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7連勝中の19歳を支える名トレーナー

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Mikey Williams/Top Rank  バレラ(右)とガルシア

 19歳のスーパーウエルター級、アート・バレラ・ジュニアがプロデビュー以来7連勝を飾った。今回は2ラウンドKO勝ちだった。これまで、ウエルター級でリングに上がってきたバレラだが、身体がどんどん大きくなっているため階級を一つ上げた。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 バレラは元IBFスーパーフェザー級チャンピオンのロベルト・ガルシアの指導を受けている。ガルシアは自身が経営するボクシング・アカデミーでノニト・ドネア、アントニオ・マルガリート、ブライアン・ビロリアなど、ある程度出来上がった選手をコーチし、時にアンソニー・ジョシュアのようなタイプを再生させることで『RING』誌が選ぶ年間最優秀トレーナーを3度受賞した。指導者としての手腕を認められているが、アート・バレラ・ジュニアに関してはマネージャーとしても支えている。

ガルシア
ガルシア写真:ロイター/アフロ

 ガルシアは言う。

 「バレラは私が手掛けた選手の中で、最も有望な若手だ。スピード、タイミング、パワー、どれをとっても素晴らしい。彼の未来には非常に明るいものを感じる。トップランクと契約したし、スターダムに駆け上がることを確信している」

写真:ロイター/アフロ

 トップランク社のボスであるボブ・アラムも、バレラを迎え入れた際、期待たっぷりに語った。

 「アートは素晴らしいチームに支えられたエリートで、溢れるばかりの才能を感じます。彼はスーパースターになる要素をすべて備えており、弊社が組んだ試合で驚異的な才能を発揮しています」

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 いかに持って生まれたセンスに光ものがあるファイターでも、力のある指導者に出会わなければ花は咲かない。マイク・タイソンにはカス・ダマトが、トーマス・ハーンズにはエマニュエル・スチュワードが、マニー・パッキャオにはフレディ・ローチの存在があった。その点、ガルシアはバレラの伸ばし方を知っていそうだ。また、やはりボクシング界で確固たる地位を築いたトップランクとの契約は計り知れないアドバンテージだ。

写真:ロイター/アフロ

 ガルシアは、アマチュア時代からフェルナンド・バルガスと兄弟のように育ち、ディエゴ・コラレス、ホエル・カサマヨールら、当時のトップ選手との熱戦を繰り広げた。それぞれ黒星を喫したが、指導者となった今、現役時代の悔しさを糧としている。

 バレラ&ガルシアのコンビに注目だ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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