YouTube番組の制作費は、テレビゴールデンタイム番組制作費の1%だった
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00292020/title-1650248091025.jpeg?exp=10800)
KNNポール神田です。
宮迫博之さんのインタビューで、YouTuberとして活躍する苦労がヤフーニュースで語られていた…。テレビのバラエティの主役ともいえるゴールデンタイムからYouTuberへの転身へまもなく3年になろうとしている…。
□2019年6月からの闇営業騒動。そして、去年のコンビ解散。そこに焼肉店のオープン
□テレビに出ていた時代に比べて、自分が関わらなければいけない領域は増えましたね。チャンネルの方向性や動画の企画構成などもスタッフと一緒にミーティングを重ねています。
□テレビの番組とは違い、自分のチャンネルなので自分で動いて、考えて、責任を取る。そのやりがいと大変さを感じています。
□あとは、会う人がガラッと変わりました。テレビ時代は毎日のように周りに腕のある芸人さんがいて、お仕事とはいえ、これでもかと腹を抱えて笑っていたなと。
□今は今で自分の責任でやりたいことができている。それはとてもありがたいんですけど、腹を抱えて笑う回数は純粋に減りました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakanishimasao/20220416-00287886
宮迫さんらが、腹を抱えて笑いながらも仕事ができる最大の要因は、なんといっても『役割分担』の大きさだろう。
TVタレントはタレントのみに徹することができた。しかし、YouTuberは自らがタレント兼、チーフプロデューサーであり、制作会社であり、ADなのである。
このインタビューが気になり、ゴールデンのMC時代とどれだけ現在の番組制作が違うのかを調べてみた。
■『ゴールデンタイム』のテレビ制作費は2,000万円
YouTubeを見ている人には、テレビ番組の放映時間の『編成』はまったく関係ないが、19時から22時までの3時間のことを日本では『ゴールデンタイム』と呼ぶ。
この時間が一番、広告料の指標となる『視聴率』が取れる時間とされている。
そしてこの時間帯の制作費が1回の放送あたり約2,000万円と推定されている。低予算番組でも約300万円と推定されている。
https://www.odayakablog.com/tv-productioncost/
このデータを元に大きく分類分けしてみてYouTuberとの差異を比較してみた。
![出典:KandaNewsNetwork](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00292020/image-1650249387618.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
上記データを元にコストを部門ごとに集計
クリエイティブコスト890万円 45.3%
ロケーションコスト 186万円 9.5%
スタジオコスト 300万円 15.3%
タレントコスト 410万円 20.9%
編集コスト 180万円 9.2%
合計 約2,000万円 100%
ゴールデンのMCをやっていた宮迫さんのギャラ『200万円』の大半は、所属事務所のよしもとへ… タレントコストの48.7%がメインMCだ。
約2,000万円の番組制作費の1割がMCクラスのタレントコストだ。タレント費は400万円としても、2000万円の2割を占める。
これが、宮迫さんらが、楽屋で大笑いしながらも仕事ができる最大の要因である。残りの8割で番組が制作される。
タレントコスト以外のゴールデンの制作費は、1,590万円とふんだんにある。
■YouTuber番組の制作費 約20万円
YouTuberの番組制作費は千差万別、すべて一人でゼロ円というクリエイターも多いが、スタッフを抱えて制作した場合の1番組あたりを筆者の経験より積算しみた…。
![出典:KandaNewsNetwork](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00292020/image-1650250047947.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
クリエイティブコスト 5万円 25%
ロケーションコスト 5万円 25%
スタジオコスト 2万円 10%
タレントコスト 5万円 25% ※ゲスト交通費程度
編集コスト 3万円 15%
合計20万円 ※筆者査定価格
2〜3人のスタッフによるYouTube番組制作費の筆者の推定コストは1番組あたり20万円。
■YouTube番組はゴールデン番組の1%の制作費
YouTube番組、10分程度の番組制作費を20万円と想定すると、
YouTube番組は、
ゴールデンテレビタレントコスト410万円の5%の20万円で制作できる。
2,000万円の番組制作コストの1%の20万円でしかない。
テレビほどのスポンサーではなく、YouTubeからの広告分配による収益が見込める。
原価の20万円以上の収益はすべて利益となるビジネス構造だ。
■宮迫博之チャンネルの収益は?
宮迫ですッ!【宮迫博之】
138万人登録 ※2022年4月18日現在
https://www.youtube.com/channel/UCtubooLn_qgqoWsWS-UWuHw
整形手術によるリポート
195万回再生 2022年4月17日時点
2021/06/27公開 まもなく1年経過…
SocialBlade.com による分析
![出典:SocialBlade.com](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00292020/image-1650250851037.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
https://socialblade.com/youtube/channel/UCtubooLn_qgqoWsWS-UWuHw
現在、600本ものビデオ投稿があり、138万人(1.38M)もの登録者数。
総再生数は 4億488万回再生。
初投稿は、2019年11月27日からだから、今年の秋で3年目となる。
興味ぶかいのは…
月収の予測が 1.5KUSドル から 24.1KUSドル ということだ。つまり、1,500ドルから 2万4,100ドルの間。
エンタメのジャンル属性は再生広告単価がそれほど高いジャンルではないが、月収は15万円〜240万円
※1ドル100円換算 までの差がある。
ドル換算で考えると、円安はYouTuberにとっては、ありがたく、1ドルあたり126.44円 とすると、
18.9万円〜303.6万円まで想定できる。
ここは、最高額の月収 300万円で見込むと…。
■『毎週「火・水・木・土・日」更新!チャンネル登録お願いします!』
現在は、本数を週に5本で、月に20本。
制作費だけでも、@20万円×20本だと400万円だ。
最高額の月収 300万円
つまり…月額▲100万円のド赤になるのだ…。
しかも、『有頂天レストラン』のような『昭和のバラエティ』を考えると、テレビ局並のスタジオコスト300万円はかかってくる…。
セットの豪華さで驚くのは演者側であり、テレビで豪華なスタジオセットで見慣れている人には、日常の出来事なので、コストの高さはつたわりにくい…。
124万回再生 47分番組 2021/05/23 公開 まもなく1年
1日あたりの再生回数は 3,397再生となる。
ほとんど完璧なまでのテレビ的な番組づくりも行っている。
しかしだ…。豪華なセットで、テレビのバラエティのようなものでトライしているが、当然、先行投資で自信の作なのでトップに掲載されている。
この1本で320万円(スタジオ300万円+通常制作費20万円)以上のコストがかかっているのだ。スポンサードもあるから実現するテレビ的な企画だろう。
テレビでもおなじみの、デヴィ夫人も登場。
いや、逆にYouTubeではなく、反対にテレビっぽいので、宮迫ですッ! でみたいものは豪華なゴールデンのテレビ的なものだろうか?
スポンサードがあるので、テレビ的な生コメントによるCMが入っていくる…のもYouTubeでは、非常に違和感がある。
YouTuber的な忖度のない紹介ではなく、テレビのCMクリエイティブのないままの生コマーシャルなのだ…。
焼き肉レストランからコラボレーション、テレビの真似事まで、収益の大半も再投資につぎ込む NETFLIX的な運用がもうすぐ3年目に突入する。
シンプルにコストをかけずに、芸能界のウラ話を、忖度なしに、暴露してもらったほうがう良いのではないか?
上沼恵美子のチャンネルと同様、コストをかけなくても番組が作れるのがYouTubeのよいところだ。
上沼恵美子ちゃんねる
https://www.youtube.com/channel/UCxuuuG_hArKRyRWQaBhznPA
■YouTube経済効果は日本で2,390億円、7.5万人のフルタイム雇用 それは収益の65%還元のYouTubeの経営方針上の都合でいつでも変わる
□YouTubeは、収益の65%を配信者に還元するという収益度外視でのメディア開発をおこなってきている。
□いつまでこの状況が続くかはわからないが、まずはマスコミ媒体の主流のIPがネット側に流れ込むまでこの動きが続けば、広告を主たる収益の原資としたマスコミ媒体は、近年、経営の重症患者となるのは明白だ。
□この65%をコンテンツ製作者に配分するというモデルは、他の企業が真似たくても真似ができないのは、Googleが世界の広告市場を締めているからだ。
□そして、YouTubeの売上は、Googelの10%ほどだ。Googleの絶大なる加護の中、YouTubeなどの動画メディアへの積極的な投資が収益を度外視でおこなわれている。
□その影で、マスコミ四媒体、プロモーションメディア広告費などが蝕まれていっている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20220307-00285354
2022年、4月、地上波テレビが最後の応戦でTVerでのゴールデンタイムのリアルタイム通信を提供しはじめた。
■『電波利用料』の原価率0.06%のうまみが消え去る時
「電波利用料」1時間660円を104万円で売る放送利権の実態
□地方122局を対象に、放送1時間あたりの電波利用料を算出してみた。1日の放送時間を22時間とすると、1つのテレビ局の年間放送時間は8030時間で、前述した122局の電波利用料の平均530万円で割ると、1時間平均660円となる。この金額が、地方で公共の電波を国から1時間借りるのにかかる金額になる。
□電波利用料は1局平均年530万円
□テレビ局全体の電波利用料負担は、総計で34億4700万円にしかならないのに対し、営業収益は3兆1150億8200万円もある。電波の“仕入れコスト”は、営業収益のわずか0.1%ということになる。
何よりも、テレビ番組とインターネット番組の大きな違いが、
電波利用料と言われる『波料』が広告費以外にかかるところだ。
しかもそのテレビ局の利益率は限りなく100%に近い。
広告主にとって、広告費以外に波料を払ってもまで広告を出稿するメリットがあった時代はよかった。しかし、マスメディア4媒体の広告費がインターネット広告費に追い抜かれる時代である。
YouTube全盛時代に『波料』そのものの価値を考えるべきだ。
また、番組の高価格体質を、3〜4時間の1本あたりの長時間番組化によるデフレを考える前に『波料』分のコストカットを考え、番組ごとに独自のプラットフォームで視聴機会を展開していく方法の開発が必要だろう。
TVerのように民放そろっての護送船団方式に、NHKプラスの6月まで試験的な利用可能が加わり、地上波を誰もみなくなる時代が日本にも訪れる…。
米国のHuluはすでにDisneyの傘下だ。サブスク世界大戦の中、日本語で守られた地上波テレビの死期は現在の高齢者の寿命と同じだ。