なぜバルサはガビとデ・ヨングを“手放す可能性”があるのか?厳しい財政と補強に向けたプラン。
主力放出の可能性が、ある。
バルセロナは2021−22シーズン、リーガエスパニョーラを2位でフィニッシュした。リーガ、コパ・デル・レイ、ヨーロッパリーグでタイトル獲得を逃して、無冠で一年を終えている。
無論、新たなシーズンに向けて、バルセロナは補強を敢行したいところだ。だが財政が厳しく、状況は簡単ではない。
ロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)、ラフィーニャ(リーズ)、マルコス・アロンソ(チェルシー)、セサル・アスピリクエタ(チェルシー)と複数の選手が補強候補として挙げられている。
■主力売却の可能性
バルセロナは、まず自分たちの持ち場を確認しなければいけない。ジョアン・ラポルタ会長は、補強に向けて、バルサスタジオやバルサライセンシング&マーチャンダイジング(BLM) 社の一部売却、CVCファンドとの契約締結の見直しなどで資金を調達しようと目論んでいる。
しかし、それだけでは足りないかもしれない。そこで、主力選手を売却する可能性が生じている。
この数日、メディアを賑わせているのが、フレンキー・デ・ヨングの移籍話だ。
テン・ハーグ新監督の就任が決定したマンチェスター・ユナイテッドが、デ・ヨングを狙っている。テン・ハーグ監督は、アヤックス時代にデ・ヨングを指導。2018−19シーズンには、デ・ヨング、マタイス・デ・リフト、ハキミ・ツィエクらを中心にした「ヤング・アヤックス」がチャンピオンズリーグでベスト4に進出して周囲を驚かせた。
そのユナイテッドが、デ・ヨングに触手を伸ばしている。ユナイテッドは移籍金8000万ユーロ(約104億円)前後を準備しており、デ・ヨングの獲得に動こうとしている。
ただ、デ・ヨング自身は残留を希望している。「バルセロナに残りたい。以前から、言っていることだ。幼い頃から、バルサでのプレーを夢見ていた。もちろん、他クラブから電話があれば、それに出る。だけど、これ以上、噂について話したくない。コンタクトはない。合意も、公式発表もないんだ」とはデ・ヨングのコメントだ。
■カンテラーノの未来
他方で、去就が定まっていない主力選手が、もう一人いる。ガビである。
ガビは2023年夏までバルセロナとの契約を残している。イバン・デ・ラ・ペーニャ代理人の下に、すでにバルセロナ側からのオファーは届いているようだが、契約延長の一報はない。
「ガビの代理人は、しばらく前に契約延長のオファーを受け取っている。それを受諾したというニュースはない。我々が知っているのは、彼がそれを比較しているということだ。我々はすでに立ち位置を明確にしている」と語るのはラポルタ会長である。
「比較したいというのは分かる。ガビは17歳で、バルサの現在であり、ここで素晴らしい未来が待っている。理解できないのは、彼の代理人がゲームをしているということだ。提示できる年俸額のレベルで、我々が出したオファーというのは、十分に受け入れられるものだと考えている」
バルセロナでは、この数カ月、ウスマン・デンベレの契約延長問題が取り沙汰されてきた。だがガビのケースは、デンベレとは異なる。
ガビはバルセロナのカンテラーノだ。彼を放出してしまえば、手塩にかけて育てたタレントを早々に売却するという前例が残る。ラポルタ会長の復帰後、カンテラ重視の方針を掲げてきたバルセロナとしては、それは避けたい事態だ。
ガビとデ・ヨングが、いずれも残留を望んでいるのは確かだろう。問題は、財政の基盤がしっかりしていないことと、補強のために主力売却の可能性が生じていることだ。解決策は内側にあるーー。その点を外せば、その先には出口の見えない迷宮が待っている。