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1億ドル以上の契約を交わしたことがないのは3球団。アスレティックス以外の2球団はどこ!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライアン・レイノルズ(ピッツバーグ・パイレーツ)Apr 16, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今月下旬、ピッツバーグ・パイレーツは、ブライアン・レイノルズと8年1億675万ドル(2013~30年)の延長契約を交わした。

 メジャーリーグにおいて、総額1億ドル以上の契約は、優に100件を超える。ただ、これまで、パイレーツが締結した契約はなかった。FA市場に出ていた選手との契約だけでなく、延長契約もすべて1億ドル未満。球団最高額は、昨シーズンの開幕直後にキブライアン・ヘイズと交わした、8年7000万ドル(2022~29年)の延長契約だった。

 1億ドル以上の契約が皆無なのは、パイレーツがそうではなくなり、オークランド・アスレティックス、カンザスシティ・ロイヤルズ、シカゴ・ホワイトソックスの3球団となった。その数は、30球団の10分の1に過ぎない。

 それぞれの球団最高額は、アスレティックスがエリック・チャベスとの6年6600万ドル(2005~10年)、ロイヤルズがサルバドール・ペレスとの4年8200万ドル(2022~25年)、ホワイトソックスはアンドルー・ベニンティンディとの5年7500万ドル(2023~27年)だ。チャベスとペレスは延長契約。ベニンテンディは、昨シーズンの終了後にニューヨーク・ヤンキースからFAとなった。

 アスレティックスの場合、1億ドル以上の契約を交わすのは、しばらく先になりそうな気がする。オークランドから移転後ではないだろうか。

 ロイヤルズには、候補がいる。ボビー・ウィットJr.がそうだ。2019年のドラフトで全体2位指名を受けたウィットJr.は、昨シーズンの開幕戦にメジャーデビューし、遊撃と三塁を守り、出塁率は.294ながら、20本塁打と30盗塁を記録した。現在の年齢は22歳。6月半ばに23歳となる。10年前後の長期契約なら、総額は1億ドルを超えるはずだ。

 ホワイトソックスで1億ドル以上の契約を手にする選手がいるとすれば、現時点で有力なのは、ディラン・シースだろう。今シーズンの6登板は防御率4.15だが、初めて規定投球回に達した2021年の防御率3.91(165.2イニング)に続き、昨シーズンは防御率2.20(184.0イニング)を記録した。奪三振率は高く、年齢は27歳。2025年のオフにFAとなる。5年1億ドル程度の契約なら、ホワイトソックスが申し出てもおかしくない。

 遊撃というポジションからすると、ティム・アンダーソンも延長契約の可能性はありそうだが、2017年の開幕前に交わした6年2500万ドル(2017~22年)の契約には、2023年と2024年の球団オプションがついている。昨オフに続き、今オフもオプションを行使し、2025年からはアンダーソンに代わってコルソン・モンゴメリーに遊撃を守らせるというのが、ホワイトソックスの描くシナリオのように思える。アンダーソンは29歳(来月下旬に30歳)、モンゴメリーは21歳だ。

 また、開幕戦でメジャーデビューしたオスカー・コラスは、24歳と若く、将来は1億ドル以上の契約を手にするかもしれない。ただ、ここまでの21試合は、打率.219と出塁率.284、1本塁打だ。最近は、他の選手がライトを守る試合も増えている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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