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スーパーで精米1ヶ月後の米は商品棚から撤去 その後、処分される米はどこへ行くのか? #専門家のまとめ

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
米(写真:アフロ)

コメの値段が上がり品薄になっている。購入数を制限する店や「秋の新米の時期まで在庫がない」というケースもある。

だがスーパーでは、精米から1ヶ月程度経つと商品棚から撤去する慣習がある。夏場だと常温保存で精米から1ヶ月が「おいしく食べられる期限だから」というのが理由のようだ。一方、賞味期限表示のあるコメなら6ヶ月〜1年程度が「賞味期限」になっている。

商品棚から撤去したコメは、その後、どこへ行くのだろう?

ココがポイント

▼精米から30〜40日経つと商品棚から撤去され廃棄される。「廃棄米」の行方は廃棄、返品などさまざま

なぜスーパーでは精米して1ヶ月のコメを捨てるのか 米菓業界ではコメ不足で仕入れ値2倍になっているのに(Yahoo!ニュースエキスパート井出留美)

▼従業員に売る、食料支援団体へ寄付するケースも。「以前は捨てていたが近くにフードバンクができたから」と寄付するスーパーも

「令和の米騒動」値上げ、品薄で確保困難、なのになぜ精米して1ヶ月の米をスーパーは棚から撤去するのか(Yahoo!ニュースエキスパート井出留美)

▼精米から50日でコメの納入業者に返品するスーパーも。返品後、納入業者は「外食産業にまわす」という回答。50年以上続く慣習

「古くなったコメ?外食産業にまわす」スーパーからの返品米を受け取る業者(Yahoo!ニュースエキスパート井出留美)

▼廃棄されるコメを使い紙やプラスチックに加工する取り組みも。ペーパルのコメカミやバイオマスレジンHDのライスレジンなど

エキスパートの補足・見解

多くのコメは賞味期限表示なしで販売されている。以前は精米日が表示されていたが、現在では「○月初旬」「○月下旬」などと精米時期が表示されている。

賞味期限表示がされていれば6ヶ月〜1年近く、商品棚に置くことができるのに、賞味期限表示されていないコメが、精米して1ヶ月で商品棚から撤去されるのは早すぎるように思う。

常温で放置すればおいしさがすぐに失われてしまうものの、スーパーでは冷房が常備されているところがほとんどではないか。

台湾の方からは、市販のコメは真空パックにして売られていると伺った。日本のコメ製造業の中にも、台湾に向けて真空パックにして輸出し、賞味期限を1年間と設定しているところもあるようだ。コメを無駄にしない取り組みが進んでほしいし、不要な商慣習はなくしてほしいと切に願う。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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