「大事な人」と「大切な人」の違いは?
「似ているけれど意味が違う言葉」その4
今回は、「大事」と「大切」の違いについて掘り下げてみます。
「大事な人・大切な人」「大事なもの・大切なもの」・・・あなたはどんな風に使い分けていますか?
「大切」と「大事」の違い
【大切】は、「もっとも必要で、重要であること」「自分にとって心の支えとなるような、なくてはならないこと」「丁寧に扱うこと」という意味。
「切」の字は、「刃物をぴたっと押し当てる」イメージから、差し迫る(切迫・切実)、ぴったり合っている(適切)、身近に接する(親切)など、意味が広がっていきました。
「大切」も、「自分の身に大いに迫る→心にひしひしと迫る→愛おしい」と意味が変化していったようです。主観的な表現で、対象とする人や物事への愛情深さや思いやりを感じる言葉です。
【大事】は、「価値を感じており、重要であること」「注意深く、慎重に扱うこと」という意味。とても必要で重んじているという点では「大切」とほぼ同じだけれど、「大切」ほど個人的な感情(愛情や思い入れ)は強くありません。
ちなみに、【重要】も「大切・大事」と非常に近い意味ですが、客観的な視点で重んじられる点が大きな違いです。重要人物、この会社にとって重要な問題、など、個人的には何の思い入れもなかったとしても、その重要さは揺るぎません。
「大切な人」と「大事な人」
どちらも自分にとって必要な人、重要な人であることに変わりはないけれど、「大切」と「大事」の微妙な違いから、「大切な人」と「大事な人」の違いも見えてきました。
「大事な人」は、自分にとって大きな影響を与えるような重要な存在。この人が心の支えになっている、というわけではないけれど、いなかったら実質的に困るような存在。
「大切な人」は、損得など一切関係なく、役に立つかどうかなども関係ない、その存在自体が必要である人。自分にとっての心の支えとなる、かけがえのない人。
あなたにとっての「大事な人」「大切な人」、誰が思い浮かびますか?
まとめ
◆大事:価値を感じており、重要であること
(例) この会社にとって大事な人=価値があり非常に重要な人材
◆大切:もっとも必要で、重要であること
(例) 私にとって大切な人=心の支えとなる、かけがえのない人
自分を大切にする=自分をかけがえのない存在として愛すること
日常なんとなく使っている、似ているけれど意味が微妙に違う言葉を調べてみると、その物事の本質が垣間見えることがあります。これからも色々な言葉の違いを取り上げていこうと思っています。