【英会話】I take some pills. って言ったら本気で心配された。なんで?
仕事で英語を話し始めて20年ほどになりますが、英語を話し始めたころ、よく誤解の原因になったのは時制でした。言いたいことと違う時制を使ったせいで話があさってや明々後日の方向に行ったものです。
そんな私の失敗談や、今も私のまわりで起こっている失敗英語を多少脚色もくわえて、ご披露したいと思います。今回は、読むとNative English Speakerに余計な心配をかけずに済むお得なエッセイです。
薬飲んでるから、じきに良くなるよ
今ではそうでもないですが、以前、英会話スクールに勤めていた頃はたまに眠れないということがありました。社長からのプレッシャーがきついとかそういうことではなくて、生徒様の英会話力が上がってなかったらどうしようという心配です。
今の私の会社でも使っていますが、その会社ではVERSANT という口頭英語力測定テストを使っていて、明確にその生徒さんの英会話力が数値化される。Native English Speaker講師と生徒様と私の三人四脚で3ヶ月とか半年とか頑張った結果が数字で示されるんです。きちんと英語を理解して会話をトレーニングしているんで、大抵の方は大幅にスコアをあげられるんですが、それでも不安は尽きない。
当日の体調は大丈夫かな? 緊張してパニクらないかな? とかの不安です。
で、そういう時にたまに眠れなくなっちゃう。
そんなことを、当時のNative English Speaker講師のCatherineに話したことがあります。
最近眠れなくてねぇ~と軽く話したんですが、大丈夫? と意外に優しい言葉をかけられまして、あら、いつもはそっけなくビジネスライクに突き放すタイプなのに心配かけたかな? と思って、笑顔でこう続けた。
Don't worry. I take some pills so I’ll be back to normal. (大丈夫。薬飲んでるから、じきに良くなるよ)
病院に行って軽い睡眠導入剤をもらってたんです。習慣にならない奴。
そしたら、それを聞いたCatherineの顔がぱあ~っと曇っちゃった。本当に大丈夫? むかしから飲んでるの? って本気で心配顔。
あれ、なんかおかしい? なんでむかしから飲んでるの? って確認されるんだ? なんかうまく伝わってないような。
これ、みなさん、私の言った英語がCatherineにはどう聞こえたかおわかりになるでしょうか?
ポイントは、take some pills にあります。
当時の私は現在形の本質的なところがいまいち判っていなくて、今のことを伝えるには現在形を使えばいいやとぐらいにしか思っていなかったんですが、違うんですねぇ。
文法書などにはちゃんと「現在形は、現在の状態・習慣・動作・事実をあらわす」と書いてあるんで、よく考えれば判るんですが、現在形って基本的に変わらないことをあらわすときに使うんです。言ってみれば、変わらない事実(I am a boy. なんて、まぁ、10年か15年ぐらい変わらないですよね? 大人になるまで)や変わらない動作=習慣をあらわす。
なので、take some sleeping pills って言われたCatherineが心配するのも当然です。いつも通り薬を飲んでる と聞こえたわけで、この人、前から薬飲んでるって大丈夫かしら? と思ったわけです。いくらそっけないCatherineでも心配します。
その場で、どうも話があさっての方向に行ってるのに気づいたんで、手を変え品を変えて、当時のつたない英語で習慣的に薬を飲んでいるわけではないことを伝えて誤解は解けましたけど、もちろん、怒られました。
Don't make me worry. (余計な心配させないでよ)
って。
いやはや、申し訳ないところです。
と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。
あっと、本当は私がどういう時制を使うべきだったのかを書き忘れていました。ここで私が使うべきだったのは、過去のある時から今までいつもと違うことをやっているイメージを持つhave been doing です。なので、
I’ve been taking some pills so I’ll be back to normal.
というと、ここ最近だけ飲んでるけど普通に戻るよ ということを伝えられます。あるときから今までいつもと違うことをやるときには、have been doing。イメージして使ってください。
イラスト 大橋啓子