世界を恐怖に陥れた「2000年問題」コンピューターが一斉に誤作動を起こす非常事態とは?
7月19日(金)、世界各地でWindowsのコンピューターにシステム障害が発生しました。空港などでも障害が発生し、世界で3300便以上のフライトが欠航となったとのことです。今回の騒動は、アメリカのIT企業「クラウドストライク」のセキュリティーソフトをアップデートした際に、導入しているPCで機能がダウンする不具合が発生したとのことです。
本記事では、今回のような事態が今から24年前に恐れられていた「2000年問題」について紹介します。
■コンピューターが一斉に誤作動を起こす「2000年問題」とは?
世界初のコンピューターは、1942年にアメリカ・アイオワ州立大学で開発された「ABC」であったと言われています。その後、コンピューターは劇的に進化を遂げていくのですが、実はあるプログラムに欠陥が含まれていました。
それは、「年号」です。当時は使用するメモリーを節約するために、西暦の年号の上2桁を省略していました。例えば、1995年の場合は「95」と表示されます。そうすると、2000年になった時、コンピュータが1900年と勘違いして誤作動を起こすのではないかという懸念です。当時の人々は、まさか自分たちが作ったプログラムが2000年まで使用されているとは予想していなかったでしょう。
1990年代には既にコンピューターは工場や交通機関、オフィスなど、あらゆる場所に組み込まれており、2000年になった途端に一体どのような現象が起こるか、全く予想ができなかったのです。これを「2000年問題」と言います。
■フタを開けてみれば、案外問題なかった?
2000年問題への対策に向けて、全世界で数兆円の予算が投入されたと言われています。特に、銀行の金融システムなどは巨額の費用をかけて対策を行ってきました。当時IT関係の仕事に携わっていた人々は、2000年のカウントダウンに向けて、年越しを会社で過ごすほどの徹底ぶりだったとのことです。さらに、大晦日~元旦にかけて運行を行う鉄道会社は運転の見合わせ、航空便も不測の事態に備えて決行をするなど、万全の態勢となりました。
そして、運命の2000年1月1日00時00分00秒、実際に世界的に大きな問題はほとんど発生しなかったとのことです。報告された不具合としては、女川原子力発電所、福島第二原子力発電所、志賀原子力発電所で、警報装置が誤報を発したりするなどのことがありましたが、放射性物質漏洩などの問題は生じなかったとのことです。
現代では、人間とコンピューターは切っても切り離せない関係となっています。一方で、先日のWindowsコンピューターの一斉誤作動のように、人命に関わる問題も発生しかねません。今まで以上に、不具合対策やセキュリティ対策に予算を投じる必要があるかもしれませんね。
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