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【泉南市】“伸びしろしかない街”にアイデア続々!まるで『マインクラフト』どう変わる?夢のゆくえ

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

「SDGsの中でも本当に共感できるものからはじめていきたい」

「府や県にも認めてもらいたい」

「SNSにもっとお店をアップしていきたい」

「失敗や恥は乗り越えられる!」

そう話すのは、南海「樽井」駅前でハンドメイドと輸入雑貨のお店「PAVOハンドメイド雑貨店」を経営するHappy Go Lucky代表 中西 加奈(なかにし かな)さん。

ほかにも「子ども食堂」のススメや各お店のIT化のススメ、「樽井」でマルシェやイベントをして仲間を増やしていきたいなど、参加者へ向けて熱い想いを語ります。

樽井区で約30年事務員を務め、現在は泉南市観光案内所のスタッフとして日々業務に携わる井手尾(いでお) ちほみさんは、「樽井の人通りの少なさを何とかしたい。樽井(地区)には、スーパーすらない(エバグリーンは鳴滝地区)。乗降客は樽井が多いと言われるが、樽井の中に人は来ない。樽井が宣伝されることはほとんどないため、(宣伝に)お手伝いしていただける人がいたらぜひご協力いただきたい」と参加者へ熱い視線を投げかけます。

「樽井」のために立ち上がった二人が企画した「タルイカイギ」

12月4日(月)に開催された様子をお届けいたします。

小さな街の小さな会議。誰も来てくれないんじゃないかという不安もある中、ポツリポツリと人が集まります。「樽井はこんな感じ」という “根深い慣習からの脱却” 第一歩目の日。

「タルイカイギ自由メモ帳」と書かれた紙が配られ、くじ引きで決まった席に座る参加者のみなさん。同じ想いをもった同志とはいえ、初対面の方もいて緊張した面持ち。

まずは自己紹介から。それぞれ「樽井」への想いも語ります。

トップバッターは樽井区で副区長を務める辻村さん。

「樽井幼稚園では緑組でした。それ以来ずっと樽井にいます。泉州弁が大好きで、理屈抜きで樽井が好きですね。この辺りは子供の頃に比べて活気がなくなりました。商売はしていないけどお手伝いできることがあればと思い参加しました」。

続いて石橋 正敏さん。泉南市議会議員でいらっしゃいますが、今回は一市民としてご参加。

「カレーが大好き。以前は放送作家をしていました。実は3年前までは泉南市民じゃなかったんです。この辺の人はほんまにやさしい。駅前の坂で『流しそうめん』をしたら楽しいんじゃないかな? あと、この辺りはポイ捨てが多いですね」。

次は、「塩屋商店」店主 塩屋 亮子さんのご主人。今回はご夫婦での参加でしたが、いろんな人と交流ができるように、夫婦でも分かれて座っていただいています。

「樽井小学校に通っていました。樽井の街並みが好きですね。*店を出すのも本当はメイン通り(駅前通り)が良かったけど、そもそも店を貸してくれるところすらわからない。借りる術がない(高齢化で“貸す”などの判断ができない)。駅前通りの坂のロケーションはいいですね。まわりがもっと盛り上がるといいなぁ」。

*「塩屋商店」は、国道旧26号線「樽井北」交差点(角 ファミリーマート)を海側へ1分行ったところにあります。

続いて籠原(かごはら)さん。

「生まれも育ちも樽井です。小さい頃は商店街がとても賑やかだったので一人でお買い物に行くことができました。でも今はどうでしょう。駄菓子屋すらありません。子どもたちだけで買い物に行かせられない。わたしはハンドメイドをやっているので、樽井に出店して子どもたちの成長を見守りたいですね」。

今日は、お子さん二人連れてのご参加。

可愛い子どもたちの笑顔をみていると、「この街のために今みんなで立ち上がること」の重要性をひしひしと感じます。

次は*「フライヤ―キング」の中谷 紗千乃さん。

「ずっと家族みんなで鳴滝に住んでいて、昔は樽井に魚屋、キムチ屋、映画館などもあって楽しかった。おじいちゃんが店を辞めたので受け継ぎました。樽井の商店街が活性化されたら樽井は賑わうと思うんです。泉佐野市の*『まちば日和』みたいなことができたらいいなぁ」。

*「フライヤ―キング」は、「スーパーエバグリーン泉南店」を出て海側へ進み、どんつきを右に曲がって少し行った左手にあります。

*『まちば日和』とは、泉佐野市春日町(さの町場)にある築200年の古民家で開催される月イチマーケットのこと。毎回大盛況で多くの人で賑わいます。

続いて樽井にお住いの宮本さん。

「わたしは岸和田で仕事をしているのですが、岸和田は活気がありますね。樽井に子ども食堂ができるといいなぁ」。

続いて、「りんくう総合医療センター」で看護師をしている藤田さん。

「数年前までは泉佐野市に住んでいました。泉佐野市も以前は寂れていましたが段々と盛り上がってきて。そんな矢先に泉南市に移り住みがっかりしました。でも、この街は伸びしろしかないですよね。僕は現在『和歌山アーケードプロジェクト』に携わっていて、街の活性化に興味があるんです。この辺でお店をやっている人との出逢いもあり、何かお手伝いできることがあればいいなぁと」。

続いて「専徳寺」で副住職を務める木村さん。

ご自身はお寺の横で整骨院、奥様は砂川でドッグサロンを経営しているそうです。

「昨今、お寺の経営も厳しい状況です。以前は月命日の利用もありましたが今は年一回の法事のみ…など。若い人が出て行ってしまいお年寄りが増えましたね。樽井小学校も昔に比べて子どもの人数が減りましたよね。お寺は広いから『場』として提供できるんじゃないかと考えています。地域活性化に繋がるのではないでしょうか」。

続いて、「樽井婦人会」の役、「案内人の会」でボランティアを務める楠木さん。

「わたしは泉南中学校を卒業して、福島で暮らしていましたが50歳すぎた頃に戻ってきました。『老人会』と『婦人会』の年齢が近く、重なってしまっているんですよね。役員のなり手もいない。婦人会にぜひ来てください」。

続いて泉南市議会議員の添田 詩織さん。ヤフーニュースの記事を見て、参加を申し出てくださったのだとか。

「10年前、樽井で飲食店を経営していましたが、古くからいる人たちの風当たりが強かったのを今も覚えています。DJイベントで100人集めて苦情がきたことも。その時、大家さんが見方をしてくれたんです。『ここは、商店街や。盛り上げなあかん』って。砂川も人が集まるイベントはやめてほしいという方向性のようですね。泉南市って空き家バンクの登録が0件ってご存知でしたか? ロングパークのイベント時は駅に人が集まるのに、樽井に人は流れて来ない。ロードマップを作って、樽井に人が流れる仕組みをつくりたいですね。樽井は地域間交流の場も少なく、もっと交流できる場を増やしていけたらいいですね」。

続いて「塩屋商店」店主 塩屋 亮子さん。

「お店の並びで付き合いがないんですよね。イベントをしたくても、どこにどう言ったら良いのかもわからない。わかりづらい。ロングパークもいいけど、もっと近くで(イベントを)やりたいですね。情報をわかりやすく提供してほしい。(店となる物件を)借りる時に、先に補助してもらえるとやりやすいのに」。

みなさん、いろんな想いがあるのですね。

お話を聞く限りでは「樽井」はどこか『孤立』している印象。横のつながりも少ないようにも感じます。

次は「グループワーク」です。

「各グループでご自身が抱えている悩みなど、なんでもいいので話し合ってみてください。『タバコやめられへんねん』『掃除できへんねん』『替え歌つくったらオモロイんちゃう?』など、なんでもいいですよ~」と中西さん。

笑い声でワッと会場が盛り上がり、ここでようやく緊張もほぐれてみなさん笑顔に。

「タルイカイギ自由メモ帳」に書いた内容をもとに「自分ができること」「得意なこと」「樽井について思うこと」「個人的に困っていることや悩み」などをグループごとに話し合います。

和やかな空気の中スタートした「グループワーク」。はじめは口ごもっていた人も、先陣を切った人に続けとばかりにどんどん思いを打ち明けます。

参加者の悩みに耳を傾け、ご自身の経験を交えてアドバイスをする人、その悩みに共感する人など、みるみるうちにチームが一つになっていきます。

立場が違えば悩みもさまざま。でも「樽井を素敵な街にしたい」という想いはみんな同じです。

そんな中で、「空き家バンクしたら?」「子ども食堂やるなら話繋ぐよ」などの頼もしい声も。ノーリスクで今すぐ出来ることだってある、との声に希望を見出す参加者のみなさん。

樽井でやったらええなぁって思うことある? という中西さんの問いかけに、

「レンタサイクルの乗り捨て場があるといいんじゃない?」

「餅つきはどう? 子どもに体験させてやりたい」

「東京の巣鴨(すがも)のような街にしたいなぁ」

「子ども食堂や*オレンジカフェがあるといいよね」

「マルシェもやりたい」

「区民センターでお祭りをやるのはどう?」

「イルミネーションで駅前通りを煌びやかにしたいな」

「砂川のすなっきーず(子育てサロン)みたいに、おじいちゃん、おばあちゃんに、数時間赤ちゃんを見てもらえるような場所があるといいな(保護者付き添いで)。子どもを預けなくてもちょっと見てもらえるだけでホッとすることもあると思う」

「みんなでYouTubeチャンネルを開設するのはどう?」

*「オレンジカフェ」…認知症を患う人やその家族が集うカフェ

みなさんの想いがあふれ出します。

「本当はもっとこんな風にしたかった、ずっと、こんなことを思っていた」など、吐き出すごとに変化していく表情と共に会場の雰囲気も明るく和やかに。

「レンタサイクルの乗り捨て場つくるのはいいけど、誰がどうやって戻しに行くん?」

新たな課題も見つかります。

「まず、すぐに出来ることって何やろ?」と中西さん。

「餅つき!」と参加者の多くの方が声をあげて反応しました。

具体的には“「専徳寺」で餅つきイベントをやる” ということで話がまとまりそうです。「専徳寺」の駐車場問題などの課題は残りますが、第一回目の「タルイカイギ」は、ここでお開きとなりました。

小さな街の小さな会議の話。みなさんは「他人事」と感じますか?

「違う街の人でもこの想いに共感いただける人は必ずいる」。

そう感じ、記事にしました。

子どもの頃の想い出。

賑わっていた頃の街の記憶。

街の子どもたちの未来。

そして自分たちのこれからのこと。

本当は言いたくても言い出せないことってまだまだたくさんあると思います。

どうか言葉を発してください。そして耳を傾けてください。

まずは、はじめの第一歩。

次回の「タルイカイギ」2024年1月22日(月)18時~樽井区民センターで開催されます。

6時だよ! 全員集合!

【基本情報】
「タルイカイギ」
〈お問い合わせ先〉
タルイカイギ実行委員会
HGL代表 中西 加奈 様 (090-8126-7174)
取材協力 Happy Go Luky代表 中西 加奈 様、泉南市観光案内所 スタッフ 井手尾 ちほみ 様
*記事は取材当時のものです。

ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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