関東地方に春一番!でも本当は恐ろしい気象現象
春一番到来
昨日(13日)の四国に引き続き、今日(14日)は関東地方でも「春一番」が吹いた。
春一番とは、日本海を通過する低気圧によって、立春から春分までに吹く、強い南寄りの風のことである。
春一番は、その名の通り、春の到来を告げる風と言える。冬場は、日本が寒気にすっぽりと覆われているために、暖気と寒気の境目にできる低気圧が日本の南の海上に発達するのだが、冬の終わり頃になると暖気が日本に流入するようになり、日本海で低気圧が発生するようになる。低気圧と前線に注ぎ込む南風の影響で、気温がぐっと上がり、春の訪れを感じる。
言わずもがな、春を心待ちにする人は多く、春は最も人気のある季節である。
かくゆう私も春が好きであったが、歳を重ねるにつれ、どうしても春の嫌な面が目につくようになってきた。花粉症、黄砂はもちろんのこと、春の嵐や、寒暖差からくる体調不良、それに五月病などがその理由である。ヨーロッパの研究によると、気温の変化に対応するのが難しくなるために、春は一年で最もうつ病患者が多く、また自殺率も高いという。
本当は怖い、春一番
特に、真冬に突然の春をもたらす春一番には注意が必要だ。過去の例を見ると、1978年2月に春一番が吹いた時には、強い竜巻が発生し、神奈川、東京、千葉をおよそ130キロの超特急で駆け抜けた。しかもこともあろうに、その竜巻は、営団地下鉄東西線の列車を横転させるという大惨事までも発生させている。
また1972年3月の春一番の時には、悪天候や気温上昇によって雪崩が発生し、富士山大量遭難事故を発生させた。この事故による死者・行方不明者はあわせて約25名に及んだ。
さらに、春一番の後は、低気圧が東の海上へと抜け、西高東低の気圧配置に戻るために、季節は一気に冬へと逆戻りする。気温の急降下は、リウマチ、心筋梗塞、ぜんそくなどの症状を悪化させるとも言われている。
そもそも「春一番」という名前は、諸説あるが、長崎県の漁師たちが、強風による転覆死亡事故をきっかけに、注意を喚起するという観点から名付けた名前である。「春一番」などという、心ワクワクするおめでたい名前に惑わされがちであるが、その実、とても恐ろしい気象現象なのである。(饒村先生のこちらの記事も是非ご参考に)
春は恋の季節
このように散々春の悪口を言ってみたが、そうは言っても、陰鬱極まる厳寒の季節が和らぎ、躍動の春の訪れを感じるのは心地がいい。
神経科学者のヘレン=フィッシャー博士によると、春はメラトニンの分泌が抑制される一方で、ドーパミンの分泌が活発になるために、エネルギッシュで、楽観的になり、恋をするのにもってこいの季節なのだという。ついでに言うと、春は猫にとっても恋愛の季節で、その証拠に「猫の恋」という言葉は、立派な春の季語になっている。