体温より高い日の高校野球は一考の余地あり
第98回全国高校野球選手権が、台風がきっかけで誕生した甲子園球場で8月7日に始まり、熱戦が続いています。
大会2日目の8日には、甲子園球場の近くの神戸地方気象台では、日最高気温37.2度を観測しました。これは、平成6年8月8日の38.8度につぐ、大会期間中で2番目の高い記録です。
平成6年夏の高校野球
甲子園球場などがある神戸市の市街地は、南側を海に面しているため、他都市に比べて最高気温があがりにくく、また、都市化による気温上昇もすくない地域です。
とはいえ、近年、高温がではじめています。神戸は120年もの観測記録がありますが、最高気温のランキング上位は、ほとんどが最近のものです(表1)。
平成6年夏の高校野球大会の開会日の8月8日は、太平洋高気圧に覆われて、各地で猛暑の記録が続出しました。神戸でも、日最高気温が38.8度と、観測開始以来の記録を更新しました。
体温(37度)以上の気温のもとで、試合や応援が行われたのは、これが最初です。体温以上の気温では、発汗作用による体温調節ができなくなるので、非常に危険です。
そして、今年の大会2日目の8月8日、神戸で最高気温37.2度を観測しました。4回目の体温以上の気温のもとでの試合や応援です。
平成5年夏の高校野球
平成5年は、7月中旬から高校野球の終わり頃まで、ほぼ全国的に寒い日が続き、雨の日も多くありました。
このため、大会期間中の日最高気温の平均は、29.9度です。
翌6年の大会期間中の日最高気温の平気は34.2度ですので、平均で5度も差がありました。
私は、平成5年も平成6年も神戸海洋気象台(現在の神戸地方気象台)の予報課長をしていました。
高校野球が始まると、気象台には、甲子園の天気予報の問い合わせが急増します。
平成5年の天気予報は、外してはいなかったのですが、「なんで雨を降らせるのだ」という抗議の電話が、少なからずあったのが印象に残っています。
今年の高校野球の気温
高校野球の開催期間中の平均が約32度です。
今年は大会2日目に日最高気温37.2度を観測したほか、これからも35度前後の日最高気温の予想が続きますので、平均を上回る暑い大会になりそうです(表2)。
昔よりも最高気温が高くなっていますので、これからは、体温より高い気温のもとでの試合や応援が増えることが危惧されます。
高校野球では、長年の経験などから様々な暑さ対策がとられていますが、雨が降ってきたときに試合を一時中断するように、体温より気温が高くなったら試合は一時中断するなど、一考の余地あると思います。