Yahoo!ニュース

ソフトバンクに連敗も、5年ぶりの対決が実現!島袋の直球を一二三が中前打!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
19日、ついに実現した一二三選手と島袋投手の対決。写真はともに6月のものです。

暑かった、そして熱かった夏の甲子園。ことしの全国高校野球選手権大会が終わりました。朝まで降っていた雨も何のその!20日の決勝は、最後を締めくくるにふさわしい戦いだったと思います。優勝は東海大相模、45年ぶりの頂点です。阪神・一二三慎太選手(22)は東海大相模のエースとして第92回大会に出場。決勝で涙を飲んだのですが、それ以来5年ぶりに決勝まで駒を進め、今度は優勝旗を手にした後輩たちの戦い。「ネットで見ていました。嬉しいですよ!僕も頑張らなアカンと思いました」

5年前の夏、その決勝で投げ合った興南のエース・島袋洋奨投手(22)は大学を経てソフトバンクに入団。6月24、25日に鳴尾浜で行われた阪神ファームとソフトバンク3軍の練習試合で登板したのですが、惜しくも一二三選手に打順が回らず…。その時の様子や両選手のコメントなどは、こちらでご覧いただけます。

<一二三vs島袋 “あの夏”以来 5年ぶりの対決は持ち越し《6/25 阪神ファーム・後編》>

でも今回は対決できました!しかも、前の時から「絶対打てる、打つ」と言っていた一二三選手が、島袋投手の直球を打ちました。詳しくは後半の19日の試合結果で書いています。ちょうど東海大相模が準決勝で戦っている最中のことだったんですよね。

【18日 救援陣の好投に応えられず】

さて、鳴尾浜での試合は7月30日以来だったのに連敗してしまった阪神ファーム。これでソフトバンクが広島に並び、道立首位となりました!20日は2試合とも雨天中止だったので変動なし。昨年に続いて親子Vの可能性もありますねえ。ことしは中止になった分がそのまま流れてしまうため、残り試合数を確定できないのでマジックナンバーの計算がやりにくいかも。『仮マジック』って感じでしょうか。ここしばらく縁のない阪神ですけど。ではまず18日の試合結果からどうぞ。

《ウエスタン公式戦》8月18日

阪神-ソフトバンク 16回戦 (鳴尾浜)

ソフ 000 200 000 = 2

阪神 001 000 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】●サンティアゴ(2勝4敗)-島本-鶴-松田-藤原-二神 / 清水

【ソフ】○東浜(3勝2敗4S)(8回)-S柳瀬(3敗1S)(1回) / 斐紹

◆二塁打 清水

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:緒方  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .222

2]一:西田  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .213

3]遊:北條  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .261

4]指:ペレス (4-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .311

5]中:中谷  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .306

6]二:森越  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .318

7]三:陽川  (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .217

〃走:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .276

〃三:黒瀬  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .193

8]捕:清水  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .256

9]右:横田  (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .220

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

サン 4回 71球 (3-0-4 / 2-2 / 3.20) 144

島本 1回 19球 (0-3-0 / 0-0 / 5.08) 146

鶴  1回 13球 (0-1-0 / 0-0 / 3.00) 146

松田 1回 14球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 147

藤原 1回 16球 (0-1-1 / 0-0 / 3.79) 140

二神 1回 15球 (0-2-0 / 0-0 / 2.01) 148

試合経過

東浜の前に2回まで4三振を奪われるなど完璧に抑えられていた打線ですが、3回1死から清水が左翼線二塁打を放ち、続く横田の中前タイムリーで生還!先取点を奪いました。ところが4回、サンティアゴが長谷川の中前打、江川の四球などで1死二、三塁として6番・塚田の遊ゴロの間に同点。なおも2死三塁で猪本のタイムリー内野安打で勝ち越しを許します。しかし、4回で降板となったサンティアゴをリリーフした投手陣が素晴らしかったですね。

5回の島本は1番・上林から牧原、長谷川の左打者3人をすべて三振に斬って取り、6回の鶴、7回の松田も三者凡退!8回の藤原は1死後、牧原に四球を与えますが清水が盗塁阻止、曽根は見逃し三振と結果的に3人で終了。「前の3人がすごい流れだったんで…緊張しましたよ。先頭を切れてよかった。盗塁アウト、よかった」とホッとしていました。そして9回は二神が三者凡退で締めて、5回以降はノーヒット!すべて3人ずつで片づけています。

ところが打線も3回以外はノーヒットで6回まで進み、7回に西田からの3連打で作った無死満塁の大チャンスも、中谷の三振と森越の併殺打で無得点。8回は陽川のショート内野安打、清水が犠打、横田は四球を選んで1死一、二塁としたものの、緒方が三振として陽川の代走・田上は盗塁失敗…またも併殺で得点なし。東浜を打ち崩せないまま、9回は柳瀬の前に三者凡退で試合終了。ソフトバンク3安打、阪神6安打でした。

島本、初めての3者連続三振!

島本投手は今月、先発で3試合に投げ1勝2敗。1日の広島戦(丸亀)は5回3安打無失点ですが、6日の中日戦(ナゴヤドーム)は8安打9失点(自責8)で2回持たずにKOされ、12日のオリックス戦(北神戸)も9安打4失点で5回途中の降板と打ち込まれました。7月28日以来のリリーフ登板となった18日は5回に登板して、1番の上林選手は真っすぐで見逃し、牧原選手と長谷川選手はスライダーで空振りさせ、なんと3者連続三振!

鳴尾浜で、“その時”を待つ島本投手。
鳴尾浜で、“その時”を待つ島本投手。

「真っすぐが低めに決まってファウルも取れていた。その高さへ変化球が投げられたので、いい結果になったかなと」。ちなみに3人とも三振というのは?「初めてです」とニッコリ。狙っていた?「たまたまです。いいバッターなので、抑えられたらいいなと思って」。上林選手に最初、3球続けてスライダーだったのは珍しい?「きょう清水さんと久しぶりに組んで、ああ~こういうのもあるんだなと。変化球を多めにいって真っすぐ、と考えてくれたと思います」

19日も、同じ左の牧原選手、上林選手のところで登板して変化球のみ3球で2人を打ち取りました。今回の中継ぎ移行は間違いなく、1軍を見据えてのことでしょう。「中継ぎになって、特に左バッターを抑えないと1軍では使ってもらえないので、左は絶対に抑えようと思っていました。インコースにもしっかり投げられたし、よかったです。続けていきたい。続けないといけない」。島本投手もチャンスだと自覚して臨んでいるはず。引き締まった、いい顔つきでした。

復帰登板の松田、好調続く二神

7回には松田投手が、7月に1軍で投げて以来、約2ヶ月ぶりの登板。「右肩はそんなに大したことではなかったんです。少し空けてもらって」。三者凡退という結果には「ピッチング練習から変化球があんまりよくなくて、ブルペンでもダメだったので、清水さんが真っすぐ(中心)でリードしてくれたって感じですかね」。最速は147キロが2球あった真っすぐについても「そんなによくない。まだまだです。きょうに関してはスピードより、久々に実戦で投げられたってのがよかったと思います」と“第一歩”を強調。

みんな揃って三者凡退の好投を見せた、(左から)二神投手、鶴投手、松田投手。
みんな揃って三者凡退の好投を見せた、(左から)二神投手、鶴投手、松田投手。

早く1軍へ、の焦りはないかと聞かれて「ないですね。上がるよりまず自分のやるべきことをやらないと。ファームでもいっぱいやることがあるので。一番は真っすぐの精度。ボールが高くて打たれていたので。変化球もだし、あとはクイックになったら球速が落ちるところも」と課題を挙げた松田投手。「もちろん1軍に行きたい気持ちがなくはないですけど、まずファームでこれらをクリアして、結果を出すこと」と繰り返しています。

9回の二神投手は江川選手を147キロの真っすぐで見逃し三振、塚田選手は138キロのスライダーで空振り三振など三者凡退。この日の変化球はスライダーとカーブのみだったそうで「スライダーめっちゃ速かったですねえ!」と自分で驚いた様子でした。最速は148キロ。7月25日のオリックス戦(富田林)でも149キロをマークしており「スピードはわからないけど、腕が振れているし指にかかっているので」と好感触のもよう。二神投手は20日、筒井投手とともに1軍へ昇格しました。

最後に吉田バッテリーコーチの言葉もご紹介しておきましょう。清水選手についてです。「サンティアゴの入り方、リズムの作り方がよかった。途中はモヤモヤしたけどね。それ以降も、ピッチャーのリズムを作る“清水らしい”リードだった」

【19日 よくも悪くも中谷選手が…】

前日と同じ2対1というスコアで敗れた阪神。19日のソフトバンクは育成の坂田投手が先発でした。公式戦登板は5年目の今季からで、それまではなし。阪神戦は2011年の練習試合(鳴尾浜)で先発していますね。それ以来なので、ほとんどの選手は初顔合わせだったと思います。なお先制タイムリーを放った中谷選手が、自身のエラーから勝ち越し点を与えてしまっての敗戦。悔しかったことでしょう。

《ウエスタン公式戦》8月19日

阪神-ソフトバンク 17回戦 (鳴尾浜)

ソフ 000 100 100 = 2

阪神 100 000 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】横山-島本-渡辺-●桑原(1敗2S)-藤原-鶴-小嶋-玉置 / 小豆畑

【ソフ】○坂田(3勝1敗)(7回)-岡本(1回)-S島袋(1S)(1回) / 栗原

◆二塁打 上林、一二三

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]二:上本   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .500

〃打一二:黒瀬 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .189

2]三二:森越  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .311

〃打中:柴田  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .336

3]遊:北條   (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .261

4]左:ペレス  (4-2-0 / 2-0 / 0 / 0) .319

5]中一:中谷  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 1) .305

6]一三:陽川  (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .210

7]指:一二三  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .182

〃走指:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .276

8]捕:小豆畑  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .218

〃打:岡崎   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .298

9]右:横田   (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .221

〃打:原口   (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .206

〃走:緒方   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

横山  5回 68球 (3-5-0 / 1-1 / 2.33) 146

島本 0.2回 3球 (0-0-0 / 0-0 / 4.98) ―

渡辺 0.1回 4球 (0-0-0 / 0-0 / 3.44) 142

桑原 0.1回 8球 (1-1-0 / 1-0 / 3.05) 146

藤原 0.0回 8球 (2-0-0 / 0-0 / 3.79) 141

鶴  0.2回 14球 (0-1-1 / 0-0 / 2.92) 146

小嶋  1回 10球 (0-0-0 / 0-0 / 0.92) 137

玉置  1回 16球 (2-1-0 / 0-0 / 3.82) 144

試合経過

この試合も先制したのは阪神です。1回に上本の中前打、ペレスの左前打などで2死一、二塁として中谷が中前タイムリー!以降もヒットは出るのに追加点がなく、5回からは3イニング連続で三者凡退と坂田を攻略できません。その間に横山は4回、先頭の上林に右翼線二塁打を浴び、続く江川の右前タイムリーで追いつかれています。

横山は5回を投げて3安打1失点とゲームを作って交代。次の登板は1軍、ですかね。6回は島本が、前日と同じく左2人を3球で片づけ、渡辺も江川を三ゴロに。7回は桑原が長谷川に中前打され、それを中谷が後逸して無死三塁。1死後に代わった藤原が松中に勝ち越しの右前タイムリー、続く栗原にも右前打と、左2人に連打されて降板。鶴は四球を与えて1死満塁としながらも後続を断ち、8回は小嶋が三者凡退に。9回は玉置が2死を取ってから連打を許すも得点は与えませんでした。

打線は8回、岡本から代打・柴田が左前打しますがチャンスは広がらず。そして9回は島袋がマウンドへ。まず陽川が初球147キロで二ゴロに倒れ、次が一二三。ボール、ファウル(どちらも145キロ)でカウント1-1となって3球目、146キロの真っすぐをセンター前へ!代走に田上が送られ、代打・岡崎は一飛で2死。代打・原口が148キロをファウルしたあと147キロを左前打!しかし最後は黒瀬が変化球に空振り三振で試合終了。島袋は公式戦初セーブです。

“あの夏”から5年の時を経て…一二三vs島袋

一二三選手は試合後、島袋投手からの中前打について「“いちにのさん!”で打ったらヒットになった!」と話していたそうです。また「真っすぐしかないと思っていたら変化球もあった」と。前の6月の登板では全球真っすぐだったのですが、今回は一二三選手のあとの岡崎選手と黒瀬選手には変化球も投げていますね。真っすぐできてくれて嬉しかった?と聞いたら「それはないですね(笑)」とのこと。

なお、試合前に話はしたかという問いに「東海大相模、優勝するんだねって言われました」と答えた一二三選手。興南は島袋投手が投げて優勝して以来5年ぶりの出場で、東海大相模とできるだけ最後の方で当たるのを私は楽しみにしていたんですけど、かなわなくて残念。でも島袋投手の予言通り、優勝しましたよ。

ある日の甲子園球場にて。出番を待つ原口選手(左)と一二三選手。
ある日の甲子園球場にて。出番を待つ原口選手(左)と一二三選手。

懐かしい気持ちはあった?「ネクストで見ていたら、“ああ5年前やなあ~”って。絶対打ったろう!と思ったけど、打席に入ったら何も考えてなかったです」。5年前やな~には、5年経ったんやな~の思いもあるんでしょうね。

あとで、いい当たりだったかと聞いたら「つまり!です(笑)」という答えでした。でも悪くはなかったと皆さん言っていましたよ。それより、記者陣によれば1本目の左越え二塁打が“完璧”だったとか。一二三選手、7月10日のオリックス戦(鳴尾浜)以来40日ぶりのマルチヒットです。

また9回に代打で原口選手も三遊間を抜く左前打。8月11日のオリックス戦(北神戸)での中前打が、6月6日の広島戦(三条)で打って以来、23打席ぶりのヒットとなりました。その時は「どん詰まり」という本人コメント。でも今回は「まあまあ」だそうですよ。残留することも多い原口選手ですが、このたびは遠征に出かけました。21日からの広島戦、出番とヒットがありますように。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事