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麻雀でコロナ拡大?中国は雀荘4万か所を営業停止に

宮崎紀秀ジャーナリスト
感染拡大を受け南京市内では大規模なPCR検査を実施(2021年7月22日南京)(写真:ロイター/アフロ)

 中国では江蘇省・南京の空港の清掃員らから始まったコロナ感染が拡大している。江蘇省は麻雀店、いわゆる雀荘が感染拡大の温床になったとみて、省内にある全ての雀荘、4万5371軒を一時営業停止とした。

空港から300人以上が感染

 今回の感染拡大は、7月20日に南京の禄口国際空港の清掃員など作業員9人から、コロナの陽性反応が出たことから始まった。江蘇省は、8月3日の記者会見で、この空港から拡大にからむ同省内の感染者が、2日の24時までに327人に達したと発表した。

 更に、防疫措置として同省内の全ての雀荘、4万5371軒を一時的に営業停止としたことを明らかにした。

 いったい何が起きたのか?

64歳の女性スーパースプレッダーの存在

 南京市の江寧区という場所に住む64歳の女性は、7月21日に、同じ江蘇省内の揚州市に住む70歳の姉の家に向かった。女性は、姉の家に滞在していたが、27日に咳や熱などの症状が出て、病院に行った。翌日にはPCR検査で陽性の反応が出たため、指定の隔離病院に搬送された。コロナ感染が確認されて、女性は南京の病院に移送された。

 ところが調べてみると、女性が住む地域では、そもそも外出制限の措置がとられていた。一方、姉の家がある地域では、南京への訪問歴がある人は、地元の管理部門に報告する義務があったが、女性はそれを怠っていた。

 女性は姉の家に滞在している間に、人の密集するレストランに行ったり、市場に行ったり、麻雀店、いわゆる雀荘にも行っていた。

警察が64歳の女性を拘束

 揚州市の警察は、女性の行動がコロナを拡散させる重大な結果をもたらしたとみなし、伝染病の防止を妨害した疑いで、29日、女性を刑事拘留した。

 以上の経緯は、警察による発表の内容だが、揚州市の衛生健康委員会は、女性の感染が確認された段階で、更に詳細な行動を明らかにしている。

 それを追うと、次のようなことが分かった。

 女性が姉の家を訪れる際に使った交通手段はバスだった。

 女性は姉の家に到着して早速、その日の午後2時前から近くの雀荘に行っている。次の行動までは約4時間。麻雀に耽ったらしい。

 女性はこの日から24日まで4日続けて同じ雀荘に通っていた。いずれも次に分かっている行動まで、3時間から5時間が経過していた。

40人以上が同じ雀荘で感染?

 70歳の姉は濃厚接触者としてPCR検査などを行ったところ、やはり感染が確認された。ちなみに姉が雀荘に行ったのは21日の1日だけだった。

 揚州市では、この64歳の女性の感染が確認されて以来、8月2日の24時まで(3日発表)に、この女性を含め94人の感染が確認されている。そのうち、この女性と姉を含め少なくとも45人が同じ雀荘を訪れていた。他の感染確認者も19人が別の雀荘への訪問歴があった。

 こうなると雀荘が疑われても仕方がないが、そこで全店を営業停止にしてしまうのが、良くも悪くも中国式のコロナ対策ではある。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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