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夏を思わせる暑さは週前半までで、週後半には各地で梅雨入り?

饒村曜気象予報士
令和2年(2020年)6月7日の予想最高気温

夏を思わせる暑さ

 九州の南海上に梅雨前線が停滞し、沖縄や九州南部では梅雨空ですが、その他の地方では晴れるところが多くなっています。

 このため、強い日射によって気温が上昇し、各地で最高気温が25度以上の夏日となり、所によっては、最高気温が30度以上の真夏日となっています。

 令和2年(2020年)は、4月は気温が平年より低い日が多く、例年よりは夏日は少なかったのですが、5月に入ると気温が平年より高い日が多くなり、夏日が急増しています(図1)。

図1 夏日・真夏日の累計地点数(4月1日~6月6日)
図1 夏日・真夏日の累計地点数(4月1日~6月6日)

 そして、5月末からは夏を思わせる暑さとなり、真夏日が増えてきました。

 6月6日(土)は、上空に春の名残の寒気が残っていたため、地上気温が上昇したことで大気が非常に不安定となり、熊谷では、10分間で50ミリという猛烈な雨を観測しています。

 これは、平成23年(2011年)に新潟県室谷での観測と並ぶ、日本タイ記録です。

 熊谷の6月6日(土)の日降水量(24時間雨量)は74.5ミリですので、雨が激しかった10分間で3分の2が降ったことになります(図2)。

図2 日降水量(6月6日)
図2 日降水量(6月6日)

 関東地方で局地的に激しい雨が降ったといっても、雨が降っている時間は短く、まとまった雨が降っているのは、梅雨前線が停滞している南西諸島です。

 6月7日(日)以降も、梅雨前線が停滞している南西諸島を中心に梅雨空となりますが、その他の地方では大きな高気圧に覆われるため、晴れて気温が高くなるい日が続く見込みです。

 また、上空の春の名残の寒気も日本の東海上に去りますので、6日(土)のような激しい雨はなさそうです。

 ただ、関東地方は南海上の梅雨前線上を低気圧が発達しながら通過しますので、7日(日)だけは、三陸沖からの涼しい寒気が流入しますので、気温が高くなるのは8日(月)以降です(図3、タイトル画像参照)。

図3 地上天気図と衛星画像(6月7日6時)
図3 地上天気図と衛星画像(6月7日6時)

週後半の天気とは違う週前半の天気

 今週前半までは、同じような天気が続きますが、今週の後半からは天気が変わります。

 梅雨前線が北上してくるためで、沖縄では晴れる日が多くなり、東日本から西日本では雨の日が多くなります(図4)。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 今週後半には、関東甲信地方など、各地で梅雨入りするかもしれません。

 各地の梅雨入りの平年値からみると、今週後半に梅雨入りしたとなると、平年より若干遅い梅雨入りとなります(表)。

表 各地の梅雨入りと梅雨明け
表 各地の梅雨入りと梅雨明け

 今週前半に比べれば、後半は気温が低くなりますが、低くなっても夏日です(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(6月7~13日は気象庁、6月14日から21日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(6月7~13日は気象庁、6月14日から21日はウェザーマップの予報)

 新型コロナ対策で、締め切っての効率的な冷房をしないことや、外出には水分補給がしにくいマスクの着用が必要になっています。

熱中症対策が例年以上に必要となっています。

タイトル画像、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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