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【性格は4重構造】「性格は変わるのか? 変えられるのか?」について、心理カウンセラーがお答えします。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「性格の構造と改善」というテーマでお話したいと思います。

初めに、性格は変わります。
必ず変わります。けれど、簡単には変わりませんし、スグには変わりません。

性格は、「変わればいいなあ。性格を変えることが出来たらいいだろうなあ」というような弱い意志では変わりません。けれど、正しい努力をすれば、必ず変わります。私は、カウンセラーという仕事をしていて、変わった人をたくさん見て来ましたので、それは断言できます。

時おり、「性格なんて変わらない」とおっしゃる方がいます。
が、それは気質のことを言っているのだと思います。気質は、変わりません。一生変わりません。そうそれは、変わらない性格を指して、気質と呼んでいるからです。

気質とは何か?」と言うと、それはひとことでは答えられませんが、
強いて言えば、外界とどう関わっているのか? 外界とどう結びついていると認識しているのか? ということになります。ただ、それは生まれつきのものである、ということは言えるかと思います。

「生まれたばかりの赤ちゃんは、真っ白な存在であって、性格などない」というのは誤りです。子どもを何人も育てたことのあるお母さんなら、それは経験として知っています。「何故、生まれたばかりなのに、性格があるのか?」と言うと、それは非常に難しい問題ですが、「遺伝がほとんどと、残りは、精子と卵子が結びついた瞬間、そして胎児の時代に作られたものではないか」と推測されます。

遺伝というのは、親に似るという意味ではありません。親が持っているものが出たということです。ちなみに、親が持っているものであっても、親自身にも出ていないことはたくさんあります。

続いて、性格は4重構造になっています。
というより、4重構造になっていると考えた方が理解しやすいということです。

性格の核とも呼べる気質=生まれつき性格については、今ほんの少しだけ説明しましたが、気質は変わりません。変えようとするものではありません。そして、気質に良い悪いはありません。大切なのは、自分の持っている気質を知り、それを愛し、それを活かして生きることです。

次に、気質を包むように、狭義の人格があります。
こちら(狭義の人格)については、エゴグラム性格診断で、概ね知ることが出来ます。
狭義の人格については、幼少期の頃に、ほぼ形成されます。これは、養育者の責任であり、本人の責任ではありません。この狭義の人格については、大人になってからは、もう多くは変わりません。あとは、それをどうやって活かすか? ということになります。狭義の人格の活かし方については、親の責任ではなく、本人の責任です。何故なら、狭義の人格を維持し続けているのは、本人自身だからです。

次に、狭義の人格を包むように、習慣性格があります。
ここが1番大事で、この部分が努力次第で、いかようにも変わるところです。「何故、大事か?」と言うと、人は、習慣的性格で、人や物や事態に接しているからです。「性格が悪い」と称される人は、悪しき習慣を持っている人という意味です。習慣的性格は、「人とどう接するか?」ということが主で、そこで発揮されます。

例えば、人にいきなり足を踏まれたら、痛いと思うでしょうし、腹を立てるかもしれません。が、そこで「バカヤロー」と言うか、「恐れ入ります」と言うかで、その人が評価され、その人の価値が決まってくるということです。要するに、ニッコリ笑って挨拶するか、そっぽを向いて挨拶するかで、「愛想のいい人だな」とか「無愛想な奴だな」と思われる、ということです。

通常、人が人を指して「〇〇さんは、こういう人だよ」というのは、この習慣的性格を指していっているに他なりません。もっと大雑把に言えば、この習慣的性格は、態度と言ってもいいかと思います。私が「性格が変わる」と言っているのは、この習慣的性格のことです。
自分の習慣的性格が変われば、人が自分に接する態度も変わってきます。そこで、より幸福を感じるようになったり、不幸を感じるようになったりするということです。習慣的性格については、自分自身に対する評価(自分が自分をどう見ているか)と、他者から自分はどう扱われているか、どう評価されているか? によって知ることが出来ます。いわゆる、「他者は、自分の鏡である」ということです。

次に、習慣的性格を包むように、役割性格があります。
この部分は、時や場合や状況によって、意識的・無意識的に、瞬時に変わったり変えたりします。皆さんだって、会社にいる時の自分と、家にいる時の自分と、友達と一緒にいる時の自分は違うでしょ? そういうことです。大人になるということは、この役割性格を、社会に適応するよう上手に変えていくことが出来る…ということです。私だって、講師でいる時とカウンセラーでいる時とプライベートでいる時では、全然違います。

時々、「人は二重人格であってはならない。誰に対しても同じように接するべきだ」とおっしゃる方がいますが、それは間違っています。その人が言う、「二重人格がいけない」というのは、「二重のうちの一つが、良くない人格、不適切な人格だからいけない」という意味です。二重の、どちらも良い人格・適切な人格であれば、それはそれで問題ないわけです。

長くなってきたので、この続きは、また明日書きたいと思います。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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