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森唯斗ばりの投げっぷりだけじゃない!19歳育成・尾形崇斗の投球術

田尻耕太郎スポーツライター
将来が楽しみ

 9月26日、福岡ソフトバンクホークスの3軍は、関西に拠点を置くベースボールファーストリーグ(BFL)の選抜チームと練習試合を行った。

【9月26日 練習試合 タマスタ筑後】

BFL    000000000 0

ソフトバンク 12000010× 4

<バッテリー>

【BFL】西尾、宮前、吉田、岡田――木山、浅川

【H】尾形、山下、吉住、児玉、長谷川宙――張本、堀内、樋越

<本塁打>

松本龍

本塁打を放った松本龍憲
本塁打を放った松本龍憲

<戦評>

 ソフトバンクが連勝した。初回に3番・古澤の適時打で先制すると、2回にも8番・森山の2点左前打で追加点を挙げた。その後決定打が出ない展開が続いたが、7回に松本龍が右越え本塁打を放ち4点目を奪った。松本龍、幸山、森山がマルチ安打の活躍だった。

 先発の尾形は4回1安打無失点。計5投手の継投で完封リレーを果たした。(了)

尾形崇斗、どこか漂う大物感

 春先に「高卒新人1番乗り」で公式戦デビューし、楽しみなルーキーとして取り上げた尾形崇斗が先発した(参考記事はこちら)

 4回を投げて被安打1無失点と好投。「久しぶりの先発でした」と試合後も充実の表情を浮かべていた。

 背番号120の育成1位。2桁番号の同期に競り勝って4月8日のウエスタン・リーグの広島戦(タマスタ筑後)に登板した。上位打線に対して真っ向勝負して、バティスタを三ゴロに仕留めるなど三者凡退で1回を抑えた。「1年目から支配下登録はもちろん、1軍で3勝することが目標です」とかなり威勢が良かった。

成功も失敗もすべて財産

 しかし、その後しばらく戦列を離れた。肋骨を疲労骨折。オーバーワークも原因の一つだった。

「これと決めたらとことんやる性格なんですが、それが裏目に出てしまいました」

 支配下期限の7月末もとうに過ぎてしまい、9月に実戦復帰。この日が復帰3度目のマウンドだった。

「悔しかったけど、過ぎたことを後悔してばかりいても仕方ない。焦り過ぎて怪我をしたことも、2軍で投げたことも、抑えたことも打たれたことも、1年目のうちに経験出来て良かったと思っています」

 マウンドに上がる日は、何か1つでも知識を得たり収穫を得たりすることを課題にしている。

「振り返った時に、ゲッツーを取ることが少ないなと思った。それで先輩の大竹(耕太郎)さんに率直に訊いてみたんです。大竹さんは『あそこにこんな打球を打たせたい。それを逆算して配球を考える』と教えてくれました」

 この日、最後のアウトは二ゴロ併殺打だった。

「内角球を見せておいて、外の低めを引っ掛けさせた。狙い通りのピッチングが出来ました」

「一発目でアピールを」

 見た目は投げっぷりの良さが威力。自慢はストレートで、「極論、配球なんて考えずに分かっていても打たれないストレートで抑えたい」と話す。しかし、「ま、それは難しいですよね」と現実をしっかり見つめる。

 ホークスにこんな投手がいる。チーム7試合7連続セーブの日本新記録を樹立した森唯斗だ。将来は森のような剛腕リリーバーか、いや先発で成功する能力も十分に持ち合わせている。

「1年目の目標は達成することが出来ませんでした。2年目こそ1軍で投げます。1年間やってみて、育成選手の場合チャンスが貰え機会はあまり多くないと分かりました。

 大竹さんや他の先輩も、最初のチャンスでしっかりアピールして上がっていきました。一発目から自分の良いものを発揮できるような準備をしていきたいです。秋は真っ直ぐの強さ、キレの向上に取り組んでいきたい」

 この19歳、どこか大物感が漂う。楽しみな若鷹だ。

※文中写真はすべて筆者撮影

※参考記事URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/tajirikotaro/20180408-00083731/

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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