【SUZUKA 10H】夏の新耐久レース「鈴鹿10時間」のエントリー第1弾、27台が発表に!
今年、8月24日(金)〜26日(日)に新しい耐久レース「鈴鹿10時間耐久レース(通称、SUZUKA 10H)」を開催する鈴鹿サーキット(三重県)は最初のエントリーチームの暫定リストを発表した。レースまであと半年というタイミングで早くも27台がレースへの参加を表明し、その中には「インターコンチネンタルGTチャレンジ」のマニュファクチャラー選手権を戦うヨーロッパのスポーツカーメーカーのトップチームも名を連ねている。このエントリーリストで世界共通規定「FIA GT3」のスポーツカーと国内の「SUPER GT/GT300」マシンが戦う国際スポーツカーレースの勢力図が少し見えてきた。
(動画:SUZUKA 10H プロモーション映像)
アウディ、ベントレーなどワークス級チームの参戦
エントリー第1弾の注目どころはやはり海外勢。バサースト12時間(オーストラリア)、スパ24時間(ベルギー)、カリフォルニア8時間(アメリカ)を含む「インターコンチネンタルGTチャレンジ」にはアウディ、ベントレー、メルセデスベンツ、マクラーレン、ポルシェの5メーカーがマニュファクチャラー(メーカー)として選手権を戦っているが、このうち、アウディ、ベントレー、メルセデス、ポルシェを代表するトップチームの名前がある。
まず、アウディは「Audi Team」という名前で1台のエントリーがヨーロッパからある。開幕戦のバサースト12時間には4台の「アウディR8 LMS」をベルギー国籍の「Team WRT」とオーストリア国籍の「TeamMPC」からエントリーさせていたが、この「Audi Team」がどんな体制のチームなのかは明らかになっていない。開幕戦のバサーストで優勝したのは「Audi Team WRT(#37)」で、マニュファクチャラー選手権で首位に立っているアウディ。F1テストドライバーも務めたロビン・フラインスらバサースト12時間優勝ドライバーたちがステアリングを握るのか、はたまたアウディ契約ドライバーの混成チームになるのか、その体制が楽しみだ。
ベントレーは「Bentley Team M-sport」から2台の「Bentley Continental GT3」がエントリー。こちらはバサーストにも2台のエントリーだったため、実質ワークスの2台がそのままエントリーという形になる。イギリス人を中心とした現代のベントレーボーイズたちが鈴鹿をどう攻略するかにも注目したい。
メルセデスベンツはブランパンGTシリーズでも実質ワークス的存在のトップチーム「Strakka Racing」から2台の「Mercedes-AMG GT3」のエントリーがある。バサーストにも「Strakka Racing」は2台体制で参戦していた。
また、ポルシェは長年同社のGTレース活動を支える「Manthey-Racing」(マンタイ・レーシング)から1台が「Porsche 911 GT3 R」でエントリー。マクラーレンはバサーストに地元オーストラリアのチームが2台エントリーしていたが、SUZUKA 10Hの暫定リストに名前はなかった。海外勢で珍しいところではシボレーの「Corvette C7 GT3-R」で「Callaway Competition」がエントリーしている。かつての「鈴鹿1000km」でも90年代に人気を博したキャラウェイ・コルベットのチームが鈴鹿に帰ってくるのが楽しみだ。
【インターコンチネンタルGTチャレンジ 2018 】
第1戦 2/2-4 バサースト12時間(オーストラリア)
第2戦 7/26-29 スパ24時間(ベルギー)
第3戦 8/24-26 鈴鹿10時間(日本)
第4戦 10/26-28 カリフォルニア8時間(アメリカ)
「インターコンチネンタルGTチャレンジ」の次戦は7月末のスパ24時間(ベルギー)であり、同シリーズのワークス級チームは1ヶ月後のSUZUKA 10Hにマシンを準備せねばならず、非常に忙しいスケジュールとなる。また、スパ24時間はブランパンGTシリーズのエンデュランスステージの1戦でもあるため、ヨーロッパのエントリーチームが2ヶ月連続のベルギー、日本の耐久レース転戦をどうやり繰りしてくるのか気になるところだ。日程的には厳しいが、新イベントならではと言える「鈴鹿スペシャル」の確変体制が生まれることも期待したい。
国内からは初音ミクはじめ、15台がエントリー
海外チームを迎え撃つ国内チームは「SUPER GT」「スーパー耐久」などから15台が早くもエントリーを表明した。最も関心が高いのはボーカロイド「初音ミク」のカラーリングでお馴染みの「GOOD SMILE RACING&Team UKYO」。他のチームに先駆けて「Mercedes-AMG GT3」での参戦を表明していた。
そして、今年は「SUPER GT/GT300クラス」に「ホンダNSX GT3」がデビューする年でもある。エントリーリストには同シリーズに参戦する「Modulo Drago CORSE」と「CARGUY Racing」の名前がある。両チームは「SUPER GT」の富士500マイル(約800km)の長時間レースを戦った後の参戦となるが、今年はホンダも「NSX GT3」に力を入れているだけに、強力なサポート体制が得られれば地の利も活かして優勝も夢ではない存在へと躍り出てくるだろう。
また、ランボルギーニを長年GT300で走らせている「JLOC」も「LAMBORGHINI HURACAN GT3」を2台体制でエントリー。ポルシェを走らせる「D’station Racing」も2台体制を敷いてきた。アウディも「Audi Team Hitotsuyama」が参戦。さらに今季から完全な日産系GT300チームとなった「GAINER」がニッサンGT-Rを1台エントリーさせている。また、GT3マシンではないがGT300のマザーシャシーを使用する「TEAM UPGRAGE」が86MCで、「Cars Tokai Dream28」がロータス・エヴォーラで参戦。レギュラー参戦する「SUPER GT」を戦いながら、「SUZUKA 10H」に参戦するとなるとスケジュール面でもコスト面でも負担は大きいはずだが、積極的にGT300チームがエントリーしてきたことは国内レースファンには楽しみな状況と言える。
また、「スーパー耐久」関連では、昨年のST-X(FIA GT3)クラスチャンピオンで地元チームの「ARN RACING」が「Ferrari 488 GT3」で参戦を表明。ARNは昨年もピレリのワンメイクタイヤを使用するブランパンGTアジアにも挑戦しているので、ピレリが指定タイヤとなるSUZUKA 10Hでは有力チームとなるだろう。また、同じフェラーリを使用し、シーズン途中までスーパー耐久を戦った「Hub Auto Racing」(台湾)もエントリー。「スーパー耐久」と「SUPER GT/GT300」のマシンがピレリタイヤで、同一条件下でどんな戦いを見せるのかも興味深い。ちなみに「スーパー耐久」は今季からピレリのワンメイクタイヤとなる。
また、海外チームながら国内レースにも参戦する「KCMG」が「ニッサンGT-R GT3」で参戦するが、こちらは2018年モデルとハッキリと明記されており、日産勢ではその体制次第では有力チームとなるだろう。
賞金総額1億円が用意されている「SUZUKA 10H」の初代ウイナーの座を掴み取ろうと早くも参戦を表明した27台のGT3/GT300マシン。まだチーム体制に関しては不透明な部分も多いが、今後増えて行くであろうエントリーに強力なライバル=黒船襲来を期待したいし、初開催だからこその今は想像もつかない展開が楽しみだ。