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【英会話】Recently, is changing って言ったら首を振られた。どこがおかしい?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほど仕事で英語を話していますが、英語を直観的に話せるようになってきたころに、やらかしたのは時制と時間の副詞のミスマッチでした。時制も副詞もイメージしてるんですが、慣れた言い回しを口が言っちゃうんですよねぇ、ぽろっと。もちろん言い訳ですが。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと「最近」をあらわす単語のイメージを得られるお得なエッセイです。

最近、アルゴリズムが変わったみたいだよ。

 今では、広告や宣伝というとWEB が当たり前ですが、わたしが以前働いていた会社はそれのハシリみたいな会社でした。広告はホームページだけ、CMもチラシも打たない、看板すらないというスタイルです。そんなんで大丈夫か? と心配される向きもあると思いますが、ありがたいことにお申し込みはたくさんいただきまして、忙しい日々を過ごしていたものです。
 ただ、もちろんこれにはカラクリがありまして、広告は打たない代わりにWEB の検索順位に関しては敏感になっていて、かなり力を入れていました。専門の部署があって毎日ああでもない、こうでもないとホームページをいじってる。
 一応わたしはVice-President だったんで、そんな部署からの報告も受けていたんですが、あるとき、ガクンと申込数が下がった。わけを聞いてみると、検索のアルゴリズムが変わったという話で、早急に対応しますとのこと、よろしくね~という感じで話は終わったんですが、それを心配したRichが私に理由を聞いてきた。私は、申込数減にともなうスタッフのシフト変更を考えていたもんだから、うわの空で、さらっと考えなしに言っちゃう。

Recently, the algorithm is changing. (最近、アルゴリズムが変わってるみたいだよ)

 ちょっと前から変わってきている ってイメージだったんでそう口走ったんですが、そしたらRichのやつ、あっさり首を振る。
 あれ、おれ、なに言った? と思った瞬間わたしも気づいた。
 みなさん、この英文のどこが間違っているか気づかれたでしょうか?

 問題は、recently と時制がズレていることにあります。
 わたしの使ったrecently は最近、近頃 などに訳される副詞ですが、そこに含まれているイメージは、ちょっと昔 もしくは ちょっと昔から今まで というものです。一方で、is, am, are doing は、現在の述語を強める・活発化するイメージの時制です。ということは、is, am, are doing とズレちゃう。is, am, are doing に過去が含まれてませんからね。
 なので、Richにあっさり首を振られた。

 あわてて、ちょっと昔から今まで をあらわして、プラス活発化イメージのhave been doingを使って、

Recently, the algorithm has been changing.

と、言いなおすと、Richはにっこり。よくわかる自然な英語だと褒めてくれました。

 英語をまだ使い慣れていないころだと、ひとつ自然な英語を手に入れたと喜んでここで終わってたんですが、このころになると、わたしもだいぶ英語を使えるようになっていいたんで、ちょっと疑問も浮かぶ。で、よせばいいのに余計なことも訊(き)いちゃいます。申し込み減の対策考えなきゃいけないのに。

 Richに、じゃあ、昔から今もつづく をあらわすlately を使うとどういう意味?
 って訊くと、Rich、今度も首を振る。どういう意味かを聞いてるのに首を振られるって、なんだと思ってると、
おれは使わないよ
ですって。

 English man のRichはlately を肯定文で使わないんだそうです。ちょっと昔から今まで のイメージのhave pp とかhave been doing だけで充分と感じちゃうんだとか。じゃあ、どういうときに使うかと言うと、否定文と肯定文。てことは、lately は昔から今もつづかない 昔から今もつづいているか? というイメージなんですね、English people にとっては。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 ちなみに、北米ではlately を肯定文でも使うそうです。
The clientele has been changing lately.(客層が最近変わって来てる)
 recently より、変化が今(そして今後)も継続しているイメージですね。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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