遂にプラネットナインの「直接の証拠」の初観測に成功!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「プラネットナインの痕跡を遂に観測か」というテーマで動画をお送りしていきます。
プラネットナインとは
現在太陽系には水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つの惑星が発見されています。
以前は冥王星も含め9つの惑星がありましたが、観測技術の進歩により、冥王星が位置する太陽系外縁部に同程度の大きさの天体が多数発見されたことで、冥王星は2006年に惑星から外れ、準惑星に分類されるようになりました。
冥王星が惑星から外れてから現在まで、太陽系に第9惑星は存在していません。
ですがもしも発見されれば新たに惑星に分類されそうな巨大天体が太陽系外縁部に存在する可能性が何十年も前から囁かれてきました。
そんな中、5年前の2016年には、プラネットナインが存在する観測的な根拠が新たに提案されました。
その根拠は既知の太陽系外縁天体の公転軌道にあります。
内部の惑星たちはほぼ同じ面を公転しているのに対し、外縁天体はまた違った角度の平面で公転しています。
また、公転軌道が一方向に集中していたりしています。
これらの特異な公転軌道を持つ天体たちが単なる偶然で似たような公転軌道になったとは考えにくく、偶然でそうなる確率は15000分の1程度なのだそうです。
こうなった原因を、質量が地球の5-10倍程度ある巨大な惑星サイズの天体の重力的な作用によるものだと考えると、非常につじつまが合うので、これがプラネットナインの根拠とされました。
しかしプラネットナインは地球から400-800au(※1au=地球と太陽の平均距離≒1.5億km)という超遠方を公転している可能性が高いと考えられ、その場合非常に暗く、さらに存在位置も不確定なので、観測が極めて難しく、発見には至っていません。
それ以来、プラネットナインの存在を支持する研究や、逆にそれを否定する研究成果も発表されるなどして、プラネットナインが実在するかどうかの議論が非常に盛り上がっています。
プラネットナインの痕跡を新発見!?
そんな中2021年11月6日とつい先日、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者が、プラネットナインの直接の証拠となりうるデータを史上初めて明らかにすることに成功したとの研究成果を発表しました!
研究者が注目したのは、1983年1月から10か月間におよび赤外線天文衛星IRAS(アイラス)が撮影した、全天の遠赤外線による観測データでした。
仮にプラネットナインが実在した場合、非常に微弱な赤外線を放っていると考えられ、IRASのデータにもプラネットナインの信号が写りこんでいる可能性があります。
IRASは観測によって赤外線を放射する点光源を実に約25万個発見していますが、そんな中でプラネットナインの候補として考えられる光源を厳選した結果、たったの3つだけが残りました。
これら3つの光源はプラネットナインである可能性がありますが、当然そうとは言い切れず、むしろプラネットナインである可能性の方が低いといった方が正しいかもしれません。
まず発表を行った研究者は、IRASの観測精度が現在の水準と比べて低く、さらに2008年から運用されているPan-STARRSと呼ばれる別の観測計画では、プラネットナインの候補となった光源を再検出できていないことにも触れています。
またプラネットナイン以外で可能性が排除できていない候補として、「galactic cirrus(銀河の巻雲)」と呼ばれる、地球から比較的近傍にある塵の雲も挙げられています。
画像の円盤上下に存在するもやもやがそれにあたります。
銀河の巻雲はプラネットナインと同様に、天の川銀河の円盤のある平面に近い銀河の低緯度領域にあり、プラネットナインと同様に遠赤外線を放っています。
そのため3つの候補光源の正体は銀河の巻雲によるノイズである可能性があります。
このように可能性は低いとはいえ、プラネットナインの直接の証拠となる候補が発見されたのは大きな進歩です。
もしも今回の点光源が本当にプラネットナインによるものであれば、プラネットナインの質量は地球の3-5倍、地球からの距離は225auと、2016年時点での推定よりも小さく、近い位置にある天体であると推定されています。
今年末に打ち上げ予定となっている、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機である「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡」が打ち上げられ、観測が行われれば、プラネットナインの直接の発見に大きく前進するかもしれません。楽しみです!
また以下の動画で、プラネットナインの常識が覆るような最新の特に大きなニュースを3つ厳選して解説しているので、併せてご覧ください!