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女性11人を「見せしめ」に…北朝鮮、数百人集め公開裁判

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮の公開裁判(デイリーNK)

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は13日、昨年10月に中国から強制送還された脱北女性らが最近、北朝鮮国内で処刑されたもようだと報じた。北朝鮮が、新型コロナウイルス対策の国境封鎖を解除して以降、強制送還された脱北者が処刑されたのは今回が初めてと見られるという。

RFAは韓国のNGO「キョレオル統一連帯」のチャン・セユル代表の話として、処刑されたのは39歳のイさんと43歳のカンさんで、先月31日に咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)市内で公開裁判にかけられ、死刑判決を言い渡されたと伝えた。罪状は、ほかの脱北女性たちを韓国に送ったことに対する「人身売買」だったという。

また、公開処刑では彼女らを含め11人の女性が被告となり、ほかの9人も人身売買の罪で無期懲役を言い渡されたという。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

北朝鮮当局は以前から、同じ脱北者であっても、韓国行きを試みたりほう助したりした人々に対してはとくに厳しい態度で臨んできた経緯がある。

さらに、清津を訪れて公開裁判を目撃したというRFAの情報源は、裁判には数百人の市民が集められ、1時間にわたり行われたと証言している。

北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルスの流入を防ぐとして国境を封鎖し、外国人ばかりでなく外交官など自国民の帰国もいっさい認めなかった。中国で摘発された脱北者も例外ではなく、中国国内の収容施設に留め置かれていた。

しかし昨年夏までに国境封鎖が解除されると、脱北者の強制送還も段階的に進められた。国際社会の厳しい批判にもかかわらず、送還は着々と進められている。

(参考記事:北朝鮮の女囚たちが落ちた「緩慢な処刑」の残酷な日々

それでも、送還された人々が処刑されたという話はこれまで伝えられていなかった。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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