はそれ以上の暑さか?

饒村曜気象予報士
今年一番の暑さとなった7月4日12時の天気図と衛星画像

消えた梅雨前線と記録的な暑さ

 令和6年(2024年)7月4日は、太平洋高気圧の強まりとともに東北地方まで北上した梅雨前線が弱まりました(タイトル画像)。

 このため、梅雨前線によって雨が降っていた北陸や東北地方も雨が弱まり、その他の地方は南から暖かくて湿った空気の流入に加え、晴れたことから強い日射で気温が大きく上昇しています。

 7月4日に全国で気温が一番高かったのは、静岡県・静岡の39.3度で、全国の64地点(気温を観測している全国914地点の約7パーセント)が、最高気温35度以上の猛暑日となりました。

 静岡で記録した39.3度は、今年一番高い気温で、全国で猛暑日を観測した地点数も今年最多です。

 また、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが533地点(約58パーセント)、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが845地点(約92パーセント)もあり、7月4日は、今年一番暑い日といえそうです(図1)。

図1 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(7月5日以降は予想)
図1 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(7月5日以降は予想)

 しかし、7月5日は、7月4日以上に暑くなる恐れがあります。

 気象庁が発表している主要都市の最高気温の予想で一番高いのは、埼玉県・熊谷、山梨県・甲府、岐阜県・岐阜、兵庫県・豊岡の37度ですが、コンピュータの計算では、群馬県・桐生で39.4度になるという予想もあります。

 場合によっては、40度という大台を超える気温を観測する所がでるかもしれません。

 また、猛暑日は、全国で157地点(約17パーセント)と、今年最多を大きく更新しそうです(図2)。

図2 予想最高気温の分布(7月5日の予想)
図2 予想最高気温の分布(7月5日の予想)

 今年は、6月14日に真夏日418地点(約46パーセント)、6月12日に夏日825地点(約90パーセント)を観測していますが、このときの暑さは、大陸育ちの高気圧におおわれたところに、強い日射が加わってのものですので、湿度が比較的低い暑さです。

 しかし、6月末から現在の暑さ(多くの地方で梅雨に入ってからの暑さ)は、南海上から暖かくて湿った空気が流入しての暑さです。

 熱中症になりやすい湿った暑さですので、気温の数字以上に危険な暑さです。

 こまめな水分補給や冷房の適切な使用など、熱中症対策を十分にとる必要があります。

40度を超える気温

 7月4日は、静岡県・静岡で最高気温が39.3度と40度に迫り、7月5日も40度に迫り、あるいは超すかもしれないという災害級の暑さとなる所もある見込みです。

 この40度という気温は、日本ではめったに観測されない気温でしたが、近年は、時々観測されるようになってきました。

 日本の観測で、一番高い最高気温は41.1度で、令和2年(2020年)8月17日に静岡県・浜松、平成30年(2018年)7月23日に埼玉県・熊谷で観測しました(表1)。

表1 日最高気温の観測地点ランキング(同じ値の時は新しく観測した地点を上位にした)
表1 日最高気温の観測地点ランキング(同じ値の時は新しく観測した地点を上位にした)

 日最高気温が40度を超しているのは、長い観測の中で、浜松・熊谷以下34地点(のべ69地点)しかありません。

 平均的に気温が高い沖縄や九州では観測されておらず、多く観測されているのは、岐阜県、群馬県、新潟県という東日本です(図3)。

図3 都道府県別の最高気温40度以上を観測した地点数(のべ)
図3 都道府県別の最高気温40度以上を観測した地点数(のべ)

 中でも、岐阜県・多治見では、これまでに8回も40度以上を観測しており、日本一暑い都市といえそうです。

令和6年(2023年)の梅雨明け

 現在、梅雨にはいっているのは九州から東北までの広い範囲です(表2)。

表2 令和6年(2024年)の梅雨入りと梅雨明けと平年の梅雨入り・梅雨明け
表2 令和6年(2024年)の梅雨入りと梅雨明けと平年の梅雨入り・梅雨明け

 梅雨明けしたのは、6月20日から23日に、平年より早く梅雨明けした沖縄・奄美地方だけです。 

 一般的には、太平洋高気圧が強まって梅雨前線が東北地方まで北上し、弱まったとなると、西日本は梅雨明けとなります。

 しかし、気象庁では、梅雨明けとせず、長い梅雨の中休みとしています。

 これは、弱まった梅雨前線上の黄海で低気圧が発生し、日本海を通って東北地方を通過し、その後、梅雨前線が北陸地方から東北地方に停滞し、その後、西日本に南下すると予報しているからと思われます(図4)。

図4 予想天気図(7月6日9時の予想)
図4 予想天気図(7月6日9時の予想)

 ウェザーマップが発表している10日先までの天気予報によると、梅雨が明けている沖縄・奄美地方はお日様マーク(晴れ)の日が続きます。

 そして、傘マーク(雨)が連続するのは、北陸地方と東北地方では7月7日以降です(図5)。

図5 各地の10日間予報(数字は予想最高気温)
図5 各地の10日間予報(数字は予想最高気温)

 北陸地方と東北地方は、短い梅雨の中休みのあと、梅雨空に戻りそうです。

 ただ、西日本では、勢力が強まった梅雨前線が南下してくるまでの間、7月9日までの長い梅雨の中休みになりそうです。

 そして、関東甲信地方は、梅雨明けなのか、梅雨の中休みなのか、そもそも梅雨なのかどうかという、変な天気変化になりそうです。

 今年の梅雨明けは、再来週(7月15日以降)の天気がどうなるかにかかっています。全国的に平年より遅い梅雨入りと、沖縄・奄美地方を除いて平年並みの梅雨明けになるかもしれません。

タイトル画像、図2、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、表1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

表2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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