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間も無くゴング! オレクサンドル・ウシクvs.タイソン・フューリーの再戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 オレクサンドル・ウシクvs.タイソン・フューリー第2戦のゴングが間も無く鳴る。7カ月前にスプリット・ディシジョンで勝利し、4冠統一ヘビー級チャンピオンとなったウシクは2018年にクルーザー級で主要4団体タイトルを束ね、その後最重量級に転向。デビュー以来22戦全勝14KOと、無敗を維持している。ヘビー級としては小柄だが、負けないボクシングをする技量がある。今回もウシク有利と予想する者が多い。

写真:ロイター/アフロ

 ウシクは、2015年末を最後に、祖国のリングに上がっていない。彼は不利であることを受け入れ、AWAYのリングで対戦相手を下してきた。つまり、金字塔を打ち立てながらも、母国で世界タイトルマッチを戦った経験が無い。読者の皆様がご存知のように、今尚、戦火が続くウクライナで、ボクシング興行など催せる筈もない。サウジアラビアで行われた今年5月のフューリー戦は、中立国で世界タイトルを獲得した初試合となった。そして、今回も同胞の気持ちを理解しながらリングインする。

写真:ロイター/アフロ

 一方のフューリーはリターンマッチで得る収入の半分弱を失うことになるそうだ。『The Mirror』によれば、36歳の元WBCヘビー級王者は、今回、約7,500万ドルを稼ぐ予定だが、その収入からおよそ3564万2031ドル69セントの所得税と、151万9858ドル64セントの国民保険が引かれるとのことだ。

今回、ウシクとフューリーのファイトマネーを合わせた金額は、1億8,966万ドルとされる。第一戦での勝利、またチャンピオンという立場により、ウシクが6割を得るとされる。

「税務上の適切なアドバイスは常に重要であり、今回の場合、フューリー陣営は最も有益な道を検討しているはずだ」と情報通は述べる。

写真:ロイター/アフロ

 フューリーは高額な給与に満足しているだろうが、それ以上にプロ生活唯一喫した黒星の相手へのリベンジを果たすことを己に誓っている。

写真:ロイター/アフロ

 両者には55パウンド(およそ25kg)もの差がある。ウシクはこれまで、何度も「その小さな体でヘビー級は無理だ」と言われてきた。その雑音を吹き飛ばし、祖国を勇気づけるべく、キャリアを重ねてきた。37歳の意地を見せるだろう。36歳の挑戦者は、雪辱を果たせるか。筆者はどうしても、ウクライナ人ファイターを応援したくなるが…。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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