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藤井聡太挑戦者(19)竜王位奪取&最年少四冠まであと1勝 豊島将之竜王(31)を降して七番勝負3連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月30日・31日。福島県いわき市「雨情の宿 新つた」において第34期竜王戦七番勝負第3局▲藤井聡太三冠(19歳)-△豊島将之竜王(31歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 30日9時に始まった対局は31日18時10分に終局。結果は93手で藤井挑戦者の勝ちとなりました。

 藤井挑戦者はこれで七番勝負3連勝。あと1勝で初の竜王位獲得となります。

 第4局は11月12日・13日、山口県宇部市・ANAクラウンプラザホテル宇部でおこなわれます。

 藤井挑戦者は竜王位獲得となれば、羽生善治四冠(1993年当時22歳)を抜き、史上最年少での四冠同時保持となります。

 豊島竜王と藤井挑戦者の通算対成績は豊島9勝、藤井11勝となりました。

 藤井挑戦者は本日31日のNHK杯2回戦で敗れていたものの、本局の勝利によって、今年度成績は36勝7敗(勝率0.837)となりました。

藤井挑戦者、難解な中盤で抜け出しゴール

 形勢不明の中盤戦。61手目、藤井挑戦者は相手陣に角を打ちこみます。これは上級者にとっては重く見えるようで、おそらく難易度の高い手です。

 対して豊島竜王は1時間27分でじっと桂を打ち、相手の飛車の侵入を防ぎます。これもまた、なかなかできない辛抱のようです。このやり取りのあたりから、形勢は次第に藤井よしへと推移していきました。

 終盤は両者ともに相手陣に飛車を成り込んでの寄せ合い。居玉のままの豊島玉が左右はさみうちの形なのに対して、藤井玉は左辺に逃路が残っていて、わずかに届きません。

 82手目。豊島竜王は自陣で香の犠打をはなち、手を稼ぎにいきます。豊島竜王が席を立っている間、藤井挑戦者は慎重に1分を使い、取って勝ちと確認したようです。

 豊島玉には最後、詰将棋のような詰みがあったようです。藤井挑戦者はそちらを選ばず、攻防の妙手順で、自玉の詰めろをはずしながら一手勝つ順を選びました。

 93手目。藤井挑戦者は香を打って王手をかけます。

 じっとうつむく豊島竜王。グラスに水を注いで飲み、残り1分の声を聞き、そして投了を告げました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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