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神保町駅近くに"名店仕込み"の新店!うまみ豊かな焼鳥と多彩な料理をコースで堪能!

今回冒険するのは、東京都千代田区の「焼鳥みどり」。店主の緑川さんは大塚の名店「蒼天」出身で、焼鳥通なら知らない人はいないくらいの名門だ。「焼鳥みどり」は6月24日に暖簾を掲げたばかり。これからに期待がかかる一店だ。

神保町近くに生まれた期待の一店

神保町駅から徒歩3分ほど。19時30分頃、暖簾をくぐるとカウンターもテーブル席もぎっしり。オープン早々、賑わっているよう。カウンターに座り、カラカラの喉を潤すようにビールをくいっといく。焼き台には先客のネタが並び、もうもうと煙を上げていた。

「焼鳥みどり」の焼鳥はアラカルトやセットはなくコースのみで、オープンからしばらくはハーフコースだけの用意だったそう。ありがたいことに、8月のお盆明けから始めるというフルコースをひと足早く味わわせてもらった。

椀ものや小鉢から始まる焼鳥コース

お椀
お椀

さぁ、まずは椀ものと小鉢2種から。最初にお椀で胃を温めて……という流れをつくるのも「蒼天」と同じ。それがなんだか懐かしく感じる。和だしとふんわりとしたつくねが調和して、素朴でほっとするよう。

酢ばす(酢れんこん)
酢ばす(酢れんこん)

冬瓜のくず餡
冬瓜のくず餡

小鉢の酢ばす(酢れんこん)とおかわかめは三杯酢で。冬瓜のくず餡もじつに夏らしいアプローチで、思わず冷酒が欲しくなる味わい。焼鳥は魚介とは違ってそのものに季節感があるわけじゃない。だからこそ、コースの頭に四季を感じ取れるのが嬉しい。

1本目はホロホロ鳥のささみから

ささみ
ささみ

さぁ、お待ちかねの焼鳥は、ホロホロ鳥のささみから。レアではなくしっかりとした火入れなのにパサつきがなく、どこまでもふっくらと……。味噌だまりに刻みわさびを合わせたものを添えて、いっそう風味豊かに仕上げている。いいねぇ。このアプローチも「蒼天」譲り。1本目からしっかり掴まれてしまった。

ちなみに、ホロホロ鳥はアフリカ原産の鳥で、いわゆる「にわとり」とは違う(見た目もまるで違う)。キュッと引き締まった肉質でうまみも濃い。この鳥を扱うというのも、もちろん「蒼天」譲りだ。

野菜と肉味噌
野菜と肉味噌

せせり
せせり

続いては丹波黒どりのせせり。うーん。プリッとしてやわらかく、それでいてうまみも充分。「焼鳥はホロホロ鳥と東京しゃもを軸にしつつ、丹波黒どりでバランスを取っています」と店主の緑川さん。

そう、長期飼育の鶏はうまみや脂がのる一方、部位によっては筋っぽくなることがある。その点、丹波黒どりのように若めの地鶏のせせりはとても食べやすい。どんな鶏を扱い、どう組み立てるか。そういうところも焼鳥職人の腕の見せどころだ。

かぶの味噌あん
かぶの味噌あん

丹波黒どりの白レバーに夏の茶碗蒸し

レバー
レバー

「今日のレバーはいいのが入りました」と緑川さん。差し出されたのは丹波黒どりの白レバーだ。とろりとした口当たり、脂を感じながら後味はさっぱり。まさか、夏に白レバーが出るとは思わなかったなぁ。

鶏はとにかく暑さに弱く、夏場の地鶏はどうしても痩せ細ってしまう。それもあって白レバーもさほど出まわらない時季なのだけど、どうやら運に恵まれたよう。いやぁ、ありがたいかぎり。

ここで焼鳥コースの定番、茶碗蒸し……とは言っても夏らしく「冷やし」の茶碗蒸しだ。しかも、合わせたのは山形県の郷土料理「だし」ときた!

うーん、目に涼やかな一品。口に運べば卵のやさしい甘みを追いかけるようにだしの爽やかな風味が広がっていく。これは、うまいなぁ。食感のコントラストも楽しく、酒の肴としても成り立っている。この倍の量があってもするりと入りそうだ。

肉々しいつくね
肉々しいつくね

江戸川なす
江戸川なす

東京しゃものもも肉がしみじみうまい

もも
もも

「東京しゃものももです」と差し出されたのは、シンプルに肉が打たれた1本。この東京しゃもは軍鶏の血統を75%も引き継いでいるとあって、肉のうまみも弾力も申し分ない。噛むほどにぐっと深まる味わい。それがピュアに感じられるのは「皮を付けていない」からだと思った。

「東京しゃもの皮は厚いので、あえて皮は外してもも肉のうまみをストレートに感じられるほうがいいかな、と。ももの上の部分と下の部分を使っています」(緑川さん)

鶏のリエットとバゲット
鶏のリエットとバゲット

抱き身
抱き身

ここで、ホロホロ鳥の抱き身(むね肉)。キュッと締まった肉質、豊かなうまみはホロホロ鳥ならではの味わいだ。でも、それだけでは終わらないのが「蒼天」の血統。皮と肉の間に大葉を忍ばせていっそう香り豊かに仕上げている。

焼鳥には大葉を直接肉に巻くネタもあるけれど、そうはしない。大葉は直接炭火に当たると風味が飛んでしまうので、皮と肉との間に挟むのは理にかなっているわけだ。ホロホロ鳥と大葉……最高じゃないか。

じゃがいも
じゃがいも

続いては、じゃがいもだ。じゃがいもを焼鳥のネタにするときはバターを添えるのが定番ではあるけれど、そこはひと工夫。バターはバターでもピスタチオバター。これがまた合うんだ。深みが増して、後味も華やかに。ちょっとしたことではあるけれど、いいアクセント。

こっくりと濃厚な背肝
こっくりと濃厚な背肝

終盤は力強い一品でたたみかけるように

さぁ、コースも終盤。金串を打ち豪快に焼き上げられた"塊肉"は東京しゃものもも肉だそう。聞けばあらかじめ醤油こうじに漬けているそうで、皮目はこんがりと香ばしく、肉はむっちりと仕上げている。串にとらわれないアプローチも、焼鳥の魅せ方の一つだ。こうしたネタがあるだけで、コースに奥行きがうまれるというもの。

手作りソーセージ
手作りソーセージ

手羽の燻製
手羽の燻製

まだ試行錯誤中だという手作りソーセージが続き、最後のネタは丹波黒どりの手羽の燻製だ。うーん、これもまさに「蒼天」譲りの味わい。串から外して頬張れば薫香が鼻をくすぐり、ふっくらとした肉からはうまみがじわりと溢れてくる。これは抜群にうまいなぁ。最後の串にふさわしい満足度。

〆はそぼろごはんと卵かけごはんから

そぼろ丼
そぼろ丼

プリン
プリン

たらふく食べたら、あとは締めるだけ。コースの〆はそぼろごはんと卵かけごはんから選べるというので、ここは大定番のそぼろごはんに決めた。そぼろはパサつきなくしっとりとして食べやすい。

力強い焼鳥に多彩な肴。それに〆と甘味のプリンまで付いてボリューム充分。「蒼天」の流れをしっかり汲みつつ、緑川さんの個性もにじみ出た気迫ある焼鳥コースだったな。

神保町はなんとも不思議な町だ。これでもかと古書店がひしめき合い、スポーツ用品店や純喫茶、カレーにラーメンとカルチャーが濃縮されているかのよう。焼鳥においても、大衆店から名店まで粒ぞろい。

それに、緑川さんの焼鳥も料理も年を追うごとに個性が増していくだろうし、よい意味で「蒼天」の色が薄まり、「みどり」色が深まっていくか、今から楽しみだな。

▼冒険のおさらい

①名店「蒼天」の焼鳥を受け継ぐ新店

②ホロホロ鳥や東京しゃもを使用

③ハーフコースとフルコースの2種

店舗情報
【店名】焼鳥みどり
【最寄り駅】神保町駅
【住所】東京都千代田区神田神保町1-42-15
【予約】03-5801-6778
【定休日】日曜
【串のアラカルト】なし
【コース(セット)】5,000円~
【鶏メモ】ホロホロ鳥、東京しゃも、丹沢黒どり

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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