【直前展望】SUMMER SONIC 2018/今年もサマソニ・ウィークが始まる
2018年もサマソニ・ウィークが始まる。
2000年からスタートしたSUMMER SONICフェスティバル(サマソニの愛称で知られる)は、これで第19回。世界のトップ・アーティストからフレッシュな新人、コアな個性派まで数多くの出演陣が集結、2018年はノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズとベックをヘッドライナーに迎え、8月18日(土)・19日(日)、幕張のZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ、大阪の舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)で同時開催となる。
記録的な猛暑に襲われた日本をさらにヒートアップさせる2日間...と言いたいところだが、サマソニはわずか2日間で収まるイベントではない。長すぎるウィークエンドは既に始まっているのだ。
それでは2018年のサマソニ・ウィークのハイライトを幾つか挙げてみよう。なおスケジュールは東京(幕張)公演に準拠しているので、ご了承いただきたい。
●SUMMER SONIC EXTRA【前編】
サマソニ出演アーティストが単独公演を行うSUMMER SONIC EXTRA。好きなアーティストだったら何度でも見たいし、フェスとは演奏曲目が異なる可能性もある。また、フェスでは同時間帯に複数ステージでライヴが行われるため、どうしても見たいアーティストが重なったりもする。
ファンにとっては嬉しい“救済措置”だが、2018年は8月15日(水)に豊洲PITでマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、16日(木)に新木場スタジオコーストでクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの単独ライヴが行われる。一足早く真夏の祭典を始めることが出来る、豪華なコースだ。
(注:マイ・ブラッディ・ヴァレンタインはサマソニ本編ではなくSONICMANIAへの出演なので、単独公演はSUMMER SONIC EXTRA扱いではないらしい)
●SONICMANIA
8月17日(金)22:00〜
SONICMANIAはサマソニ本編の前夜に行われるオールナイト・イベントだ。単なる“前夜祭”ではなく、本編とまったく遜色ない、フェスの前日だというのに眠らせてもらえない、完全徹夜必至の強力なラインアップである。
SONICMANIAの目玉は、やはりナイン・インチ・ネイルズだ。サマソニ本編、そしてフジ・ロック・フェスティバルの両方でヘッドライナー出演したNINを迎えたことからも、主催者の気合いのほどが伝わってくる。最新作『バッド・ウィッチ』(2018)のヘヴィなギター・サウンドとエレクトロニック・サウンドのせめぎ合いがどのようにステージで再現されるか、期待が高まる。
ジョージ・クリントン&パーラメント/ファンカデリックも真夜中のステージをファンキーに揺さぶる。クリントン御大も77歳ゆえ、あと何回日本で見ることが出来るだろうか。ぜひ見ておきたい...と思ったら、なんとナイン・インチ・ネイルズと時間帯がバッティング!どちらも見たいファンにとっては、苦渋の決断を迫られる瞬間となりそうだ。
それにしてもラインアップが豪華過ぎるというのも考えもので、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとサンダーキャット〜フライング・ロータスがバッティングしたりも。電気グルーヴとUNKLEは客層が重なりそうでもあり、どのステージに向かうか、「前半はこっち、後半はあっちに移動して...」など、実に贅沢で悩ましい一夜だ。
●SUMMER SONIC 初日
8月18日(土)10:00〜
サマソニ本編の初日は、ハードなロックのファンにはたまらないアーティストが次々と登場する。
屋内のマウンテン・ステージはトップバッターのHER NAME IN BLOODからマーモゼッツ、そしてマストドン、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジという連打で押しまくる。
2018年はヘヴィ・メタルの祭典『ラウド・パーク』フェスがお休み。意気消沈していたメタル・ファンが溜飲を下げる1日になりそうだ。ちなみにマストドンは2006年、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインは2008年に『ラウド・パーク』に出演している。
2017年の『フジ・ロック・フェスティバル』でベスト・アクトのひとつと絶賛されたクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが2年連続で来日するのは大注目だ。一時はなかなか日本に来てくれないアーティストの筆頭だった彼らが早くも戻ってくるのは、ひとつの“事件”ですらある。
だがしかし!各ステージのヘッドライナーが出揃う時間帯のため、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジとノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ、テイム・インパラ、カマシ・ワシントンが見事に重なってしまうのだ。クイーンズ〜を見たくて、ステージ間の距離を考えると、最も現実的な策はクイーンズ〜終演後にソニック・ステージのテイム・インパラの最後だけを見るというものだろうか。
あれも見たいし、これも見たい。ラインアップが豪華であるがゆえの悲劇がここにも待ち構えているのだ。
●MIDNIGHT SONIC
8月18日(土)22:00〜
土曜の深夜から日曜の早朝にかけて、オールナイトのMIDNIGHT SONICが行われる。サマソニ初日が終わったからといって、帰ったら負けである。
水曜日のカンパネラ、MOODOID、WOLF ALICEなど比較的若手中心のラインアップが出演するが、実にニクイのはちょうど終電前の23:35からスパークスが登場することだ。半世紀におよぶキャリアを誇りながら、常に新しい音楽性を追求してきた彼らはフェス人気も高く、2008年・2013年のフジロックへの出演に加えて、2015年にはサマソニの深夜枠(Hostess Club All-Nighter)にフランツ・フェルディナンドとのプロジェクトFFSで出演している。
スパークスのステージを見てしまったら、もう帰ることは出来ない。朝までコースに突入だ。
●SUMMER SONIC 二日目
8月19日(日)10:00〜
2日目はベックがマリン・ステージのヘッドライナーを務め、ニッケルバックやパラモア、マイク・シノダ(ofリンキン・パーク)などロック勢が多数出演。3〜4月の『Warped Tour Japan』に参加したBAND-MAIDとPassCodeがそのままサマソニにも連続参戦する。
そんな中でやはり外せないのがセイント・ヴィンセントだ。サマソニ、フジロック、Hostess Club Weekenderなどフェス/イベントに多数参加、2017年にもHostess Club All-Nighterでサマソニ出演を果たしたばかりの彼女だが、そのライヴを見るたびに進化を続けており、それでいてタイムレスなポップ・ミュージックらしさが貫かれている。
なおセイント・ヴィンセントのひとつ前にソニック・ステージに登場するポルトガル・ザ・マンもまたコマーシャリズムと独自のアイデンティティを兼ね備えたバンドで必見だ。2013年のフジロックで初来日を果たした彼らはオルタナティヴともサイケデリックとも分類しがたい個性を誇っており、再来日が待たれていた。
ポルトガル・ザ・マン〜セイント・ヴィンセントと同時間帯にはマリン・ステージでチャンス・ザ・ラッパーが出演という見事なバッティングぶりで泣かせるが、今回の出演ラインアップの充実ぶりを改めて実感させられる。
ビーチ・ステージのヘッドライナーにはジョージ・クリントン&パーラメント/ファンカデリックが再び登場。日曜のヘッドライナーのステージが終わって花火が打ち上げられるとき、皆さんはどのステージにいるだろうか?
●SUMMER SONIC EXTRA【後編】
サマソニ本編が終わっても、祭りはまだ終わらない。8月20日(月)には渋谷クラブクアトロでスパークスの単独公演が行われる。
MIDNIGHT SONICで彼らのステージを見た人にも見なかった人にも、「ディス・タウン」「ザ・ナンバー・ワン・ソング・イン・へヴン」「アマチュア・アワー」などのヒット曲に彩られたライヴは、夏の終わりのセレブレーションをもたらしてくれるに違いない。
今からでも間に合う。サマソニ・ウィークに頭からダイヴしていこう。
【公演インフォメーション】
●SUMMER SONIC 2018
2018年8月18日(土)/19日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
●SONICMANIA
2018年8月17日(金)
幕張メッセ
●INFO:
クリエイティブマン