iPhoneのシェア、サムスンのお膝元で過去最高 韓国スマホ市場に異変もたらす「6」「6 Plus」
香港の市場調査会社、カウンターポイントテクノロジー・マーケットリサーチが1月21日までにまとめたスマートフォン販売統計によると、米アップルのiPhoneは、昨年秋に市場投入した「iPhone 6」「同6 Plus」が好調で、販売台数が急伸した。
昨年11月におけるiPhoneシリーズの世界販売台数は、前年同月比で26%伸び、1カ月の販売台数として初めて2000万台の大台を突破した。
韓国で初の30%超え、外国メーカーとしても過去最高
日本、韓国、中国では画面が大きくなったiPhone 6/6 Plusに対する需要が予想を上回り、とりわけサムスン電子のお膝元である韓国ではアップルのシェアに大きな変化が起きた。
同国市場を詳しく見ると、iPhoneのシェアは10月まで10%以下で推移していたが、11月は一気に33%に上昇した。一方サムスンは5カ月間、約60%のシェアを維持していたが、11月は46%に低下した。
カウンターポイントによると、アップルのシェアが同国市場で3分の1に達したのは初めて。また同国ではこれまでシェアが20%を超えた外国メーカーはなく、サムスンが常に市場を支配してきた。
そのサムスンの牙城に迫ったのが同国で10月31日に販売が始まったiPhone 6/6 Plus。カウンターポイントによると、両モデルはサムスンをはじめとする他社のファブレット(大型スマートフォン)のシェアを低下させた。
韓国は世界で最もファブレットが普及している国であり、大型iPhoneに対する潜在需要があったという。
またiPhone 6シリーズで人気があるのは64GBと128GBのモデルだが、もし、この時期にこれらが十分に供給されていたら、iPhoneのシェアは40%程度にまで達していただろうと、カウンターポイントは推計している。
日本でもシェア急伸、過去最高レベルに
一方、日本でもiPhoneのシェアが急伸し、過去最高水準に達した。カウンターポイントによると、日本は世界で最も高価格帯スマートフォンが売れる国の1つであり、アップルが最も強みを発揮する国の1つでもある。
昨年の10月と11月はいずれもiPhoneシリーズの販売シェアが50%を超え、ソニーモバイルコミュニケーションズ、富士通、シャープ、サムスンといった2位以下のメーカーを大きく引き離した。
アップルは当面日本の市場を支配し続け、ライバルの挑戦を難しくすると、カウンターポイントは予測している。
その恩恵を受けるのが、今年発売を予定している腕時計型のウエアラブル端末「Apple Watch」という。Apple Watchはこの国の高度に進んだ消費者市場の利用者基盤に支えられ、成功を収めるのではないかと、カウンターポイントは予測している。
中国では45%増加、単月の記録更新
また中国では11月にiPhoneの販売台数が前年同月比で45%増え、1カ月の販売記録を更新した。都市部の富裕層が最新モデルに飛びついたという。
これにより同国におけるiPhoneのシェアは12%超となり、アップルは、中国シャオミ(小米科技)、中国レノボ・グループ(聯想集団)に続く3位のメーカーになった。
また中国で11月に最も売れたiPhoneのモデルはiPhone 6で、シリーズ全体の3分の2以上を占めた。ただし、今は6 Plusの供給不足の問題が改善しつつある。
これにより、次の調査対象期間となる12月と、中国で消費が最も活気づく春節(旧正月、今年は2月19日)時期に、6 Plusの販売比率が高まるとカウンターポイントは見ている。
そうした中、中国首位のシャオミは先頃、 6 Plus対抗の高機能スマートフォン「Xiaomi Note」「Xiaomi Pro」を発表した。前者の発売日は1月27日、後者は3月下旬。今後高機能端末の市場競争はますます激化すると、カウンターポイントは指摘している。
(JBpress:2015年1月23日号に掲載)