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さようなら鉄壁のCB

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
写真:LAFC提供

 MLS(メジャー・リーグ・サッカー)2連覇を狙ったLAFCだったが、ファイナルでコロンバス・クルーに敗れた。昨シーズン途中(2022年6月末)からLAFCに加入し、鉄人ぶりを発揮していたイタリア人DF、ジョルジョ・キエッリーニは試合後に「残念ながら、2チームのうちの1チームは負けなければなりません...素晴らしい旅でした」と語っていたが、やがてSNSで引退を表明した。

MLSでメッシと対戦後に  写真:LAFC提供
MLSでメッシと対戦後に  写真:LAFC提供

 昨シーズン、LAFCが創立から僅か5年でMLSを制した最大の要因は、キエッリーニであったと私は思う。現在39歳で、全盛期のスピードがある筈もないが、読みの鋭さ、ポジショニング、ヘディングの強さ、前線へのフィードの正確さと、どれをとっても一級品だった。

 キエッリーニが出場する日と、そうでない日では、番記者たちのモチベーションも大きく違った。

写真:LAFC提供
写真:LAFC提供

 今年8月、私は記者会見の席でLAFCの監督であるスティーブ・チェルンドロに、「キエッリーニ効果」について質問した。

 チェルンドロ監督は「練習に取り組む姿勢、キックオフへ向けた準備、全てがパーフェクトであり、チームのお手本です。ずっと我がチームでプレーしてほしい」と応じたが、本人は幕引きを意識していたのだろう。

写真:LAFC提供
写真:LAFC提供

 トリノ大学で経済商業学と経営管理学の学士を得ているキエッリーニは、流暢な英語を操った。彼と彼の家族は、LAでの生活を楽しんでいるそうだ。少なくとも、子供たちを来年の夏までは当地の学校に通わせるという。

写真:LAFC提供
写真:LAFC提供

 本音を言えば、もう1シーズン、LAFCで14番を付けるキエッリーニを見ていたかったーー。が、彼のことだ。新たな道でもきっと成功を手にするであろう。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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