金時豆の鹿ノ子が魅せる夜桜の魅力「花あかり」ほくほくの金時豆とぽってりとしたこしあんに舌鼓
静岡県が誇る名店のひとつ、「巌邑堂」さん。
ハイセンスと言い切るには無粋ですが、足し算引き算のバランスがとれたお洒落な上生菓子だけではなく、滋味深い味わいのどら焼きも、地元の方々だけではなく都内や多方面からも人気の商品となっています。
現在本店を構える静岡県浜松市だけではなく、東京の日本橋高島屋さん、さらにタイのバンコクにも支店を構えるなど、伝統の味わいから新しい切り口の和菓子の魅力を、国内だけにとどまらず海外へも発信なさっている創業明治4年・創業150年以上の老舗です。
今回は春の生菓子の中から、夜桜を彷彿とさせる「花あかり」をご紹介。
大正金時豆の鹿ノ子・中餡はこし餡。
宵闇を演出する鹿ノ子を縁取る、桜の花に型抜かれた練り切りが艶やか。パステルカラーの花びらに、雄しべと雌しべの型もつけられているところが細かい…!日中の柔らかさとはまた違う、暗がりすら引き立て役にしてしまう桜の可憐で蠱惑的な魅力が詰まっています。
大粒で威厳すら感じられる大正金時豆は、一粒一粒の存在感が抜群。錦玉を纏っていますが、蜜煮そのものの味わいがあっさりしていて美味しい。けれど、錦玉と、ぽわんとしたこし餡と三位一体になることで、素朴な味わいがより贅沢でふくよかな味わいに進化。金時豆とこし餡の食感のコントラストも楽しめます。
小豆やうぐいす豆といった粒が比較的細やかな鹿ノ子は比較的よく見かけますが、ここまで立派な金時豆を絶妙な配置とバランスで仕上げるのは流石だなと思いました。夜を黒豆ではなく、あえて金時豆にて表現するという発想にも感服。
素材の持ち味を引き出し、より高めていく技術が詰まった鹿ノ子。美味しくいただきました。
今回は日本橋高島屋さん地下1階の店舗にて購入致しました。
定期的に生菓子のラインナップも変わっていきますので、そこも訪れる楽しみになりますね。