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トラウトはセンターを守るべきなのか。それとも、レフトかライトへ移ったほうがいいのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)May 3, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は、今シーズンもセンターを守る。

 ジョー・マッドン監督は、3月13日の記者会見で、トラウトをレフトかライトへ移し、ブランドン・マーシュをセンターに据える可能性があると語った。だが、その翌日には、早くもその構想を破棄した。ESPNのオールデン・ゴンザレスらによると、トラウトがセンターを守りたいと発言したのを受け、ペリー・ミナシアンGMを交えて3人で話し合った結果、コンバートはなくなったという。

 過去8シーズンとも、トラウトはセンター以外の守備についていない。今シーズンの年齢(6月30日時点)は、30歳だ。

 昨シーズン、センターを500イニング以上守った31人――295.0イニングのトラウトは含んでいない――のなかに、30歳以上の選手は9人いた。29.0%の選手が、今シーズンのトラウトと同じ年齢か、それよりも上だったということだ。700イニング以上――シーズン全体のイニングは1400イニング程度――の15人に限ると、そのうちの6人が30歳以上なので、割合は40.0%まで高まる。ミルウォーキー・ブルワーズで592.2イニングのロレンゾ・ケインは35歳、ニューヨーク・ヤンキースで816.1イニングのブレット・ガードナーは37歳だった。こうしたことからすると、センターを守るのに、トラウトはそう高齢ではないように思える。

 その一方で、過去3シーズンのトラウトのスタッツは、決して芳しいものではなかった。スタットキャストのOAAは、2019年が-2、2020年と2021年はどちらも+1なので、ほぼ平均的なセンターということになるが、UZR/150は-1.2と-8.5と-1.2、DRSは-4と-9と-4だ。

 昨年の夏にメジャーデビューし、トラウトが不在のセンターを守ったマーシュは、OAAが+2、UZR/150が+1.8、DRSは-3だった。サンプルは、1シーズンの568.0イニングに過ぎないものの、数値はいずれもトラウトを上回っている。

 チームの中心選手の意向を汲み、希望するポジションを任せるというのは理解できる。また、同じ選手の守備であるにもかかわらず、それぞれの数値がプラスとマイナスに分かれていることからもわかるとおり、守備のスタッツは、まだ確立していない部分が少なくない。

 けれども、今回の一件により、トラウトの守備には、注目が集まるはずだ。通常であれば見過ごされるような小さなミスでも、必要以上に大きく取り上げられることになりかねない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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