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ピービーがレッドソックスからジャイアンツへ。新天地デビューにはメジャーリーグ記録の更新もかかっている

宇根夏樹ベースボール・ライター

7月26日、ジェイク・ピービーがボストン・レッドソックスからサンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍した。ピービーは27日のロサンゼルス・ドジャース戦で先発マウンドに立ち、ジャイアンツの選手としてデビューする。

現在、ジャイアンツとドジャースはナ・リーグ西地区の首位を争っている。それとともに、27日の登板はピービーにとって、メジャーリーグ記録の更新もかかっている。

ピービーは5月1日から7月22日まで、15試合に投げて勝ち星なしの9敗を喫している。ただの9連敗であれば記録ではない。ジャック・ネイバーズは1916年に19連敗しているし、シーズンをまたいでは、アンソニー・ヤングが1992~93年に27連敗(!)の大記録(?)を打ち立てた。

けれども、イライアス・スポーツ・ビューローによれば「サイ・ヤング賞に輝き、その後にシーズン10連敗を喫した投手」はこれまで皆無だという。ピービーは7月22日の黒星で9連敗として、ウォーレン・スパーン(1957年受賞/1965年9連敗)、デニー・マクレイン(1968、69年/1971年)、バリー・ジート(2002年/2010年)の3投手と肩を並べた。

ピービーがサイ・ヤング賞を得たのは、サンディエゴ・パドレス時代の2007年だ。この年、ピービーはいずれもリーグ1位の19勝、防御率2.54、奪三振率9.67、WHIP1.06を記録した(他に、240奪三振、FIP2.84、勝率.800も1位)。一方、9連敗中は防御率5.34、奪三振率6.60、WHIP1.45だった。

もっとも、連敗はピービーの責任ばかりではない。レッドソックスはこの15試合で平均2.80得点しか挙げていない。これは1試合平均なので、ピービーが降板するまでに限れば、さらに少なくなる。

ジャイアンツの得点力もそう高くはないが、少なくとも、5年ぶりのナ・リーグ復帰により、ピービーは自らのバットで白星を引き寄せることもできる。ピービーの通算打率.173とOPS.439は、2001年以降に300打席以上に立った77投手中18位。さほど目を惹く成績ではないものの、まったく打てないというわけでもない。

ちなみに、9連敗したサイ・ヤング賞投手のうち、スパーンとジートの2投手は、ジャイアンツで9連敗目を喫し、ジャイアンツで10連敗を阻止した。ジートはシーズンを通してジャイアンツにいたが、スパーンはニューヨーク・メッツで8連敗した後にジャイアンツへ移り、そこから2登板目に敗戦投手となって、4登板目に白星を挙げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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