パッキャオ、ドネアの後継者を目指す15戦全勝10KOのフィリピン人サウスポー
試合前から、ライト級8回戦の勝敗は見えていた。
アルゼンチンからやってきた22勝(10KO)5敗2分の33歳、ロマン・ルービン・レイソノは、直近の4試合で1勝3敗と黄昏時のファイターだった。一方、ボブ・アラムが売り出すDJ・ザモラはデビューから14連勝中(9KO)の21歳。体格のみの比較でも、両者には身長で7センチ、リーチで10センチもの差があった。
ラスベガス出身のザモラは、“ライジングスター”なるキャッチコピーが付けられたサウスポー。試合開始からノックアウトを狙い、力を込めたパンチを振るっていく。が、身長161センチのアルゼンチン人ファイターは、懐に入り込むタイミングを窺い、ファーストラウンド1分過ぎに左フック、右アッパーをヒットして期待の新星をロープに詰めた。
するとザモラはボディーへのアッパーカットを有効に決め、流れを引き寄せる。そしてレイソノの左フックに合わせたカウンターの左アッパーを鳩尾に突き刺し、早くもダウンを奪う。
同ラウンドを何とか凌いだレイソノは、翌2ラウンドに入ってからも左右のフックを繰り出して前進する。その闘志はなかなかのものだったが、何度もボディーブローを浴び、動きが鈍る。そこでショートの左フックを顔面に受け、2度目のダウン。起き上がりはしたが、ダメージを重く見たレフェリーが試合終了とした。
フィリピン系アメリカンのザモラは7歳の時、父親に連れられてラスベガスにあるフロイド・メイウェザー・ジュニアジムの門を叩く。すぐに、フロイド・ジュニアの叔父であり、スーパーフェザーとスーパーライトで世界タイトルを獲得した故ロジャー・メイウェザーの目に留まった。
ザモラはじっくりとアマチュア経験を積み、16歳でプロデビュー。その直前、元WBCウエルター級チャンピオンのショーン・ポーターが、IBF王者エロール・スペンス・ジュニアとの統一戦に向けたキャンプで、スパーリングパートナーに抜擢した。
祖父がフィリピンからアメリカに移り住んだザモラは、同胞であるマニー・パッキャオやノニト・ドネアを尊敬していると話す。そして、彼らに近付くことを目標としている。ただ、どう冷静に見ても過保護なマッチメイクだ。真の実力者との試合はいつ組まれるか。