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国による大麻の管理が最善の選択肢、違法な供給を罰すべき #専門家のまとめ

園田寿甲南大学名誉教授、弁護士
(写真:イメージマート)

それぞれの民族には独自の飲み物や食べ物、文化があるが、近年その垣根がぼやけ、多くの物質がその法的ないし社会的地位を変えてきた。たとえば南太平洋諸島で儀式用に使われ、多幸感や安心感などが生じるカヴァ(Kava)という飲み物は、欧州でも日本でも違法であるが、米国では最近カヴァ・バーが急増している。これは一例だが、合法と違法の境界線は変化してきている。

大麻にはこの傾向が顕著であり、多くの政府がさまざまな大麻政策を打ち出している。日本は大麻の使用も提供などについても、重罰化の路線を突き進んでいる。

ココがポイント

【社説】大麻使用に厳罰 若者への広がりを断とう
出典:西日本新聞 2025/1/10(金)

大麻を譲り渡した疑い 男を逮捕 別事件の捜査で関与浮上 八重山署 沖縄
出典:琉球新報 2025/1/9(木)

ラッパー・般若が大麻題材のドラマに主演する意義「“なんでダメなの?”に対して各々のアンサーが出せれば」
出典:WEBザテレビジョン 2025/1/9(木)

エキスパートの補足・見解

大麻使用の重罰化で、大麻は闇市場でのみ流通する。その結果、大麻の望ましくない副作用のほとんどは、大麻が非合法市場で無節操に提供されているという事実から生じている。とりわけ、大麻が使用者に及ぼす健康リスク以上の実害(退職や退学、重大なスティグマなど)が生じている。大麻使用がなぜ重い犯罪なのか、その理由を示してほしい。

世の中に100%安全な薬や食品などない。どんなものにも健康上のリスクはある。しかし大麻の健康リスクが、愛飲家や愛煙家がみずからの人生に及ぼすリスク以上に低いことは、科学的なデータにもとづいている。だから、常識的に考えると、大麻使用は刑罰で禁止するほど有害ではないと結論づけることは自然なことである。大麻規制を緩めている国々では、国のライセンス制にすることで、国民が安全で良質な大麻を入手でき、さらに医療上のアドバイスを受けられるようになれば、多くの人びとの生活の質が改善されると考えられている。

国による大麻の管理が最善の選択肢であり、大麻の不法な提供を犯罪とすべきである。(了)

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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