ラニーニャ発達 10年ぶりの強い勢力で警戒呼びかけ
世界気象機関はラニーニャ現象が10年ぶりに強い勢力に発達するとの見通しを示し、この冬は世界規模で異常気象に警戒するよう呼びかけた。日本も11月後半は強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まる可能性がある。
ラニーニャは10年ぶりに強い勢力に発達
世界気象機関(WMO)は10月29日、ラニーニャ現象(以下、ラニーニャと表記)が発達し、来年初めにかけて続く可能性が高い(90%)と発表しました。勢力は中程度から強い勢力で、2010年-2011年以来の規模になる可能性があります。
また、オーストラリア気象局(BoM)も10月27日、同様の見通しを示しました。しかし、現在の状況は2010年10月と比べて弱く、ラニーニャが予想通りに発達するのか、不確実な部分もあるとしています。
年末年始に記録的な寒波
2011年冬(2010年12月~2011年2月)で思い出すのは年末年始の記録的な寒波です。
年も押し迫った12月30日、東京で初雪が降りました。これが寒波の前触れだったのでしょうか、31日大みそかは西日本で雪が強くなり、鹿児島市内の積雪は22センチに達しました。12月としては観測史上最大の積雪に、鹿児島地方気象台は1時間毎に積雪を観測する、積雪臨時観測を行いました。
その後も、雪は弱まらず、鳥取県米子市では1月1日午前5時の積雪が89センチに達しました。これは戦後最大と言われた「38豪雪(昭和38年1月豪雪)」を上回る記録的な積雪です。
この激しい雪で、鳥取県内の国道9号では大型車や乗用車など約千台が25キロにわたり動けなくなりました。また、帰省客を乗せた特急列車が立ち往生するなど交通機関に大きな影響が出ました。とくに記憶に残っている被害といえば、漁港に係留されていた漁船など約260隻が湿った雪の重みで沈没したことです。それまで多数の漁船が大雪で沈没する被害は聞いたことがありませんでした。
世界の天候にラニーニャの影響
今年は秋の深まりが早いように感じていますが、10月の平均気温は全国的に平年並みから高くなりました。今後、ラニーニャの発達とともに天気はどのように変わるのでしょうか。
世界気象機関はすでに世界の多くの地域で気温や降水量などにラニーニャの影響が出ているとして、強い警戒感を示しています。さらに、通常は3か月毎に発表する長期予報を毎月に変更し、気象情報を適切に利用したラニーニャの影響や異常気象への対応強化を促しています。
日本でも今後は寒さが強まる見通し
4日(水)は強い寒気の影響で、北海道は平地でも雪が降るでしょう。5日(木)の朝は一段と冷え込みが強まりそうです。その後は暖かい日もありますが、11月後半は冬型の気圧配置が強まり、寒さが本格化する可能性があります。
【参考資料】
世界気象機関(WMO):La Nina has developed、29 October 2020
オーストラリア気象局(BoM):La Nina likely to continue until at least the end of summer 2020−21、27 October 2020
鳥取地方気象台:2010年12月31日から2011年1月1日にかけての大雪
気象庁:1か月予報(10月31日~11月30日)、2020年10月29日発表