9歳の83.0%がネットで動画を視聴している…9歳以下の子供達の詳細なネット利用実情
インターネットは多様な価値観の世界へ瞬時に足を踏み込める、魔法の杖のような存在。それを用いて幼い子供達は何をしているのだろうか、実情を内閣府が2023年3月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から、子供達の年齢階層別に確認する。
最初に示すのは何らかの機種でインターネットを利用している人に対し、そのインターネットで何をしているかを複数回答で尋ねた結果。もっとも多くの人がしているのは動画視聴で93.4%に達している。なおグラフの横軸の項目は元資料の並びのままにしている。
具体的にどのような動画なのか、視聴頻度や時間はどれほどなのかまでは問われていないが、「(普段は)インターネットで何をしている?」との質問に「動画を見ている」と答えられる程度には視聴していることに違いはない。次いで多いのはゲームで60.6%。エンタメ目的の利用が多分におよんでいることになる。
この実情を該当者の年齢階層別に確認したのが次のグラフ。機種別と合わせ細分化するのがベストなのだが、区分が細かく回答者数が少なすぎ、統計的に大きなぶれが生じるので、いずれかの機種でインターネットを利用している人限定に留めた。
コミュニケーションや情報検索、ゲーム、勉強はおおよそ年齢が上になるに連れて利用率が高まる傾向にある。特に6~7歳から値が大きくなるのは、小学校への入学がきっかけだろうか。特にコミュニケーションはその可能性が高い。
他方、動画視聴は興味深いことに低年齢ほど高く、年が上になるに連れて値を落とす傾向がある。動画視聴は多分に、子供が自分で対象動画を検索するのではなく、保護者が再生させて閲覧させるだけのような、テレビと同様の利用が行われているのかもしれない。子供自身が能動的に楽しめるコミュニケーションやゲームの利用率が高まるのとともに、動画視聴への注力が減っていくというところだろうか。
もっともこれはインターネットを利用している人に限定した値。インターネットの利用率は年齢とともに上昇するため、インターネットを利用していない人も合わせた比率を年齢階層別に計算すると、何らかの端末でインターネットを用いて動画視聴をしている子供の割合はおおよそ年齢とともに増加することになる。
今や「9歳の子供の83.0%がインターネットで動画を見ている時代」である。
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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2022年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月3日から12月12日にかけて行われたもので、保護者に対して子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2088人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ358人、134人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。