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2023年11月最新「内閣支持率・政党支持率」トレンドレポート

大濱崎卓真選挙コンサルタント・政治アナリスト
画像は筆者作成

2023年10月最新「内閣支持率・政党支持率」トレンドレポートに引き続き、世論調査会社グリーン・シップの「GS選挙調査センター」が全国規模で毎日実施している情勢調査のデータ提供を受け、モーニングコンサルト社の調査や、その他の調査機関の数字などから、内閣支持率や政党支持率の分析をお送りします。

岸田内閣の支持率 さらに下降トレンドへ

モーニングコンサルト社(https://pro.morningconsult.com/trackers/global-leader-approval)より引用
モーニングコンサルト社(https://pro.morningconsult.com/trackers/global-leader-approval)より引用

モーニングコンサルト社の調査では、支持率は16%と極めて低い数字が出ました。同社が調査対象としている主要国首脳の中でも、最も低い数字となっています。同社の調査は各社のなかでもとりわけ「低め」に出ることで知られていますが、「16%」という数字は大きなインパクトです。

内閣支持率(2021年11月〜)、月次、GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用
内閣支持率(2021年11月〜)、月次、GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用

次に、世論調査会社グリーン・シップの「GS選挙調査センター」の数字をみていきます。こちらも岸田内閣の支持率の下降傾向は止まらず、岸田内閣発足以降、過去最低を記録しました。「増税」と「減税」で混乱した税制や、子育て財源に関わる社会保険料問題にくわえ、政務三役の不祥事によるドミノ辞任などが響いた格好といえます。

日経の世論調査では、来年夏の段階で所得の伸びが物価上昇を上回る状態を目指すことが実現できると思うか、との問いに「実現すると思う」がわずか11%、「実現するとは思わない」が82%と答えるなど、特に物価高騰に対する経済対策の遅さが、支持率低下の最大の要因といえます。

政党支持ではれいわ新選組の支持が伸び傾向に

政党支持でも、自民党の支持率が下落し、無党派層が増えるという大きな流れは変わっていません。一方、中期的なトレンドで見ると、日本維新の会の支持率は今年春の統一地方選挙を境に微減傾向が続いています。立憲民主党と異なり、秋の国政補欠選挙に候補者を擁立できなかったことなどが響いているとみられます。

また、れいわ新選組の支持率が、夏以降上昇傾向にあることにも注目です。物価上昇など経済状況が厳しい中で、消費税廃止を訴えてきた山本太郎代表率いるれいわ新選組の政策訴求が、この臨時国会における税制の問題と絡めてマッチしている点にくわえ、山本太郎代表の国会質問などが注目を浴びたことも影響をしているものとみられます。主要政党各党の税制に対する考え方はマチマチであり、消費税廃止を一貫して訴えてきた姿勢に対し、特に物価高騰を問題と考えている有権者の一部が支持を寄せているとみられます。

会期末以降の動きで更なる下落も覚悟か

永田町では、自民党派閥による政治資金パーティー券の裏金づくりが問題となっており、東京地検特捜部による捜査がつづいていると言われています。国会閉会後に一斉捜査が始まった場合、名前の知られている大物議員へ捜査が及ぶ可能性もあるほか、現職閣僚などに影響する可能性もあり、自民党支持率・内閣支持率への影響は大きいとみられます。

今回の事案を「リクルート事件級」とする識者もおり、仮にそうなった場合には内閣総辞職の可能性も否定できないとの展望もある一方、一部の派閥で起きていた問題であり内閣総辞職には至らないとの見立てもあります。ただ、報道されている安倍派(清和政策研究会)は党内第一派閥であり、この動向が来年9月の自民党総裁選にも大きな影響を及ぼすことは間違いない情勢です。

選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2021年度経営情報学会代議員。日本選挙学会会員。

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