中にも外にも栗いっぱい!半割り?それともまるごと?「翠江堂」さんの上生菓子で栗三昧!
本格的に秋が到来し(時折冬?と思うことも)、ほっこくりとした栗やかぼちゃ、さつまいものなどの食材が一層美味しく感じられるようになりましたね。あつあつの焼き芋、ほかほかの煮ものにシチューなど、体の芯から温まるような料理が恋しい夜が増えました。さて、人気の衰えない栗を使用した和菓子。まだ残暑厳し頃は冷たいお茶やアイスコーヒーなどと一緒に楽しんでいましたが、ホットコーヒーや湯気が立ち昇るお茶との組み合わせへとシフトチェンジしてきた今日この頃。
東京都中央区新川、一年中いちご大福を販売なさっている「翠江堂」さんは、評判のこし餡を使用したお菓子をはじめ、練きりをはじめとする上生菓子も人気。お茶席やお茶の教室などでも多数指名されるほど名高い和菓子屋さんには、栗の御菓子もいくつか並びます。
今回は「栗むしようかん」と「栗形」をご紹介。
実は栗むしようかんも栗形も、『小豆こし餡を蒸す』という同じ工程を経るものなのですが、見た目も全く異なりますよね。
栗むしようかんは容器にようかんを流し込み、その上から満遍なく栗の含ませ煮を配置していきます。カットした際にばらつきがないように敷き詰めることができるのは、長年の経験があるからこそ。蒸し羊羹の部分はごくごく優しい塩気が効いて、マイルドながら飽きの来ないわい。もちもちとした食感を数回咀嚼しながら楽しむと、いつの間にかさらりと溶けてきめ細やかなこし餡へと変化を遂げて口の中へ広がり、ゆっくりと流れていきます。含ませ
煮もぽりぽりとした食感を残して心地よい。つるんとした食感の錦玉も、艶出しや保湿だけではなく、食感や種類のことなる甘味のアクセントに。
そして栗形は、『こなし』製。こなしと申しますのは、小豆こし餡や白あんに小麦粉を混ぜて蒸しあげ、そこから扱いやすいようにこなす(揉む)工程を経て使用されます。いわゆる練り切り餡は白餡に白玉粉や求肥、山芋などを加えて練り上げるので、工程が異なります。
あっさりとした味わいの小豆こなし餡が模る、なんとも愛らしいぷっくりとした栗。こなし餡の部分は練り切り餡よりもあっさりしています。そのあっさりとしたこなし餡に包まれているのは、栗の含ませ煮。しかもまるごと1粒!なんと贅沢なんでしょう。あっさりとしたこなし餡は、素朴なのに濃厚な香ばしさが立ち昇るふくませ煮の味わいを何倍も引き立ててくれる優等生です。
同じ素材、工程を経るものとはいえ、全くことなる姿かたちとなる和菓子。実に興味が尽きません。あれこれ食べ比べしたくなる、食欲の秋ですね。
<翠江堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区新川2-17-13
03-3551-5728
月曜~金曜 9時~18時
土曜 9時~14時
定休日 日曜・祝日