たった50分で3つの星が完全消滅…現在も未解明の謎
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「3つの星が同時に消滅した大事件の謎」というテーマで動画をお送りします。
天体は基本的に安定して存在し続け、人間の寿命スケールの短い期間ではほとんど変化が見られません。
例えば恒星の寿命は長いものだと十数兆年、短いものでも数百万年であると考えられています。
ただし中には突発的に増光したり、減光したりするダイナミックな現象も存在します。
例えば超新星爆発、ガンマ線バーストなどは短期間で劇的な変光を伴う現象の代表例と言えます。
ある時期に撮影された天体が、少し後に同じ場所を撮影した際には姿を消している、などという事例もありますが、たいていの場合は一般的な突発現象で説明ができます。
しかし中には、一般的な突発現象では説明できない奇妙な天体消失事例が話題となることも少なくありません。
本動画ではそんな特殊な天体消失事例について解説します。
●3つの星が同時に消滅!?
1949~1958年にかけて、アメリカのパロマー天文台は、空の広範囲にわたる天体の同時観測プロジェクトを行いました。
そのプロジェクト内で、突如消滅した3つの星が話題になりました。
消滅前の左の画像は、1952年7月19日の午後8時52分頃に撮影されたものです。
消滅後の右の画像は、同日の午後9時45分頃に撮影されています。
つまり、たった50分間程度で3つの天体が同時に消滅していたということになります。
その後何度も同じ領域が観測されましたが、消えた3つの天体が再び現れることはありませんでした。
2023年4月に撮影された最新の高解像度の画像でも、消えた天体の痕跡すら見当たりません。
元の天体の明るさと、その後の観測結果から、消えた天体はわずか50分程度で1万倍以上暗くなったことを示しているとのことです。
○具体的に何が起きたのか?
遠く離れているはずの3つの星が同時に消滅する、などという事例は極めて不可解であり、このような現象を理論的に説明するのは容易ではありませんが、3つの仮説が提示されています。
1つ目の仮説は、これら3つの天体が実は1つの天体に過ぎないというものです。
地球から見て光源となる天体のちょうど手前に、ブラックホールなどの他の天体が通りかかった時、その重力によって背後からやってきた光の進路が歪められます。
すると地球から見ると、背後の天体が複数個あるように見えたり、通常よりも明るく見えたりします。
これは「重力レンズ効果」と呼ばれる現象です。
この重力レンズ効果により、単一の天体が地球からは3つの天体に見えていた、と考えられます。
また背後の天体はたった50分後に消滅していたことから、非常に磁場の強い中性子星である「マグネター」による電波バーストなど、突発的に輝いて消滅する現象であると考えられています。
2つ目の仮説は、これらの天体は恒星ではなく、太陽系内に潜む3つの小さな天体であるというものです。
光を含め、あらゆるものも情報も光速を超えて伝わることがないため、恒星間のように数光年も離れた3つの天体同士が、何らかの因果関係を持って、たった50分の間で同時に消滅することは理論的にあり得ません。
また、地球から見て近くにあるように見えるだけで因果関係を持たない3つの天体が、たまたま同時に消滅する、などという現象も確率的にあり得ません。
そのためこれら3つの光源が単一の天体によるものではなく本当に3つの異なる天体由来のものであるなら、3つの天体同士が非常に近い距離にあり、かつこれらの天体が地球からも近くにある必要があります。
具体的には消滅した3つの天体は6天文単位以内にあり、かつそれらが地球から2光年(約13万天文単位)以内にあるとされています。
つまり消滅した天体はオールトの雲など、太陽系内のどこかに存在する天体であると主張するのが2つ目の仮説です。
最後に3つ目の仮説は、これらが天体ですらないというものです。
画像を撮影したパロマー天文台の近くにある砂漠地域では、当時核実験が行われていました。
その実験で舞い上がった放射性物質が観測機器に付着した、という説です。
1950年代には、他の画像でも同様の「天体消失現象」が見られる事例が存在していたことからも、3つ目の説の可能性は高そうです。
しかし3つの天体消滅が観測されて以来70年以上経った現在でも、どの仮説が正しいかを決定する確証はなく、今後の追加観測が求められています。
それでは引き続き、一般的な理論では説明できない奇妙な天体消失事件をいくつか紹介していきます。