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上原浩治がカモにした本塁打王、上原をカモにした準レギュラー

宇根夏樹ベースボール・ライター
上原浩治/左奥はジョン・ジェイソ Aug 29, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグで上原浩治と対戦した打者は、ポストシーズンを含め、589人を数える。そのうち、打率.000は328人。マイケル・ソーンダースネルソン・クルーズ(現ミネソタ・ツインズ)の2人は、上原との対戦が10打席以上あり、どちらも11打数0安打に封じられた。

 通算打率.231&81本塁打のソーンダースと違い、クルーズは2010年代を代表するスラッガーの一人だ。このディケイドの312本塁打(通算367本)は、エドウィン・エンカーナシオン(現シアトル・マリナーズ)の314本に次いで多く、打率も.278(通算.274)と低くない。

 クルーズは、2014年にボルティモア・オリオールズで本塁打王を獲得した。当時はクルーズとチームメイトで、その前年と翌年にこのタイトルを手にしたクリス・デービスも、上原には打率.143と抑えられた。最初の2打席はホームランとシングル・ヒットながら、その後は12打数0安打。2011年の夏に上原がオリオールズからテキサス・レンジャーズへトレードされた時、デービスはその交換要員としてトミー・ハンター(現フィラデルフィア・フィリーズ)とともにオリオールズへ移り、その後は移籍することなくプレーしている。

筆者作成
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 一方、上原との対戦が10打席以上の31人中、打率.300以上は6人だ。そのなかには、デレク・ジーターロビンソン・カノー(現ニューヨーク・メッツ)のようなビッグ・ネームもいるが、上原から最も多くのヒットを打ったジョン・ジェイソは違う。9シーズンで打率.258&55本塁打。控え選手ではないが、完全なレギュラーでもなく、規定打席に達したシーズンは一度もなかった。

 5安打の内訳は、ホームランと二塁打が2本ずつ、シングル・ヒットが1本。トリ・ハンターエバン・ロンゴリア(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)も上原から5安打を記録しているが(対戦打率は.263と.179)、長打を4本打った打者は、ジェイソの他にいない。2013年までの対戦は4打数0安打だったが、2014年以降は6打数5安打と一変した。

 なお、ジェイソとジョン・ジェイ(現シカゴ・ホワイトソックス)の名前はよく似ている――John JasoとJon Jay――が、血縁関係はなく、ジェイは上原に対して6打数0安打だ。ただ、2013年のワールドシリーズ第3戦では、同点の9回裏1死二、三塁の場面で、上原がジェイにゴロを打たせ、二塁手からの送球を受けた捕手が、滑り込んできた三塁走者にタッチして2死としたものの、そこから、捕手が投げた球を三塁手が捕れず、まさかのサヨナラ・エラーとなった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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