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競泳・池江璃花子のタオルを飾る。姫野和樹にとって「スポーツの力」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ボールを持っているのが姫野。倒れてもすぐに起き上がって突進。(写真:アフロ)

 2020年の東京五輪の顔として期待されていた競泳の池江璃花子について、ラグビー日本代表の姫野和樹がツイートしたのは2月12日。池江が自らの白血病診断を公表したのを受け、こうつづった。

<池江さんとは会ったことないけれど、テレビの関係者の人から、NZ戦(筆者注・昨年11月の日本代表対ニュージーランド代表戦)を見て感動しました。というメッセージとサイン入りのタオルを僕にプレゼントしてくれました。そんな優しく強い女性である池江さんをこれからも応援し続けます。そして、またラグビーで感動をエールとして送れるように頑張ります>

 各種報道では、この病を乗り越えて競技復帰したアスリートの例が広く伝えられている。それらのニュースがかえって本人の心を乱すのではとの見方もある一方で、復活を願う人の心にも邪気はなさそう。

 姫野は現在、9月開幕のラグビーワールドカップ日本大会に向けた「ラグビーワールドカップトレーニングスコッドキャンプ」(東京・町田キヤノンスポーツパーク)に参加中。14日の練習を終えて帰路につく際、真意を語った。練習施設に備え付けられた手作りの柵の向こうから、幾多のICレコーダーを向けられていた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――池江選手について。

「直接、会ったことはないですが、ニュージーランド代表戦、感動しましたということでサイン入りのタオルをいただきました。池江さんのサイン入りのタオルなんて(貴重なため)使えるわけもなく、飾っているんですけど。

 同じスポーツをしている人として尊敬しますし、(今回のことは)残念ですけど、本当にスポーツには不思議な力がある。また戻ってくることを信じて、ラグビーで感動を送ることが自分の出来ることだと思う。まずは今年のワールドカップでそのようにしていけたら」

――「スポーツの力」。どこで感じますか。

「うーん…。スポーツの力。人としてもプレーヤーとしてもここまで大きくさせてもらえたので、スポーツから得られたものはたくさんありますよね。また見ている人にとっても、スポーツから得られることってたくさんあると思う。感動することもそうだし、勇気をもらえることもそうだし」

――どんなものを得たのか。

「色々、ありますよ。感動する試合もあるし、日本が負ければ悔しいと思うこともあるし、ラグビーの南アの試合(ワールドカップイングランド大会での日本代表対南アフリカ代表戦か)もそうだし、あれで感動、勇気ももらったし、また頑張ろうと思えたし、スポーツの力って偉大だなって思います」

――競泳はタイムを競う競技。

「どのスポーツでも、自分の限界値を超えていくのがトレーニングの目指すべきところ。限界を超えて人としてもプレーヤーとしてもキャパを広げられる。そこを目指してトレーニングしているつもりです」

 

 ここまで語り切ると、関係者に促されてファンの待つエリアへ向かった。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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