ララ、チャーロ、ルービン、ハード、トラウト,,,10/14の“Superwelter”で誰が輝くのか
10月14日 ブルックリン バークレイズセンター
WBA世界スーパーウェルター級タイトル戦
王者
エリスランディ・ララ(キューバ/34歳/24勝(14KO)2敗2分)
対
テレル・ガシェ(アメリカ/29歳/20戦全勝(9KO))
WBC世界スーパーウェルター級タイトル戦
王者
ジャーメル・チャーロ(アメリカ/27歳/29戦全勝(14KO))
対
エリクソン・ルービン(アメリカ/22歳/18戦全勝(13KO))
IBF世界スーパーウェルター級タイトル戦
王者
ジャレット・ハード(アメリカ/26歳/20戦全勝(14KO))
対
オースティン・トラウト(アメリカ/31歳/30勝(17KO)3敗)
154lbsのトリプルヘッダー
スーパーウェルター級の強豪がブルックリンに勢揃いし、3人の王者がそれぞれ防衛戦を行う今週末の興行。いわば9月にLAで行われた“Superfly”のスーパーウェルター級ヴァージョンといったところか。
正直、大方のファンが最も興味を惹かれないであろうララの防衛戦がメインイベントに据えられたのは解せないが、あとの2戦は好カード。特に売り出し中のチャーロがトッププロスペクトの挑戦を受けるセミファイナルは、ボクシングマニア垂涎のマッチアップと言える。両者にとってリスクも大きいが、この一戦の勝者はエロール・スペンス・ジュニア(アメリカ)と並び、アル・ヘイモン傘下では最高級のスター候補として注目を集めるだろう。
12日に行われた最終会見時、今興行のプロモーターを務めるルー・ディベラ、Showtimeのスティーブン・エスピノーザは今後にスーパーウェルター級の統一戦路線を進めていきたい意向を話していた。WBOの同級王者ミゲール・コット(プエルトリコ)は今年限りで引退の予定で、WBAの正規王者デメトリウス・アンドレイド(アメリカ)はミドル級に昇級寸前。そんな状況下で、近未来の154lbs戦線は今回の出場メンバーが担っていく可能性は高い。
トリプルヘッダーに出場する選手たちはすべてPBCファイターで、少なくとも今の時点で値が張るスターは存在しない。だとすれば、マッチメークは比較的容易。ディベラ、エスピノーザの希望通り、これも”Superfly”と同様、Showtimeが来春にも”Superwelter”の続編を企画するのは自然な流れだろう。その機運を盛り上げるためにも、今回の第1弾が好内容になるに越したことはない。
潰し合い実現の気配を見せるスーパーフライ級、ミドル級などに続き、ここでスーパーウェルター級にも新たな流れが生まれるのか。まずはPBCが期待を寄せるチャーロ、ルービン、ハードといった若きタレントの戦いぶりに注目が集まる。
ニューヨーク・ボクシング・シティ
今週末を皮切りに、約2ヶ月の間にニューヨーク都市圏(いわゆるメトロポリタン・エリア)で立て続けにメジャー興行が開催される。ニューヨークにおいてこれほどの興行ラッシュは筆者の記憶にない。
10月21日 ニューアーク プルデンシャルセンター
ムラト・ガシエフ(ロシア)対クシシュトフ・ヴォロダルチク(ポーランド)
11月4日 ブルックリン バークレイズセンター
デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)対バーメイン・スティバーン(アメリカ)
ショーン・ポーター(アメリカ)対エイドリアン・グラナドス(メキシコ)
セルゲイ・リピネッツ(ロシア)対近藤明広(一力)
11月11日 ロングアイランド ナッソー・ベテランズ・メモリアル・コロシアム
ダニー・ジェイコブス(アメリカ)対ルイス・アリアス(アメリカ)
11月25日 マディソン・スクウェア・ガーデン・シアター
セルゲイ・コバレフ(ロシア)対ビャチェスラフ・シャブランスキー(ウクライナ)
12月2日 マディソン・スクウェア・ガーデン
ミゲール・コット(プエルトリコ)対サダム・アリ(アメリカ)
12月9日 マディソン・スクウェア・ガーデン・シアター
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)対ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)
上記以外にも、10月21日にはニューヨーク州ベローナのターニングストーン・カジノにて、WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者ジュスレル・コラレス(パナマ)の防衛戦とアンドレイドの復帰戦が行われる。
PBCは12月16日のナッソー・コロシアム、来年1月13日のバークレイズセンターも抑えているとのこと。1月13日にはエロール・スペンス・ジュニア(アメリカ)対レイモント・ピーターソン(アメリカ)戦がすでに決定と伝えられている。
注・ベローナはニューヨーク州だが、メトロポリタン・エリアには含まれない
これだけ集中すればチケット売上への影響は否定できず、完売が発表されたロマチェンコ対リゴンドー以外は集客に苦しんでいるという話も聞こえて来る。もともと通称“ビッグアップル”の会場費用は他都市と比べて高価。ここまでの興行ラッシュは解せないし、一部のカードの興行成績が低迷しても仕方あるまい。
もっとも、例えそうだとしても、約1年前までは保険料問題でボクシング興行開催が不可能だったニューヨークに、メジャーファイトが戻ってきた意味が計り知れないのも事実である。特に近年はボクシングに積極的とは言えなかったMSGの復権は大きい。トップランク、リチャード・シェイファー、ゴールデンボーイ・プロモーションズ、PBC、メインイベンツといった有力プロモーターたちは、一時的なマイナスのリスクを知った上で、“世界の首都”が活況を呈することの効用を理解しているのだろう。
それぞれの当面の興行成績も気になるが、 ぜひとも長い目での成功も望みたいところだ。“聖地”と呼ばれるMSG、“新たなメッカ”へとの期待がかかるバークレイズセンターはファンなら一度は訪れたいアリーナとして確立している。その場所が盛り上がれば、業界にもたらされるポジティブな影響は大きいはずなのだ。