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SNSで話題の柴犬「りんご郎」ちゃん なぜ丸見えの食卓の下を秘密基地にするの?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

SNSで人気の柴犬の「りんご郎」ちゃんは、食卓の椅子を秘密基地にしています。飼い主から見れば、丸見えなのですが、りんご郎ちゃんは、落ち着いています。なぜ、ここがいいのか、犬の習性から、考えてみましょう。

Twitterより @ringoro119
Twitterより @ringoro119

りんご郎ちゃんは、椅子の下が好きなようです。

Twitterの動画を見ていただくと、椅子に滑り込んでいます。

動画の写真を見ると、椅子の下にいますね。

Twitterより @ringoro119
Twitterより @ringoro119

りんご郎ちゃん「椅子の下が好きなの」と。

Twitterより @ringoro119
Twitterより @ringoro119

りんご郎ちゃん「ここが落ち着くのよね」と。

なぜ、椅子の下が落ち着きスポットなのか?

Twitter上では、「かわいい」「うちの犬も狭いところ好き」などが、あります。なぜ、犬は、このような椅子に下に隠れて、落ち着くのでしょうか? 飼い主からすれば、丸見えなのに、と思いますね。考えてみましょう。

答えは、ほら穴に入っている気分なのです。

いろいろと議論のあるところですが、犬はオオカミが家畜化されたものであるといわれています。犬は約2万年前から、恐らく人間とともに世界各地にいて、人の近くに住んでいました。その当時の犬はおそらく、決まった飼い主のもとで定住するのではなく、なんとなく人の傍にいました。

長い時間を経て、能力に応じて狩猟犬や牧畜犬、銃猟犬として繁殖されています。いまのように、チワワからセントバーナードまで、多様な種類がいるようになったのです

このオオカミたちは、犬も同じですが、群れ社会で、寝るときや獲物を隠すときは、ほら穴にいたのです。犬の祖先のオオカミに取っては、ほら穴は、リラックスできる所だったのです。自然界では、出産のとき、涼をとるときも穴を掘ります。つまり椅子の下が、りんご郎ちゃんにとっては、ほら穴だったのです。

椅子の下の効果(ほら穴の効果)

犬は群れ社会の動物ですが、たまには、どこかに隠れて、リラックスしたいのです。飼い主から見えるところでも、椅子やテーブルの下に入ると、隠れている気分になリ、ラックスできるのですね。24時間、ボスである飼い主に、じっと見られているのは、ストレスを感じることもあります。上下、左右、開放されているわけではないので、敵が攻めてこないのでいいのでしょうね。

飼い主へのアドバイス

椅子やテーブルやケージにずっと入りっぱなしで、出て来ない場合は、どこか具合が悪いのかもしれません。私たちの病院では「元気で食欲があるのですが、椅子の下に入っている時間が長いので、おかしい」と言われて、来院されて熱があったなどがあります。ときどき、そのような狭いところに居るのは、いいですが、長時間だと、気をつけてくださいね。

まとめ

犬の不思議な行動は、実は、オオカミの習性から来ているのだと考えると興味深いですね。太古の時代からの脈々と続く時間を感じることができます。このようなネットが発達して、SNSの人気のワンコもオオカミの習性があるのですから。

注意:ここに使っている写真や動画は、投稿者の柴犬りんご郎さんの許可を得ています。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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