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乃木坂46・白石麻衣卒業シングルで4期生が再生数で下克上、でもこれは乃木坂の未来

いしたにまさきブロガー/ライター/アドバイザー
「しあわせの保護色」のカップリング曲「I see…」(YouTubeより)

新型コロナウイルスの影響はいろいろな業界にショックを与えていますが、アイドル業界も無縁ではありません。なにしろアイドルといえばライブ。そのライブが開催できないわけですから、実質活動ができないも同然なのです。

現在、名実ともにトップアイドルである乃木坂46もその影響と無縁ではありません。しかも、今の乃木坂は3月25日にエースの中のエース白石麻衣の卒業シングルである「しあわせの保護色」発表後というタイミングです。

通常シングルの新曲が発表されれば、ライブツアー・握手会・メディア露出が続きます。でも、この状況では全部ストップです。このシングルでの活動を最後に卒業が発表されている白石麻衣さんの卒業ライブなどの活動終了の予定もファンから見えないままです。

そんな中でも、乃木坂46ですから、テレビなどの露出はありますし、新曲ですからテレビCMもかかります。ですから、当然YouTubeの再生回数もブーストかかって、うなぎ上りになります。というか、他にファンのエネルギーの行き場がないので、もう再生回数なんて伸びるしかないわけです。

またひとくちにシングルとはいえ、いわゆる表題曲と呼ばれる「しあわせの保護色」以外にもカップリング曲が数曲つくのがいまどきの新曲でもあります。

「しあわせの保護色」のカップリング曲一覧(YouTubeより)
「しあわせの保護色」のカップリング曲一覧(YouTubeより)
  • しあわせの保護色(1期生を中心とした選抜 MV公開日:3月4日)
  • サヨナラ Stay with me(選抜ユニット曲 MVなし)
  • じゃあね。(白石麻衣ソロ曲、作詞白石自身 MV公開日:3月12日)
  • アナスターシャ(2期生曲 MV公開日:3月7日)
  • 毎日がBrand new day(3期生曲 MV公開日:3月19日)
  • I see...(4期生曲 MV公開日:3月17日)

乃木坂46とはいえ、やはり表題曲とカップリング曲にはYouTubeの再生回数でざっくり数倍程度の差がつきます。ただ、今回はそもそも乃木坂46のMVのYouTubeでの扱いがいつもと違いました。

通常の乃木坂46のシングルの場合、まず表題曲MVが公開され、その後順次カップリング曲MVが順番に公開され、また順次ショート版にMVが基本差し替えられます(もちろん再生回数はそのタイミングでリセット)。

ところが、今回のシングルはコロナのおかげで1ヶ月過ぎてもフルバージョンのMVが公開されたままでした。ファンの気持ちを思えば当然とも言えます。なにしろライブもなにもないのですから。

さて、長くなりましたが、ここまでがこの記事の大前提です。とにかくいつもといろいろと違う形になってしまったのが、今回の乃木坂46の新曲シングルでした。つまり、いつもよりも長い期間のこの2カ月の間、フルバージョンMVが公開され続けていたのでした。

そんな中、表題曲だけではなく、4期生曲である「I see...」がどんどん話題となっていきました。

  • 4期生いいぞ!
  • (センターの)嘉喜ちゃんいいぞ!
  • なんかこの曲SMAPっぽいぞ!!!

この「 I see...」のSMAPっぽさというのは、発表当初から言われていましたが、実際のSMAP映像を組み合わせた動画も出回り、さらにその再生回数は加速していきました。

公開後、約40日(4月26日の22時ぐらい)でそのYouTubeの再生回数で表題曲である「しあわせの保護色」をYouTubeの再生回数で逆転したのです。しかも、表題曲は先ほど書いたように2週間早く公開しているのですから、いかに「I see...」が一気に再生回数を伸ばしたのかがわかります。

「I see…」でセンターをつとめる賀喜 遥香(YouTubeより)
「I see…」でセンターをつとめる賀喜 遥香(YouTubeより)

そして、先に再生回数600万再生を突破したのも、やはり「I see…」でした。

乃木坂46 OFFICIAL YouTube CHANNELの再生リスト(YouTubeの画像を筆者加工)
乃木坂46 OFFICIAL YouTube CHANNELの再生リスト(YouTubeの画像を筆者加工)

600万再生超えた前日との比較でいうと、表題曲がデイリーで約5万再生、4期生曲がデイリーで約8万再生なので、さらにこの差は開いていくでしょう。

普通に考えても表題曲をカップリング曲がひっくり返すというのは、ほとんど聞いたことがありませんし、この乃木坂46のシングルでいえば、これだけ4期生曲には逆境がありました。

  • 乃木坂46でもよく世間に知られているメンバーがいない
  • 歌番組での露出がない
  • テレビCMもない
  • というか乃木坂46の番組でも放送されていない
  • いやいや、表題曲の方が2週間も先に公開されているんですよ!

そして、ちょっと冷静になってみると、この白石麻衣卒業曲でいちばん若い後輩たちの曲が表題曲を逆転するというのは、なんてよくできているドラマチックな展開なんだ!?とも思うわけです。ホント、これ乃木坂の未来ですよ、断然に明るい未来。

だって、レジェンド級の大先輩の花道をいちばん若い後輩たちが軽やかに追い抜いていったわけですからね。

実際、4期生曲である「I see…」のコメント欄も、乃木坂46の未来を祝うコメントであふれています。みんな思うことは同じなんですね。

コロナがおさまった頃、いつかは白石麻衣卒業ライブが開催されるはずです。でも、このコロナ間に、そのライブは同時に新世代である4期生曲のお披露目ライブともなることが約束されたと言えるでしょう(妄想)。

【追記】

この記事から2カ月後の6月26日、「I see…」は再生回数1000万回を超えました。おめでとうございます。

再生1000万回、おめでとうございます(YouTubeより)
再生1000万回、おめでとうございます(YouTubeより)

【追記2】

この記事から約半年後の11月7日、「I see…」は再生回数1500万回を超えました。おめでとうございます。

【追記3】

この記事から約2年2カ月後の6月21日、「I see…」は再生回数2500万回を超えました。おめでとうございます。

ブロガー/ライター/アドバイザー

Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』管理人。2002年メディア芸術祭特別賞、2007年第5回Webクリエーションアウォード・Web人ユニット賞受賞。「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である(技術評論社)」「あたらしい書斎(インプレス)」など著書多数。2011年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザーに就任。ひらくPCバッグ・かわるビジネスリュックなど、ネット発のカバンプロデュースも好調。 #カゲサポ

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