【膣と直腸が貫通!直腸膣瘻闘病記⑫】昼夜逆転と精神・病状の悪化の兆候
私は長男を出産したときに直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう:rectovaginal fistula)という、出産にともなう後遺症を患いました。
現代では、母子共に安全に生まれてくるのが当たり前になりつつあります。
しかし、実際には命の生まれ出る瞬間に必ずしも五体満足で経過するわけではありません。
また、子どもが無事でも、母体がダメージを受けてしまうこともあるでしょう。
私もその一人。出産直後にはなんともなくても、出産して数日たった後に「直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう:rectovaginal fistula)」が発覚しました。
今回は第12話。
前回は、一日14時間の直腸膣ろうの情報収集で過ごす毎日、病み始めの兆候が垣間見えたお話でした。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/4ff9365485bd94a555d9ab63e1c6921d9a18cf00
今回は、病状に異変の兆候が現れるお話です。
暗い気持ちの日々。昼夜逆転
緊急手術を経て、直腸膣瘻のことばかりを調べる毎日は、私をますます暗い気持ちにさせました。
スマートフォンの画面を見つめながら、
- 「きちんと治らないのではないか?」
- 「やはりストーマが必要なのではないか?」
という不安が心の中をぐるぐると回り続けます。
他の人の闘病の過程を知ることで、何か解決策が見つかるかもしれないと期待していたのに、実際の闘病記の体験談をみると逆に恐れや悲しみが膨らんでいくばかりでした。
悲しいことに、やることが何もないため、調べる時間ばかりが増えていくのです。
夜が来ても、私は眠れずに画面を見つめ、さらに情報を求めてしまうのです。
気が付けば完全に昼夜逆転してしまう毎日になっていました。
看護師さんに心配をかけてしまうのが嫌で、ラウンド時間には寝たふりをしてやり過ごしていました。
主人の気遣い
そんな私の様子を見て、主人は日に日に心配の色を強めていきました。
彼は私を励まそうと、漫画やDVDを持ってきてくれました。彼の心遣いには感謝の気持ちでいっぱいでしたが、それらを受け取っても私は手に取る気になれませんでした。
彼が持ってきたものは、すべて私の気持ちを和らげるためのものでしたが、私の心は直腸膣瘻のことに囚われていて、それ以外のことを受け入れる余裕がなかったのです。
何を話してもネガティブな内容しか出てこず、時には涙がこぼれることもありました。
そんな私を見て、主人も途方に暮れているようでした。彼は私を励まそうと努力していましたが、私の精神状態は日に日に悪化していったと思います。
私のネガティブな感情が彼を疲れさせてしまっているのではないかと、心が痛みました。
彼が来たときに、毎日の子どもの動画や写真を見るときだけが、ほんの少しだけ心が温かくなる瞬間でした。
画面に映る子どもの笑顔を見ていると、その無邪気さに少しだけ救われました。
子どもがどれほど成長しているのかを感じられ、その姿に希望を見出すことができました。その瞬間だけは、病気のことを忘れさせてくれるひとときでした。
情報の壁
一日に何度もスマホの充電をしなければならないほど、私は直腸膣瘻について調べていました。直腸膣ろうに関する資料はほとんどなく、当時は2人ほどの闘病ブログがあるのみ。
ネット上にある情報をかき集めていましたが、自分の病状を把握するのは困難を極めました。
- 「このまま治らなかったらどうしよう」
- 「本当にストーマが必要なのか?」
という疑念が、頭の中を占めていくのです。ネットで見つけた他の人の体験談は、「最終的には治る」という希望を与える一方で、「完治にはストーマが絶対必要なのかも...」という絶望感をもたらすこともありました。
主人が気付く、病状悪化の兆候
そんな私を見ながら、主人は面会に来たときにはただひたすらにおしっこの管をミルキングしていました。
私は彼の行動をみてはいたものの、「なぜそのようなことをしているのか」気が付く心の余裕すらありませんでした。
冷静に考えると、ろくな会話もなく絶望しか漂わない面会時間でも、たとえ会話がなくても私を見舞ってくれる主人は、私のために頑張ってくれているのだと思います。
彼自身もきっと苦悩を抱えていたのでしょう。
会話がない状態でも見舞ってくれる彼のやさしさに、申し訳なさが胸を締め付けます。私の痛みや苦しみが彼にも影響を与えていると思うと、さらに気持ちが沈んでしまいました。
主人は、私の状態を理解しようと努力してくれていますが、私がどれだけの苦しみを抱えているのかを本当に知ることはできません。
彼が一生懸命に支えようとしてくれる姿が、時に私の心を圧迫するように感じることもありました。「私がもっと強ければ、こんなに彼に心配をかけずに済むのに」と、自己嫌悪に陥る瞬間が何度もありました。
13話に続く
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